2009年2月23日

「栞がテーマ」

現在、大阪市西区京町堀にある「ギャラリー 道」では、昨年3月の卒業生のグループ「ミチシルベ」による展覧会が行われています。写真あり、グラフィックデザインあり、絵画あり、テキスタイルデザインあり、金属工芸あり、陶芸あり、家具あり・・・と、作品を出品しているのは学科や専攻もいろいろの13人。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
もともと2007年の秋に学内で行われた「ミチシルベ」という作品展で集まった仲間たちなのだそうです。東京に就職した人もいれば、専門学校に進学した人、大学院に在学中の人、副手さんとして大学で勤めている人など、それぞれの進路は違ってもこうしてまた集まることができるっていいですよね。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
ホームページが立ち上がっていますので、それぞれのメンバー紹介はコチラから。
http://www8.ocn.ne.jp/~yajirusi/
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
クリエイティブな活動をこれからこのメンバーで始めていきたいので今回はメンバーそれぞれの持ち味を紹介するような作品を展示するようにしたのだと紹介されました。会場で受け取ったアンケートに『グループ「ミチシルベ」に今後期待する活動は?』というものがありました。と、尋ねつつ、既に何か計画があるんですねかぇ?
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
会場にいたメンバーの一人(大学院在学中)の方と就職活動のことで立ち話をしました。そう、シュウカツのシーズンです。今日も駅でたくさんのリクルートスーツを着た人を見かけました。話しをしていくうちに「美術とデザインの違い」についてや、「アートとビジネス」のことなど話は広がっていきました。話す中で「美術は僕にとって心の鍛錬のようなものです」という言葉がとても心に引っかかりました。人に見てもらうために生まれてくる作品とそうでない作品があるのかと、少し戸惑いました。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
美術学科を卒業した方全員が画家を目指しているわけではないことはわかります。アートで食っていこうなんてもともと考えていなかったのか、少し諦めに似た気持ちでそうなるのか?前者にせよ、後者にせよ、アートを志す学生の皆さんにもっと勉強してから卒業していって欲しいことを考えさせられます。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
自分をマネジメントする方法です。アートで生きていくにも、就職活動をするのにも自分を売り込む技術が必要です。はじめから成功する人は少ないです、失敗を恐れずチャレンジしていきましょう。大事なのは「同じ失敗を繰り返さないこと」だと言われています(私がエラソーに言えた立場ではありませんが・・・)。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
「ミチシルベ」は漢字で「道標」。本などに挟む「栞」とおなじ意味のものです。メンバーが13人いれば13通りの道があって、良かったこと、悪かったこといろいろな経験をしてきているはずです。折角知り合えた仲間のたくさんの栞を共有すれば、迷ってもきっと不安ではないと思います。皆さん仲間を大切に。

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2009年2月13日

中林誠治 展

今日は池田市立の「ギャラリーいけだ」で行われている中林誠治展に行ってきました。中林誠治さんは昨年2月に第十七回青木繁記念大賞公募展で大賞を受賞された若き美術作家です。本学・美術学科のご出身です。
大賞作となった『パッセージ(1)』はバルサ材を1センチ角の拍子木のように加工し、約26,000個敷き詰めたモザイク画。半立体のキャンバスは独創的でサイズはおよそ100号。芸大通信でも紹介されていたのでご存知の方も多いはず。大賞を受賞されたのがちょうど1年前のことです。ずっと実物を拝見してみたいと思っていました。
中林誠治 青木繁 パッセージ
あいにく会場には大賞受賞作品はありませんでしたが、同時期に制作された『パッセージ(2)』が展示されていました。制作期間はなんと4年間。遠くから見ると写真のようにも見えます。近くで見て、さらに斜め上から・・・と鑑賞することの楽しさも持ち合わせた本当にすばらしい作品でした。
中林誠治 青木繁 パッセージ
ちなみに大賞受賞作品の『パッセージ(1)』は洋画家・青木繁の作品を所蔵している石橋美術館(福岡県久留米市)に買い上げられたのだとか。

中林誠治 青木繁 パッセージ
会場の入り口正面には、大きな具象画が展示されています。これは中林誠治さんの卒業制作作品『瞳の奥に希望が見えますか?』です。この作品は制作現場であるご自宅の部屋の壁いっぱいの大きさなのだそうです。「この作品はほとんど自宅で描いていたのであまりいい成績はもらえませんでした」と中林さん。でもこの作品はその後、“2004兵庫国際絵画コンペティション”で入選する作品となりました。

会場には他にも中林誠治さんの大学在学中の貴重な作品が展示されていました。『パッセージ』のシリーズはバルサ材ですが、爪楊枝を敷き詰めたキャンバスに描かれた作品もありました。『ここから抜け出してどこかへ行こう』は約15万本の爪楊枝を使った作品です。木枠に爪楊枝を敷き詰めるだけでも3週間もかかるんだそうです。彩色され仕上がった作品の完成度は非常に高く感動的です。是非至近距離で鑑賞してみてください。絶妙の間隔で鮮やかな色の爪楊枝が配置されていて“隠し味”のように色面を華やかにしています。
中林誠治 青木繁 パッセージ
また同時期に制作された『未来を見に行こう、時代が変わる前に』は卒業後、第10リキテックス・ビエンナーレ大賞を受賞する作品となりました(この作品は今回の会場にはありません)。20万本の爪楊枝を寄木するという根気のいる作業の先には中林さんの表現したい世界が見えていて、長期間にわたる作業の中でもイメージがぶれることはなく集中して仕上げられたんだろうと思います。
中林誠治 青木繁 パッセージ
在学中、富田林で10万円分もの爪楊枝を購入したこともあるそうです。10万円分は箱で3箱にもなるそうで、その時はお店の人に何に使うのかと不審がられたそうです。受付けの横にはサンプルで1万本の爪楊枝が置かれていました。それを使って制作方法なども説明していただき、さらに驚かされました。裏側から押して凹凸をつけ半立体の表面を構成、形が決まってからボンドで固めるのだそうです。固めるまでは非常に不安定で、ミスをすると何十万本もの爪楊枝がはじけて崩れ、えらいことになるそうです。

中林誠治 青木繁 パッセージ
会場には中林誠治さんの大学在学中の作品も展示されています。ホントに見事な作品ばかりです。大学2年生、3年生の時からここまで描けるのかとビックリしました。これまでの受賞歴が確かな絵画力に裏打ちされていることがわかりました。
中林誠治 青木繁 パッセージ
中学時代から絵描きになりたいという夢を持ち、高校時代は3年間アトリエに通って絵の勉強をしていたのだそうです。大学在学中の中林さんの作品はロマンティックな作品が多いように感じました。卒業制作に近づくにつれメッセージ性の強い作品が現れてきます。さらに爪楊枝やバルサ材などのモザイクという表現が中林さんの個性として加わってくる。こうした作風の変遷の中でも一貫して「手を抜いた感」を微塵も感じさせない点に中林さんの作家魂のようなものを感じました。

1日およそ200人の方がギャラリーを訪れるのだそうです。私が伺った時、ちょうどデザイン学科の在校生が来られていました。でもまだ大阪芸術大学関係の方が少ないそうです。「だって遠いですからね」、と中林さんは笑っておられましたが、これは「どげんかせんとイカン!」。
是非この週末に中林さんの作品を見にお出掛けください。

●中林誠治 展
2009
211日(水)→16日(月)
AM10:00
PM7:00 (最終日はPM4:00まで)
 池田市立 ギャラリー「いけだ」
   Tel.072-753-5454
   阪急電車「池田駅」構内2階 (改札を出て左。スグのところです。)
   http://www.azaleanet.or.jp/

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2009年2月11日

はじめての卒展、キャラ造。

学内では卒業制作展が続いています。今年度はじめて卒業生を送り出すキャラクター造形学科は、はじめての卒展です。会場は20号館と19号館に分かれており、全体で5つの教室を使って開催されています。

キャラクター造形学科 卒業制作展
19
号館の3階の会場ではアニメ作品の上映とアニメ制作のための美術や絵コンテ、企画書などが展示されていました。作品上映の会場と作品展示会場が別ですので、どちらも是非ごらんにください。私はゆっくり見れなかったので、ちょっと物足りなさが残りました。

キャラクター造形学科 卒業制作展
19号館2階の会場ではゲーム作品が行われていました。カルタやカードゲーム的な作品など様々なゲーム提案がありましたが、もっとゲーセン的な展示ができれば面白いでしょうね。
キャラクター造形学科 卒業制作展

キャラクター造形学科 卒業制作展
キャラクター造形学科 卒業制作展
20号館では小池ゼミ、バロンゼミ、里中ゼミそれぞれ1教室ずつを使って作品が展示されていました。どんなジャンルの作品でもそうですが、作品それぞれの世界観が違いますのでこれだけ密集して展示してある全体が雑然として見えたのが少し残念でした。だって一つ一つの作品がこれだけ主張してますもの。
キャラクター造形学科 卒業制作展
在学中にマンガ雑誌などに掲載された方やコンペで受賞作品がある方は、卒業制作作品と共にその掲載誌の実物を展示する様子もありました。今回卒業する「キャラクター造形学科05年度生」を含んだ在校生、卒業生の最近の活躍を研究室からお聞きしてまとめてみました。
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《掲載》
菊田タクミ(キャラクター造形学科05年度生)
集英社 ジャンプSQ増刊 ジャンプSQII(セカンド)
「きつねとカクレンボ」
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《受賞》
金太(キャラクター造形学科05年度生)
講談社 週刊少年マガジン 9月期MGP 佳作
「BROTHER」
この作品はマガジンHP「マガメガ」で読めます。
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《受賞》
植田景子(キャラクター造形学科05年度生)
講談社 週刊少年マガジン 9月期MGP 奨励賞
「アトリエ」
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《受賞》《掲載》
重 陽児(キャラクター造形学科06年度生)
講談社 少年シリウス 第11回少年シリウス新人賞 佳作
「君に贈る」
この作品は1226日発売の少年シリウス2月号に掲載されています。
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《受賞》
河原田瞳美(キャラクター造形学科07年度生)
講談社 デザート ホープ賞
「スキ、キス」
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《受賞》
白石文武(キャラクター造形学科07年度生)
第一回 プロダクションIG×マッグガーデン コミック大賞 入選
「JAPANESE FAMILY」
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《受賞》
七海洋一(小池ゼミ1期生)
集英社 ビジネスジャンプ 第4回漫画維新 原作部門 奨励賞
「カルネアデスの遊戯」
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《出版》
椎橋 寛(小池ゼミ1期生)
1月 集英社ジャンプコミックス
「ぬらりひょんの孫」第3巻 発売!!
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さぁ、今後もドンドンいきましょう!

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2009年2月9日

中村佑介さんの講演会に行ってきました。

昨日、大阪市立デザイン教育研究所で行われた中村佑介さんの特別講義を聴講しに行ってきました。そうアジカンのCD、DVDのジャケットデザインや数多くの書籍の装丁デザインを手がける超人気のイラストレーターです。
中村佑介 アジカン CDジャケット
会場となったデザイン教育研究所2階のギャラリーには300人(推定)を超える中村佑介ファンが詰め掛けました。会場の入り口から溢れ、廊下にまで人が。中村さんの顔も、きっとスライドも見えないだろうにと思えるそんな状況でも「せめて声だけでも、内容だけでもと」集まってこられた方々が会場を埋め尽くしました。なんと名古屋、そして広島、遠くは福岡からも今日の講演会を聴きに来られた方があり中村さんの超、超人気ぶりがそんなことからも窺えました。

阿倍野在住の中村さん。会場にはお母さんも来られていたのだとか。照れくさそうにそんな話をしながらも、そのことをネタに笑いを挟み終始リラックスしたムードの特別講義が進められました。これまで数多くの講演会をされてきた中村佑介さん。今回も友人の柏木さんとのトーク形式です。事前に進行についてはお2人で打ち合わせがあったようですが、即興のトークライブのような雰囲気で柏木さんとの息はピッタリでした。
中村佑介 アジカン CDジャケット
講演会などでよく登場する質問を交えながら、中村佑介さんの学生時代のことやこれまでのデザイン活動、仕事の進め方のお話があり、デザイン教育研究所の方々から事前に集められた質問への回答などなごやかなムードで楽しいトークが続きました。途中一般の聴講の方からも多くの質問がありました。そりゃそうです、というのも質問した方にはアジカンのCD販売促進用のポスターのプレゼントがあるんですもの。もちろん枚数限定。中村佑介さんの自宅にあったものを全部持って来てくださったとのこと。ポスターがなくなると最後には、最近発売が開始されたばかりの中村佑介さんデザインのUT(ユニクロTシャツ)も登場し会場は歓喜の声があがりました。
中村佑介 アジカン CDジャケット
●中村さんの作品には、女の子以外に動物などが多く登場しますが、中村さんの好きな動物は何ですか?ちなみに私はパンダです。
●中村さんの頭の中もあんな風(作品のような世界観)なのでしょうか?
●スランプになることはありますか?
●今、ハマっていることは?
●パソコンに「影響」というフォルダがありますが、どんな人(作品)に影響を受けましたか?
●中村さんにとってイラストとはなんですか?
どの質問にも興味深い回答をされていました。どれも堅苦しい答えではなく、シンプルで的確なお話でした。ご自身のイラストレーションの仕事へのポリシーやモットーなど、デザインを学ぶ方々にとっては非常に参考になったと思います。

私が聴いていたすぐそばで当ててもらった方が、大阪芸術大学のデザイン学科1年生でした。『大阪芸術大学出身だそうですが、大阪芸術大学のどんなところが良かったですか?』
どんな答えが返ってくるのかと、あの瞬間はとても集中して回答を待ちました。中村さんは『話ではなく、アノ場所に行った人しかわからないことだと思いますね。私のはじめの頃の作品には喜志駅周辺や富田林などの風景、近鉄電車、金剛バスなどが描かれています。“都会でないと仕事できない”なんて思っていませんので、東京にも行かずこうして大阪で暮らしています。大学で先生から学んだことも多いですが、自分がその環境をどう受け入れるかが大切だと思います。学ぶ環境と自立心が養えたってことですかね。』
中村佑介 アジカン CDジャケット
会場には貴重な作品原画が展示されて、使用した画材やこの作風に至るまでの話も紹介してくださいました。特にアジアンカンフージェネレーションのジャケットのお仕事の歴史を作品紹介とともに解説いただいたところは興味深かったです。いつか大阪芸術大学で講演いただけることを考えてネタバレしないように詳細には触れませんが、数々のエピソードの中には「えーそうだったの!」と驚かされることが多く、中村佑介ファンにはたまらない目が輝くようなお話が続きました。
中村佑介 アジカン CDジャケット
この特別講義の最後には、来てくれてた人のためにと2種類のポストカードを数百枚ずつ用意していただいていました。講義終了後ごった返す会場ではあっという間になくなってしまい、先に原画を鑑賞していた私には手に入りませんでした。私の完全な作戦ミスです。
中村佑介 アジカン CDジャケット
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分押しで講義が終了し、その後一人一人に対して、サインに応じる中村佑介さんの姿がありました。最後の方と対応されたのは講義終了から約2時間後。ポストカードや手帳などに直筆の絵を加えながら丁寧に話す様子は講演の疲れも見せずやさしい笑顔でした。

5月に200ページを超える画集が出版される予定の中村佑介さん。このヴォリュームで3,000円(予定)というお値打ち価格で抑える予定なのだそうです。なんとファン思い。絶対買いです。
また、音楽活動でも忙しくされているそうで、SILSというバンドでCDをリリースされる予定なのだそうです。また個人の活動として221日に京都でライブも予定されているのだとか。

途切れることのないお仕事。超多忙の中でも楽しみを見つけていること。常に笑顔で活躍される姿。これが人気の秘密なのだろうと感じました。

●中村佑介さん関連WEBサイト
 「僕のアベノライフ」(ブログ)
 「檸檬通り」(公式サイト)
 「うた日記」 
 digmeout

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2008年12月25日

「DOOR 2008」展

大阪市西区京町堀にある「Port Gallery T」では現在「DOOR 2008」展が開催されています。もともと写真を中心としたギャラリーだそうですが、この「DOOR」展では若手作家によるジャンルを超えた作品を交えての展覧会となっています。今年で2回目を迎えるこの展覧会に本学の卒業生2名と大阪美術専門学校の卒業生が出品していました。
Port Gallery T DOOR2008
あまのいつこ”さんの作品は平面作品が多い中で唯一の立体作品です。『かおコップたちとおやじのハーモニー』、この異質な感じがなんとも心地良いです。プッと笑顔になってしまうのは、あまのさんの意図にまんまとはまっているからです。
Port Gallery T DOOR2008
あまのさんは学部を卒業後、大学院に進まれ修了制作(2005年)ではユーモア溢れる陶芸作品を制作されました。生活の中にユーモアをもたらす作品づくりをコンセプトにされている作家さんです。2月にも個展が予定されているそうです。あまのさんの活動展開のキーワードは「生活」「ユーモア」そして「ナンセンス」だそうで、今後は土だけに頼らずに表現していきたいとおっしゃっています。
Port Gallery T DOOR2008
Port Gallery T」ではお馴染みだそうなのですが、「かおコップ」はこの展覧会のスタート2日目には品薄となり、その後あっという間に完売したとか。次回は早めに買わなければ・・・。

油画の作品を出品しているのが井上光太郎さん。井上さんは2005年に大阪美術専門学校研究科を修了され、その後大阪、東京、横浜でも個展を数多く開かれています。一度みるとなんだか気になってしまう作品です。描かれるシーンがどれも夜であること、そして対象物がどれも日頃美しいとは感じないものばかりなのです。井上さんの作品の不思議な魅力。どうして気になるんだろう?夜に住宅からこぼれる光、夜の自動販売機の光、タクシーのテイルランプ、夜のコンビニエンスストア・・・などなど、絵具をたっぷり使う描写方法とシンプルな構図が個性的な作品です。
Port Gallery T DOOR2008 
展示されている『ヒビ割れた時間、まとわりついたファズ』という作品以外にも、“mini book”を買う事ができます。これは井上さんの作品がページごとに貼られている手帳で、購入した人が作品を増やしたいと思ったら作品を指示して手帳を井上さんに送るというコミュニケーションツールです。

写真作品を出品しているのは舩附智美さんです。舩附さんは文芸学科の出身。卒業後、写真表現大学で学ばれたそうです。出品されている『渚』」という作品はとても詩的なイメージで制作されていました。それは「文芸学科卒業」という文字を見た私の先入観からかもしれませんが。
Port Gallery T DOOR2008 
渚に降り、水面に顔を近づけてソーっと覗いてみた何気ない水の中に、生や時間など混沌としたものを感じ撮影されているそうです。作品紹介文の中では「生きているもの」「生きていたもの」という言葉などを使って表現されていました。この「まろやかな言葉選び」から舩附智美さん優しい作家像が想像できました。

この時期、あちこちのギャラリーでもきっとたくさんの在校生、卒業生が展覧会をしているんだろうなぁ、と想像しつつ年の瀬を迎えようとしています。最近「造形系の記事ばっかりだ」というご意見をいただくことがあり、少々反省。確かに偏ってきているのは薄薄感じておりました。来年からのブログの方向性を修正しなければ!皆様、ご協力お願いいたします。

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