2009年3月11日

田村早絵 作品展 ?まめくらげ?

大阪市天王寺区にある「SoHo Art Gallery Cafe」にて310日からはじまった個展「田村早絵作品展 ?まめくらげ?」に行ってきました。会場にはアクリルガッシュで手描きしたイラストレーション、銅版画、シルクスクリーンプリントで制作された作品がおよそ20点展示されていました。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
田村早絵さんはデザイン学科の出身で、卒業後、副手さんとしてデザイン学科の研究室に勤務されています。早いもので3年前からの勤務もいよいよ最後。退職後は東京で制作活動を続けていかれるのだそうです。学部生としての4年間を数えると7年。大学を去る前にと、今回の初個展が企画されたのだとか。ギャラリーに伺ったときにはちょうど、芸大の職員さん、デザイン学科の先生、もうすぐ卒業する4年生の方、別のギャラリーのオーナーなど個展を観に来ていた方が多く、作品数が多いこともあってか結構賑わっていました。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
田村さんは男性のスーツ姿に魅力を感じるそうで、個展のDMに使われている作品のイラストレーションにもスーツ姿のキャラクターが登場しています。イメージとしてはペットボトルぐらいのサイズの小さなサラリーマンを描いているのだそうです。顔は無表情ですが、計算機に乗ってあくせくしている様子や毛糸に絡まって途方にくれている様子、赤いキノコに座ってボーっとしてる様子など、彼の日常と非日常を描いたイラストからはなんともいえない哀愁が感じられます。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
絵のタッチせいからか、ほのぼのとして愛らしさのある作品でした。田村さんはこのシリーズの中で『ゆめごこち』と『ひとやすみ』が気に入っているそうです。

田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
また、今回の個展のために初めて挑戦した銅版画の作品もありました。腐食液などは使わずドライポイントのみで、銅版へのインクの残し方に随分苦労しながらの制作だったそうです。『釣り人』という作品では、仕上がったプリントに水彩で色を入れ、更にその上から孔版(シルクスクリーン)で明るい色で星などの空の表情を加え、とても雰囲気のある作品に仕上がっていました。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
そしてお得意のシルクスクリーンの作品の数々。会場にあるポートフォリオからわかるのですが、もともと動物を擬人化するイラストレーション作品を多く制作されていたのでこれまでいろいろな種類の動物達を観察されてきたのだと思います。特にシマウマやキリンなどの草食の動物が好きだということでした。今回、テキスタイルデザインを意識して作られた作品には額装された平面作品の他、布地にプリントした作品を使って作られたブックカバーやぬいぐるみなどもありました。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
その中に楽しい試み見つけることができました。お気に入りのシマウマの縞模様は木目を、エリマキトカゲの模様は葉脈をスキャナして、羊の模様は羊雲の写真を利用してと、自然のなかにあるものをデザインに生かしています。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
ちょっとシャレが聞いていたり、表情がその動物にピッタリだったり。この発想は面白い!じゃぁ、カエルだったら?ハリネズミだったら?フラミンゴは?と考えてしまいます。是非是非、ヴァリエーションを増やしてほしいなと思いました。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
こんな発想も、まずは自然を観察するところからですよね。大阪芸大は周りが自然に囲まれていますので、学内外問わず自然観察の宝庫です。四季を自然から感じることができるので、デザインを勉強する人たちにとっても少し田舎である環境の方がアイデアも広がっていいですよね。
田村早絵 作品展 ?まめくらげ?
この春、卒業して東京に行かれる方も多いと思います。それぞれの方がどんなところにお住まいになるのかはわかりませんが、都会の生活に行き詰ったら自然を感じる場所に行ってください。そして大阪芸大を思い出して気持ちをリセットしてくださいね。皆、がんばれー!

●「田村早絵 作品展 ?まめくらげ?」
  2009310日(火)→15日(日)
  12001900(最終日のみ1700まで)
  会場:SoHo Art Gallery Café
     大阪市天王寺区生玉町10-20 (最寄り駅:地下鉄谷町線「谷町九丁目」)
     http://web.mac.com/celio_barreto/iWeb/SoHo/Welcome.html

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2009年3月4日

Positive Taboo 「加賀城 健 展」

もうこのブログでもお馴染みとなったYOD Galleryでは「加賀城健 展 –Positive Taboo」がスタートしています。“前向きなタブー”って一体何なの?その謎を究明するために早速ギャラリーに伺ってきました。
加賀城健 Positive Taboo
ギャラリーの入り口横のタイトルスペースの壁面の華やかなディスプレイがお出迎えです。搬入には実に4日間もかかったんだそうです。内部のギャラリースペースも加賀城さんの制作姿勢を反映しこだわりぬいた展示に仕上がったそうです。

加賀城健 展 –Positive Taboo-
加賀城健さんは本学・工芸学科卒業後大学院に進学され、更に大学院修了後研究員としても1年在籍されていました。大学院を修了される年から京都、東京などで数多くの個展を発表されてきました。工芸の伝統技法を重んじる見方からすると「失敗」とされるプロセスから、新たなアートを展開する工芸作家です。その実験的な制作活動から生まれる造形に美術的な表現の面白さを見出し、そこに独自性を加えて完成された作品には伝統工芸と現代美術を行ったり来たりするような愉しみが感じられます。
加賀城健 Positive Taboo
ギャラリーに入ってまず目に飛び込んでくるのは、その動きのある展示方法です。YODの展示で初めてギャラリーの角を斜めに橋渡し、二つの壁面を繋いで使ってみたのだそうです。一般的には染織の作品は壁面の高い位置から垂らすように床まで拡げて展示することが多いそうですが、ここでも伝統に反抗するように「こだわりの横向き」。そんなこだわりからも加賀城さんの挑戦的な姿勢が窺えます。
加賀城健 Positive Taboo
グルリと見回してみると他の壁面も大小の作品の対比が際立つような大胆なレイアウトで雰囲気の違う作品がずらり。何から聞いていいのか、ちょっと取り乱されました。

染織の技法には例えば友禅染などで用いられている「糊防染法」というものがあります。餅粉と糠(ぬか)を混ぜ、蒸して作られる糊を使っていわゆる“マスキング”をする技法です。加賀城さんはこの糊によってできる斑(ムラ)や罅(ヒビ)の状態を積極的に取り入れる独特の制作方法でその独自性を築いてきました。このプロセスが伝統技法では“技術的に未熟”だったり、“良くないお手本”として見られるのだそうです。
加賀城健 Positive Taboo
正面に展示されている作品『Discharge –かみなりおこし“再生”』の縞模様は加賀城さんの運動の過程が刻まれたものなのだそうです。生地に糊を押し付けて延ばしながら移動するスピードによって糊の厚さに斑ができます。そしてその生地を染めるのではなく脱色するという方法。

加賀城健 展 –Positive Taboo- 
糊を施した後の生地を急激に乾燥させると罅割れてきます。『Crack –はじまればおわる、または“A』のシリーズは、その罅から染み込んだ染料が生地に残す形を使った作品なのだそうです。

また前々から構想はあったそうなのですが、今回のYODでの個展のためにカラフルな作品も挑戦したそうです。薄い布地に落とされる様々な色の染料が生地の上で“陣取り合戦”をしながら染み拡がっていくのを観察して楽しみながら出来上がった作品なんだそうです。薄い生地は2重に重ねて制作するので拡げるとシンメトリーになっています。DMなどメインビジュアルとして使われている作品は『Fold–戦士』。
 加賀城健 Positive Taboo
更に一部をトリミングして左右対称の対の作品として展示されているのが金運がアップしそうなタイトルです。
加賀城健 展 –Positive Taboo-
ギャラリーにいた加賀城健さんは「他力」という言葉を使って「“した”ではなく“なった”」というニュアンスの「偶然性」を大切にしておられることや、「素敵なものが自分の目の前にやってきた時に見過ごしてしまうのではなく、ちゃんとそれに気付ける“目利き”のような部分をこれからもっと鍛えていきたい」、そんなお話をしてくださいました。子供の頃、遊びの中で気付いた「発見」や「面白さ」を素直に受け止める感性がこれらの作品を生み出してきたんだなと思いました。

思いつくままに質問する私に困惑することなく、落ちついて一つ一つ丁寧に説明して下さるような誠実さと堅苦しくない雰囲気の持ち主です。その実験的な独自の制作方法から「正統から外れている」、「特異な存在」として見られてきた作家さんだそうですが、とても穏やかな話し方で攻撃性を感じるような部分は全くありませんでした。ただ良い意味での頑固さがあって「なぜそうじゃなきゃいけないのか」ということを伝統工芸の世界に問い続けてきたんだと思います。

「抑圧されたものが反発で何かを生み出した」とは穏やかではない。「温故知新」、そう考えましょうよ。日本には平和的な良い言葉があるものです。そして、新しい技術も時間が経てば伝統技術に変わるときが来るんだ、そう思います。伝統を蔑ろにするわけではありませんが、美術工芸の世界は何が革新で、何が伝統かを区別するようなフィールドではないなと、この個展を通じてそんなことを考えました。
『「【〔感想〕】」』→カッコつけ過ぎな感想、ですね。(求ム失笑)
加賀城健さん、YOD山中俊広さん、お話ありがとうございました。

●加賀城 健 展 – Positive Taboo –
 200933日(火)→21日(土) 11:0019:00
 閉廊日:毎週 日曜日、月曜日(320日〔金・祝〕は開廊)
 会 場:YOD Gallery (大阪市北区西天満4-9-15) TEL.06-6364-0775

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2009年2月23日

黒崎創 写真展 「虚空」

水の入った透明のグラスに牛乳を数滴・・・。それを光に翳してみる。白濁した液体は水の中で、なんだか青白くみえる。実はこれ・・・、何の説明かって言うと・・・、光には波の特性があって、色によってその波長が・・・
「そんな講釈なんてどうでもいいよ・・・、ただ目の前の青に見惚れていればいい。」
そんな気持ちになる作品に今日、出会いました。
黒崎創 虚空 Port Gallery T 空はなぜ青いのか
以前もブログで取材させていただいた「Port Gallery T」では『黒崎 創 写真展「虚空」』が開催されています。作品が展示されたホワイトキューブのギャラリー内は、青い写真作品だけがすべての壁に展示されていて、どの方向を見ても整然とした青によってキリッとした印象です。
黒崎創 虚空 Port Gallery T 空はなぜ青いのか
黒崎さんは写真学科のご出身で、卒業後、副手としてお勤めだった時期もありました。ギャラリーの方によるとその頃はモノクロの作品で、印象としては「真っ黒」に近いほどの作品を制作されていたそうです。その後、制作を続けながら現在は京都造形芸術大学や神戸芸術工科大学などで写真を指導するお仕事もされているのだとか。この写真展で展示されている作品はここ5年ぐらいの間に制作されたものなのだそうです。
プロフィールはコチラ >>> Port Gallery T
黒崎創 虚空 Port Gallery T 空はなぜ青いのか
心が清められるような「青」の秘密をギャラリーにいた黒崎さんに尋ねてみました。
1
年の間で2週間ほどのわずかな期間しか撮影することができない空の色なのだそうです。それは空気が乾燥していて雲がない空、ちょうど今ぐらいの寒い季節。夕焼けも終わって日が沈み、夜が訪れる直前の数分間の青白く残る光を寒さに震えながら撮影するんだそうです。
黒崎創 虚空 Port Gallery T 空はなぜ青いのか
一見、海底深くから水面に向かってシャッターを切ったのかとも思えるディープブルー。空だと思ってみれば、そこには輝き始めた星などが糸を引くように写りこんでいるのがわかり、一層幻想的な表情です。

そしてまた「なぜ空は青いのか?」「宇宙の色を薄めていけば空の青になるのかなぁ?」そんなことを考えながらも、その思考はどこか遠くの空へ行ってしまって、「空には何もないのだと思うし、自分も何も考えていなかったんだ」と、思いました。

是非、会期中に幻想的な青の美しさを見に行ってください。

●黒崎 創 写真展 「虚空」
2009
223日(月)→37日(土)
12
001900 (土曜日18時まで/日曜休廊)
Port Gallery T
黒崎創 虚空 Port Gallery T 空はなぜ青いのか

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2009年2月23日

「栞がテーマ」

現在、大阪市西区京町堀にある「ギャラリー 道」では、昨年3月の卒業生のグループ「ミチシルベ」による展覧会が行われています。写真あり、グラフィックデザインあり、絵画あり、テキスタイルデザインあり、金属工芸あり、陶芸あり、家具あり・・・と、作品を出品しているのは学科や専攻もいろいろの13人。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
もともと2007年の秋に学内で行われた「ミチシルベ」という作品展で集まった仲間たちなのだそうです。東京に就職した人もいれば、専門学校に進学した人、大学院に在学中の人、副手さんとして大学で勤めている人など、それぞれの進路は違ってもこうしてまた集まることができるっていいですよね。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
ホームページが立ち上がっていますので、それぞれのメンバー紹介はコチラから。
http://www8.ocn.ne.jp/~yajirusi/
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
クリエイティブな活動をこれからこのメンバーで始めていきたいので今回はメンバーそれぞれの持ち味を紹介するような作品を展示するようにしたのだと紹介されました。会場で受け取ったアンケートに『グループ「ミチシルベ」に今後期待する活動は?』というものがありました。と、尋ねつつ、既に何か計画があるんですねかぇ?
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
会場にいたメンバーの一人(大学院在学中)の方と就職活動のことで立ち話をしました。そう、シュウカツのシーズンです。今日も駅でたくさんのリクルートスーツを着た人を見かけました。話しをしていくうちに「美術とデザインの違い」についてや、「アートとビジネス」のことなど話は広がっていきました。話す中で「美術は僕にとって心の鍛錬のようなものです」という言葉がとても心に引っかかりました。人に見てもらうために生まれてくる作品とそうでない作品があるのかと、少し戸惑いました。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
美術学科を卒業した方全員が画家を目指しているわけではないことはわかります。アートで食っていこうなんてもともと考えていなかったのか、少し諦めに似た気持ちでそうなるのか?前者にせよ、後者にせよ、アートを志す学生の皆さんにもっと勉強してから卒業していって欲しいことを考えさせられます。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
自分をマネジメントする方法です。アートで生きていくにも、就職活動をするのにも自分を売り込む技術が必要です。はじめから成功する人は少ないです、失敗を恐れずチャレンジしていきましょう。大事なのは「同じ失敗を繰り返さないこと」だと言われています(私がエラソーに言えた立場ではありませんが・・・)。
ミチシルベ 栞のテーマ ギャラリー道 矢印
「ミチシルベ」は漢字で「道標」。本などに挟む「栞」とおなじ意味のものです。メンバーが13人いれば13通りの道があって、良かったこと、悪かったこといろいろな経験をしてきているはずです。折角知り合えた仲間のたくさんの栞を共有すれば、迷ってもきっと不安ではないと思います。皆さん仲間を大切に。

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2009年2月13日

中林誠治 展

今日は池田市立の「ギャラリーいけだ」で行われている中林誠治展に行ってきました。中林誠治さんは昨年2月に第十七回青木繁記念大賞公募展で大賞を受賞された若き美術作家です。本学・美術学科のご出身です。
大賞作となった『パッセージ(1)』はバルサ材を1センチ角の拍子木のように加工し、約26,000個敷き詰めたモザイク画。半立体のキャンバスは独創的でサイズはおよそ100号。芸大通信でも紹介されていたのでご存知の方も多いはず。大賞を受賞されたのがちょうど1年前のことです。ずっと実物を拝見してみたいと思っていました。
中林誠治 青木繁 パッセージ
あいにく会場には大賞受賞作品はありませんでしたが、同時期に制作された『パッセージ(2)』が展示されていました。制作期間はなんと4年間。遠くから見ると写真のようにも見えます。近くで見て、さらに斜め上から・・・と鑑賞することの楽しさも持ち合わせた本当にすばらしい作品でした。
中林誠治 青木繁 パッセージ
ちなみに大賞受賞作品の『パッセージ(1)』は洋画家・青木繁の作品を所蔵している石橋美術館(福岡県久留米市)に買い上げられたのだとか。

中林誠治 青木繁 パッセージ
会場の入り口正面には、大きな具象画が展示されています。これは中林誠治さんの卒業制作作品『瞳の奥に希望が見えますか?』です。この作品は制作現場であるご自宅の部屋の壁いっぱいの大きさなのだそうです。「この作品はほとんど自宅で描いていたのであまりいい成績はもらえませんでした」と中林さん。でもこの作品はその後、“2004兵庫国際絵画コンペティション”で入選する作品となりました。

会場には他にも中林誠治さんの大学在学中の貴重な作品が展示されていました。『パッセージ』のシリーズはバルサ材ですが、爪楊枝を敷き詰めたキャンバスに描かれた作品もありました。『ここから抜け出してどこかへ行こう』は約15万本の爪楊枝を使った作品です。木枠に爪楊枝を敷き詰めるだけでも3週間もかかるんだそうです。彩色され仕上がった作品の完成度は非常に高く感動的です。是非至近距離で鑑賞してみてください。絶妙の間隔で鮮やかな色の爪楊枝が配置されていて“隠し味”のように色面を華やかにしています。
中林誠治 青木繁 パッセージ
また同時期に制作された『未来を見に行こう、時代が変わる前に』は卒業後、第10リキテックス・ビエンナーレ大賞を受賞する作品となりました(この作品は今回の会場にはありません)。20万本の爪楊枝を寄木するという根気のいる作業の先には中林さんの表現したい世界が見えていて、長期間にわたる作業の中でもイメージがぶれることはなく集中して仕上げられたんだろうと思います。
中林誠治 青木繁 パッセージ
在学中、富田林で10万円分もの爪楊枝を購入したこともあるそうです。10万円分は箱で3箱にもなるそうで、その時はお店の人に何に使うのかと不審がられたそうです。受付けの横にはサンプルで1万本の爪楊枝が置かれていました。それを使って制作方法なども説明していただき、さらに驚かされました。裏側から押して凹凸をつけ半立体の表面を構成、形が決まってからボンドで固めるのだそうです。固めるまでは非常に不安定で、ミスをすると何十万本もの爪楊枝がはじけて崩れ、えらいことになるそうです。

中林誠治 青木繁 パッセージ
会場には中林誠治さんの大学在学中の作品も展示されています。ホントに見事な作品ばかりです。大学2年生、3年生の時からここまで描けるのかとビックリしました。これまでの受賞歴が確かな絵画力に裏打ちされていることがわかりました。
中林誠治 青木繁 パッセージ
中学時代から絵描きになりたいという夢を持ち、高校時代は3年間アトリエに通って絵の勉強をしていたのだそうです。大学在学中の中林さんの作品はロマンティックな作品が多いように感じました。卒業制作に近づくにつれメッセージ性の強い作品が現れてきます。さらに爪楊枝やバルサ材などのモザイクという表現が中林さんの個性として加わってくる。こうした作風の変遷の中でも一貫して「手を抜いた感」を微塵も感じさせない点に中林さんの作家魂のようなものを感じました。

1日およそ200人の方がギャラリーを訪れるのだそうです。私が伺った時、ちょうどデザイン学科の在校生が来られていました。でもまだ大阪芸術大学関係の方が少ないそうです。「だって遠いですからね」、と中林さんは笑っておられましたが、これは「どげんかせんとイカン!」。
是非この週末に中林さんの作品を見にお出掛けください。

●中林誠治 展
2009
211日(水)→16日(月)
AM10:00
PM7:00 (最終日はPM4:00まで)
 池田市立 ギャラリー「いけだ」
   Tel.072-753-5454
   阪急電車「池田駅」構内2階 (改札を出て左。スグのところです。)
   http://www.azaleanet.or.jp/

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