2008年7月26日

「アート大阪2008」に行ってきました!

現在、堂島ホテルで開催中の「ART OSAKA 2008」に行ってきました。
昨日が初日だったのですが、非常にたくさんのお客さまで大変混雑していたそうです。スタッフの方に聞いたのですが、初日は出展しているギャラリーの方々のパーティーが予定されていたそうですが、終了時間の21時でもお客様が絶えず、宴が中止になるほどスゴイ動員だったようです。(ちなみに本日と明日は19時までです。)
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
本日も12時のオープンから行列ができていて、エントランスからエレベーターホールまで今か今かと待つ人でいっぱいでした。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
写真は14時半ぐらいの状況です。この列はエントランスで収まらないばかりか、ホテルの外まで続いておりこのアートイベントの大注目ぶりがうかがえます。

通常、ゲストルームとなっている8階から11階の客室を現代アートのギャラリーとして転換して催されるこのイベント。なんだこのイイ感じは!
私は出張でよくホテルを利用しますが、この堂島ホテル、カッコイイです。客室のコンセプトは「オーセンティックモダン」。白い壁に落ち着いた色のカーペット。ひとつひとつ家具もさりげなくお洒落で、どのお部屋も落ちける雰囲気です。(特に2方向に窓のある角部屋はすごく気持ちが良いです。)そんなお部屋のそれぞれにアートがプラスされ、また違った表情なのです。

会場では在校生や卒業生、先生方など大阪芸術大学の関係者の姿をたくさん見かけました。もちろんギャラリーの代表者、作家としても卒業生たちが活躍しています。
まず今回、招待状を送ってくださった916号室「YODギャラリー」。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
写真は町田夏生さん(大学院芸術制作修了)。以前にこのブログでもご紹介させていただいたことのある作家さんです。ピンクを基調とした華やかでやさしい独特の色使いの作品を生み出されます。

1002号室「ギャラリーアルテ」にて田岡和也さん(美術学科卒業)。田岡さんは今回、ホテルの一室がギャラリーになるということでベッドカバーを新たに制作されました。とても鮮やかな色彩は客室の雰囲気をパッと楽しく明るくしています。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
digmeout
のことや、在学中は学生寮に入っていて寮の生活が本当に楽しかったこと、後輩が本町でギャラリーをやってること、それともうすぐパパになることもなど、お話を伺うことができました。お話、ありがとうございました。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
ギャラリーアルテの会場には同じく美術学科卒業の千葉尚美さんの作品も展示されています。バスルームを埋め尽くす奇妙な人形によるインスタレーション。人間の108つの煩悩を表現した人形だそうです。田岡さんから聞いたのですが千葉さんのご実家がお寺だそうで、ヘンに説得力を生んでいる作品でとても気になりました。(バスタブには煩悩Tシャツがありました。あぁ、買えばよかった。)

ギャラリー風」が出展している1110号室では、大野勇介さん(美術学科卒業)とお会いできました。この1110号室には大阪美術専門学校卒業の秦孝仁さんの作品を見ることもできました。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル

大阪美術専門学校卒業つながりで、1106号室「ギャラリーアウトオブプレイス」の森村誠さんの作品もコンセプチュアルで面白い作品でした。辞書の全ページからすべての『Z』の文字をカッターで切りとり小瓶の中に封印した作品the Oxford Sleeping Pill>。オクッスフォード睡眠薬ってことですね。また誤配されたトーマスさん宛の手紙を受け取ったのをキッカケに制作された「トーマスを探せ」というシリーズもありました。観光用の市街地図の中の「t」「h」「o」「m」「a」「s」の文字だけを残してそれ以外の文字を白い修正液を使って消していく作品です。バスタブの中には、映像作品があり実際にヨーロッパの町で「トーマスさん知りませんか?」と人々に聞いて回る様子を収めたものです。

大阪美術専門学校を卒業し本学・大学院芸術制作研究科も修了した田中朝子さんは、817号室「ノマル・プロジェクトスペース」で作品を出品されています。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル

そして他の作家さんたちとは少し違った作品を制作されているのは1107号室「サイギャラリー」の藤本由紀夫さんです。今回の「ART OSAKA」の大阪芸術大学出身者の中で唯一「音楽学科」を卒業の作家さんです。それぞれの展示会場でBGMを流しているギャラリーもありますが、多くは視覚重視になりがちです。「耳で感じる芸術」と「目で感じる芸術」をどちらも同時に提供できるアーティストで単なる「サウンドアーティスト」というわけではありません。

他にもたくさんの卒業生が出品されていましたが、私が一番印象に残ったのは908号室「Yoshiaki Inoue Gallery」の岡本啓さんの作品でした。岡本さんの作品を実物で見たのは初めてでした。この908号室ではバスルームはすべて岡本さんの作品です。ただただ美しい・・・。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル

ガラスのような透明感に感じる「綺麗だ」と、「リキッド感」と言えばいいのでしょうか流線の造形に感じる「綺麗だ」、そして色鮮やかな華を眺めるときの「綺麗だ」が同時に押し寄せてくる感じ。まんまと岡本さんの「綺麗ワールド」に引き込まれていきました。バスルームだけに、「美しさに浸る」という感じ、でしょうか。
ART OSAKA 2008 アート大阪 堂島ホテル
この908号室、角部屋のためとても室内は明るく、バスルームとベッドルームが間続きになっているため展示空間は非常に開放感がありました。また作品の密度もちょうどいい感じで見やすかったこともいい印象に残っている理由だと思います。

この「アート大阪2008」、本当にいいアートイベントです。大阪のアートがこんなにお洒落でカッコイイものだと感じさせてくれる環境。はじめて見させていただきましたが、もっともっとたくさんの人にこのイベントを知って欲しいと強く思いました。特に今の在校生。この空間では「作品が売れていくこと」がどんなシーンなのかをリアルに見ることができます。自分が作家として生きていくために(「食っていくために」というと生々しいですが)、作家になった未来の自分をイメージして一部屋一部屋をじっくり見て欲しいですね。

●「アート大阪2008
 明日27日まで(12001900
 堂島ホテル(大阪市北区堂島浜2-1-31 tel.06-6341-3259
 入場料:¥1,000円  ※受付はホテル1階にて

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2008年7月17日

ART OSAKA 2008に注目!

みなさん、大阪でアートフェアが開催されることはご存知でしょうか?
先日オープンした本学のほたるまちキャンバスの近くにある堂島ホテルで、現代アート専門のアートフェアが725日(金)より3日間開催されます。いよいよ来週です。
ART OSAKA 2008 堂島ホテル
■ 開催概要
名称:ART OSAKA 2008
    URL:http://www.artosaka.jp/
会期: 2008725日(金)?27日(日)12:00-19:00
    *725()21:00迄(入場は終了30分前迄)
会場:堂島ホテル8階・9階・10階・11階 客室47部屋
    大阪市北区堂島浜2-1-31 
    URL:http://www.dojima-hotel.com
    JR北新地駅、地下鉄西梅田駅より徒歩3
    JR大阪駅、各線梅田駅より徒歩8
入場料: 1,000円(会期中有効)

この「ART OSAKA 2008」は、もともと2002年から天保山の海岸通ギャラリーCASOを会場に開催されていた「ART in CASO」がルーツとなっていて、昨年より会場を堂島ホテルに移して開催しています。今回は関西を中心に東京、名古屋のギャラリーから韓国、台湾のギャラリーも参加して、計47のギャラリーが一堂に集結する大規模なアートフェアです。これらのギャラリーがホテルの客室を展示ブースに見立て、通常とは違う展示方法で取扱の作家を紹介し作品の販売をするという企画です。
実はこのイベント中で作家として活動している本学の卒業生が多く参加しています。大阪芸術大学だけでなく、短期大学部、大阪美術専門学校卒業生を含めると現在把握しているだけで13名の作家がこのアートフェアに出品します。近年の美術界は現代アートに多大な注目が寄せられています。従来の洋画、彫刻といった既存の枠組みに捉われない作家、作品が続々と登場し、新しいアートの形を模索する動きは海外だけでなく日本でも高まりを見せています。昔は「作家は死んでからでないと認められない」とも言われてきましたが、最近は20代、30代で国内はもとより世界でも認められる作家が、この現代アートの分野では増えてきています。

このアートフェアに参加する作家の方々は、そうした可能性を秘めている作家としてギャラリーにプロモーションされています。そしてこの場での作品の販売によって、作家とギャラリーの評価がなされる厳しい現場でもあります。

卒業生がどのように活動しているのを見るだけでなく、今の美術界の流れがよくわかるイベントでもあります。関西でこれだけ多くのギャラリーが集まることはこのアートフェアしかありませんので、 入場料はかかりますがアートの最前線を実際に目にすることのできる絶好のチャンスです。なかなか学内だけでは知ることのできないアートの現場を、是非この機会にしっかりと学びとってください。

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2008年7月12日

キャラ造、掲示板。

ふらっと立ち寄った20号館。2階のキャラクター造形学科のフロアです。階段を上がって左手には掲示板があり、なにやらとても賑やかなようすです。
キャラクター造形 キャラ造 掲示板 20号館
見てみると、在校生がデビューしたとか作品が雑誌に掲載された、連載されているなど、在校生達の活躍様子が紹介してあります。掲示されているものを少し紹介しますと・・・
キャラクター造形学科 キャラ造 掲示版 20号館
●「MY MOTHER IS ・・・」 かなざわ みゆ・・・キャラクター造形(2期生)
 (別冊マーガレットでデビュー)
●「パラサイトベイビー」 千野桜子(ペンネーム)・・・キャラクター造形(1期生)

(ヤングジャンプマンガグランプリ 奨励賞)
●「ワスレモノ」 菊田タクミ・・・キャラクター造形(1期生)
 (第73回手塚賞 佳作受賞)
●「No.1海堂」 鳴海アミヤ・・・キャラクター造形(1期生)
 (少年サンデー超(スーパー) 増刊 に掲載)
●「喰王オメガ」(くいキング) 山本貴也・・・キャラクター造形(3期生)
 (週刊少年ジャンプ特別編集増刊 赤マルジャンプ2008SPRINGに掲載)
●イラスト「エディット・ピアフ」 西川裕貴・・・キャラクター造形(2期生)
 (【ROAD SHOW 20088月号】スターイラストギャラリー 特選受賞)
などなど、研究室には続々と受賞や掲載報告の情報が寄せられているようです。スゴイ!
さぁ、今年度もドンドン活躍していきましょう!

キャラクター造形学科の小池一夫先生の公式ページ小池一夫のはじめてのブログでは、卒業生も含め、大阪芸術大学の出身・在籍者の活躍が一覧掲載されています。これまたスゴイ量です。【必見!!】(620日付の記事から一覧を見ることができます。)
>>>一覧表はこちらから

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2008年7月7日

「ガレットとミルク」 よしだ けんいち・著

先日、卒業生が就職部を訪ねて大学に来られました。昨年3月に映像学科を卒業された「よしだ けんいち」さん。「このたび絵本が発売されることになったので」ということで、その絵本を持って紹介に来てくれました。卒業して1年で絵本作家になられたんですね。念願叶ってよかったですね。おめでとうございます。
発刊されるのは『ガレットとミルク』というタイトルです。
ガレットとミルク Milk みるく ミルク garetto よしだ 吉田
「ウサギでも コアラでも ネズミでもない ふしぎな いきもの ガレットとミルク。
ふたりの しぐさに きっと クスクス わらって  しまうはず。

さあ みんなで なんでも はんぶんこ!」

重たい荷物も半分こ、おいしいリンゴも仲良く半分こ。二人の大嫌いなニンジンも、半分こにすれば、嫌いが半分になる!?」文芸社・書籍詳細情報より

ガレットはお姉さん、いつもミルクのそばにいてしっかりモノ。
ミルクは泣き虫の弟。二人はいつもいっしょです。
二人の背負っているリュックの中身の設定(詳しくは「よしだけんいち」さんのHP参照)がカワイイです。「ほんわか」と力が抜ける「ガレットとミルク」の世界観がなんともいえずイイ感じです。
絵本には、とってもとってもやさしい「おかあさん」も登場します。
↓「よしだ けんいち」さんのホームページ
よしだけんいち 絵本 ガレットとミルク

絵本の帯には
「よみおえたあと そっと おへやに かざってみてください。きっと……。   よしだけんいち」
、と書かれています。「きっと」どうなるんでしょうね?
シリーズ第二弾も期待しております。

●『ガレットとミルク』(B5変上、16ページ) 定価1,260
文芸社より来週7月15日発刊です。

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2008年7月6日

背骨のパトス

昨日と今日、東京国際フォーラムでは「ダイゲイフィルムアワード」が開催されていました。会場では大阪芸術大学出身の映画監督、石井裕也さん、柴田剛さん、元木隆史さん、本田隆一さんの4人にお越しいただいて上映会+トークショーが行われたようです。
あいにく東京には行けませんでしたが、本日、大阪でこれまた大阪芸術大学出身の松岡奈緒美監督の新作ドキュメンタリー映画を見てきました。松岡奈緒美さんは、山下敦弘監督(「天然コケッコー」「リンダ リンダ リンダ」)やダイゲイフィルムアワードの昨日のゲスト・柴田剛監督と同期なのだそうです。
背骨のパトス 松岡奈緒美 監督 花の鼓
本日の上映は2本立てで、2003年の『花の鼓』と今回の新作『背骨のパトス』でした。
とある方からの紹介でこの映画ことを知ったのですが、この世代の活躍中の監督の作品上映ということで「ダイゲイフィルムアワード」の2元中継大阪会場のつもりで「是非見ておきたいっ!」そう思って会場に足を運びました。上映開始の11:00直前に会場に到着し狭い階段を上がろうとするとき、小さなお子さんを2人連れ私の前を上がっていた美しい方が松岡監督でした。
上映前にスクリーンの脇で監督が挨拶されました。「・・・(前略)・・・、(普段生活していると世の中には)いろいろな肩書きがあるかと思います。でもその肩書きを忘れ一人の人間としてこの映画を見ていただければと思います。」 肩書き削除、準備完了。

『花の鼓』は、ご自身が体験された流産や旦那様の祖母様の死というエピソードをご自身の心情を赤裸々に語りながら、生きることの意味を考えていく様子を綴った作品でした。作られた演出がほとんどない「生き様」の力に圧倒されました。私にとって本当に衝撃的でした。ドキュメンタリーの映画をちゃんと見るのは初めてでした。いつもは流行りものの映画しか見ていないので、映画といえば華やか・ド派手・奇想天外なものばかり、それが映画だと勘違いしていた自分を少し恥ずかしく思いました。

続けて『背骨のパトス』が上映されました。『花の鼓』の続編ともいえる松岡監督の人生日記です。作品の中にインタビューの部分があります。『「背骨のパトス」のパトスって何?』、『「女としての私」「妻としての私」「映画作家としての私」とか言って自分の身の回りの様子を撮ってるけど、よくあるホームビデオと何が違うの?』どちらの質問も監督がどう答えるのか興味を持つシーンです。

その次に映像として自分が描きたいものは何か、そんな自問自答で出した「母としての私」が描かれていました。ちなみに「パトス」はギリシア語で「感情的・熱情的な精神」という意味で「ロゴス・エートス=論理」の対義語だそうです。監督はこの言葉を「衝動」のように捉えているのだといってました。
作品の中では、おそらく知人や友人と思われる方々のご家族揃った様子をたくさん編集して見せている部分があり、監督自身のナレーションで「不幸の形はそれぞれ色々あるけれど、幸せの形はどれもよく似ている」という部分がありました。何気ないシーンですがこの部分がとても印象に残りました。また監督ご自身が助産院で第二子を出産される様子を収めたシーンや二人のお子様がお布団の上で戯れている日常のほほえましいシーンなど「母として」幸せに感じるシーンがたくさん詰まった作品でした。ラストシーンはまさに「幸せの形」なのだと思いました。
最後に流れるスタッフロールの中に「架橋」「あつき」という文字を見付けました。ちょっと気持ちが優しくなったような気がします。(それが何故なのかは観てのお楽しみ)

上映終了後、松岡奈緒美監督と少しお話することができました。監督は「(この映画を観て)どんな形でも映画は作れるんだっていうことをたくさんの学生に知ってもらえたらうれしいです」とおっしゃっていました。お話どうもありがとうございました。

『背骨のパトス』は、7月18日(金)まで大阪市北区中崎町のプラネットプラスワンで上映中。
>>>
上映スケジュールはコチラ

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