2011年3月1日

ミオ写真奨励賞作品展 井上尚美 優秀賞受賞

    

 みなさんこんにちは、ゲイブルちゃんです!今日は投稿ブログを紹介します!

 ミオ写真奨励賞作品展が天王寺ミオ12階ミオホールで2月5日から13日まで行なわれました。この公募展で、井上尚美さん(映像学科01卒)が優秀賞を受賞されました。まずこの写真コンテストのコンセプトを、写真家でありこの作品展のディレクターでもある吉川直哉さん(写真学科卒)のコメントを、ミオ写真奨励賞作品展ホームページから抜粋し記載させて頂きました。

芸大から近いということで、見に行った方も多いのでは?

 1998年、天王寺ミオ誕生3周年を記念して、大阪発の写真公募展、ミオ写真奨励賞がスタートしました。ちょうど、写真に対する一般的なイメージが、重厚なものから気軽に楽しめる明るいものへと変わりつつあるときです。写真企業による若者を対象にした写真公募展が増え、幅広いジャンルの写真展が商業空間でも頻繁に開かれるようになり、一般雑誌でも写真特集が組まれました。若者にとって写真が身近なものになってきた頃です。

 ミオ写真奨励賞は、国内外の若者による多様な写真表現を展覧会でご紹介することを大切にしたいと考えています。そしてドキュメンタリーやアートといった部門を設けず、作品の優劣だけではなく、作家の可能性などを含め、幅広く応援をしたいという姿勢を持っています。ですから、「奨励賞」をグランプリにして、賞金ではなく写真奨励金と呼ぶのは、今後の創作活動を応援するという主旨からです。
                            
ミオ写真奨励賞 http://www.miophoto.jp/ 

 一般的公募展と異なり、若手アーティストの育成を基本としたコンテストになっています。特徴として過去の受賞者たちの動向も本ホームページで紹介されております。

空白の部分が想像を掻き立てます!
 受賞された井上さんの作品は、縦横30センチ程度の正方形の画面を、縦7段横15列に規則正しく配置してありました。また、配置された幾つかの場所は、画面と同じ面積がくっきりと抜かれ展示壁がそのまま露出されているという展示形式でした。
 今回は、複数の写真で空間を構成するインスタレーション形式が数多く見受けられました。しかし井上さんの作品はインスタレーション形式というより壁画的或は宮廷絵画のようなl観者を圧倒的ボリュームで包み込むような印象でした。しかしそのような大きなボリュームがありながら色彩の軽やかさとリズム感が身体全体に響きわたるような気持ちよさがあります。

迫力がありますね!

モネの「睡蓮の部屋」のような感じでしょうか。また作品を構成している一枚一枚の作品は、私たちがどこかで経験したような風景が絶妙な画面構成で撮影されており、また、画面イメージの前後左右の配置には特に直接の時間軸も物語も無いようでした。その事で観者は自由に画像を読む事が出来一人一人異なった物語が生まれそうな印象でした。井上さんの作品の鑑賞は、画面から距離をおいてと近づいての見え方が異なり、興味深い作品でした

 2月5日に開催された審査員ギャラリートークのなかで、審査員によると、井上さんの作品は最後まで奨励賞(グランプリ)を競っていたそうです。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師


2011年2月28日

Wonderful Choco 池田高弘展

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 池田高弘(美術学科07卒)展が2月12日から19日まで番画廊で行なわれました。
 会場に入り作品を見渡したとたん、私の中で困惑と親和性が同時におこりました。壁にはシルクスクリーンによる版画作品陶器作品抽象絵画、そして美術作品展示とは異なる,レストランに設置してある食品見本展示台の様なものに、皿やチョコレートイメージの陶器作品が展示されていました。
 私にはこれらの絵画、版画、陶器作品など個別のメディウムと全体の展示との関係を理解することは困難な作業でした。しかしそのような困惑した中にも、親しみやすい安堵する感覚もありました。

こんなにおいしそうな作品も!壁には版画作品が・・・でも・・・??

 

舐めたらココアの味がするのかな??

 作家のコメントでは、版画や絵画、陶器に着色された絵具顔料にはココアパウダーを混入させているのだそうです。私の感じた親和性の一つは、食材パウダーという身近にありしかも食べ物の色という日常的経験が、そのような感覚になったのだと思いました。

絵具に食材を混ぜるなんて驚きですね!!

 池田さんは、食材パウダーを絵具の原材料と多様な媒体を横断し制作しておられるようでした。
 

なんだかチョコが食べたくなってきました!!

 抽象絵画は、私が経験している抽象絵画の表面感覚ではなく、陶器のようなつるつるとしたセラミック感覚で、ドロッピングされた絵具の流れの端が見せる盛り上がったところは、緩やかな弧をえがき絵具とは異なるテクスチャーを見せていました。
 もう一つの親和性は、抽象画と思われるものは、具体的スイーツの一部をクローズアップし絵画に再構成したものだと分かりました。 今回の困惑した要素に、抽象画と具象物が同時に展示してある事でおこったものですが、私が抽象として見ていた作品は、具体的もののクローズアップによる抽象的イメージである事が分かり、私の中で一連の作品は一つの水平面に位置する事が出来ました。
 池田さんは日頃見慣れたスイーツが作り出す表面のイメージを絵画や版画、陶器のフレームに再構成しているアーティストなのです。
報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年2月25日

「5人の色 様々に。55555」グループ展

        

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 2月12日から17日まで、「5人の色 様々に。55555」グループ展が中央区瓦屋町のdix  anneesで行なわれました。企画、出品者は芸術計画学科09卒業生と在学生で構成されています。
展覧会場は雑貨屋さん内にある小さなギャラリーでの発表で、出品者のコメントとタイトルから学生時代からの友人の集まった展覧会であること、個性の違いをテーマにしていることを読み取る事ができます。
 グループ展で作品発表するにあたり、それぞれ表現スタイルが異なって当然であり、それを前提とした企画内容であれば、どこが魅力的なのか疑問に思っていました。
 会場では、学生時代から続けてきた制作をさらに発展させている作品や新作もありました。
 雑貨屋さんという場所で、透明塩化ビニールに自然のイメージを着色構成した衣装作品などは、場所の特性を活かしたものになっていたと思います。

場所の特性を生かした展示となっています! 卒業してからも制作活動を続けているんですね! 一人一人の個性が溢れる作品ですね!   

 友達で集まっただけの展覧会と思えた展示場所に、個人の作品とは異なり、適度な大きさの段ボールボックスが5つ並べてありました。そのふたを開けるとそれぞれに作品らしきものから制作道具のようなものまで入っていました。展示コメントでは各々の大切なものを入れてあるとのことです。この作業は個人個人の作品だけでなく、5人で展覧会を行う共有感の展示だったのでしょうか。作品は未熟ながら、出品者の企画思考には、「差異と共有」というような大きなテーマがあったようです。
 このような思考は、芸術計画学科の基本的根源的コンセプトであり、それを卒業後も仕事の合間をぬって実践し、社会に問いかけて行く姿勢には感心しました。今後もこのような作業を続けられる事を楽しみにしています。

卒業してからも制作活動を通して繫がっているんですね!  「大切なもの」が詰まっています!
 
出品者 池端真美香 上野妃都美 内山亜耶 亀野聡美 竹内陽子

会場http://dix-annees.com/

報告:加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年2月22日

大阪芸術大学美術学科作家展 ギャラリーkazahana

     

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 2月2日から2月28日まで、京都東急ホテル地下1階ギャラリーkazahanaにて美術学科教員、副手、卒業生の展覧会が行なわれています。
 また、卒業生の作品は全国からよせられていました。

教員や副手の作品もたくさん展示してありました! 全国から作品が寄せられました! ホテル内ギャラリーということで、普段と雰囲気が違ったようです。

 展示空間は、京都東急ホテル内ギャラリーという特徴もあり美術館やギャラリーの鑑賞と異なると思われます。観者には制度理論のような力が働き、このようなコンセプトイメージがしっかり構築されたホテルのギャラリーでの作品体験は、通常の作品鑑賞と違った体験になるかもしれません。

            展示会搬入の様子
展示会の様子です。   絵画だけでなく彫刻も

 今回は絵画、版画、彫刻などに限られており、モニターを使用した作品や音が出る作品、パフォーマンス等の時間軸の必要な作品は展示されていません。
 

ギャラリーkazahana
http://www.kyoto-h.tokyuhotels.co.jp/gallery/

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師

 


2011年2月7日

稲垣元則とENK DE KRAMER展 Oギャラリーeyes

   

 稲垣元即さん(美術学科94卒)ENK DE KRAMER(エンク・デ・クラマー)さんの展覧会が月24日から2月5日まで北区西天満の0ギャラリーeyesで行なわれました。

会場には二人の数点ずつの作品が向き合う様に展示されていました。出品者の作品については、展覧会テキストを掲載します。

稲垣元則さん作品
稲垣元則さん作品
 稲垣元則のドローイング作品について最初に感じた印象は、その画面から発せられる“おおらかさ”
紙の中央に筆や鉛筆で描かれているものが多く、筆致においては筆運びが緩やかなものから、スピーディーで即興的なものまで様々な表情や息使い(呼吸的なもの)を感じさせられます
抽象的で捉え難いイメージ、相似形で繰り返し描かれるかたち等、どこか行きつ戻りつといった感覚を残しながら、確実な指標に迫っていく様子が伺えます
しかし、幾つものドローイングを拝見して行くうちに、おおらかに見えたやわらかい筆致や色合いの他にも、それとは対照的な要素も感じるようになりました
稲垣の感覚的な生々しさの上に、分析や考察がついてくるような冷静さ、ストイックな画面と膨大に描かれたドローイングの量が、奥底から滲み出てくる渇望の表れのようにも思え、どこか限定的に捉えていた私のドローイングに対する感じ方とは異なる未知の領域に触れるよう怖さを感じたのです。

                 

                                                      エンク デ クラマーさんの作品

エンク デ クラマーさんの作品
 同じくエンク・デ・クラマーの作品にも、稲垣の作品とは異な
りますが、対照的な要素を見ることが出来ます。近年の作品では、網状の柵または檻、鳥籠を思わせるような無機的なかたちと、ホオヅキの実のような植物や枯れ葉、三葉虫のような有機的な生物のイメージが重なり、要所で拘束性を感じさせる画面があります。執拗に描き重ねられた鋭い線跡や、色彩においては、主に赤や黒、基底材における白地も相俟って、画面をよりいっそう厳しく緊張感のあるものにしながら、その向こう側に開かれた空間を覗かせています。
閉塞と開放が伴うような空間。見る人によって心地のよい箇所も、他者かすれば覗きたくないものが見えたりするのかもしれません。

 その境界はあいまいでありながら、対照的な要素が相乗作用によって画面を揺るがし、見る人の内側で何が写るか分からない不安と期待が、エンク・デ・クラマーや稲垣元則作品の魅惑的要素なのかもしれません。   寺脇さやか(美術家)

 寄稿者としては、この二人の作家を対峙させるような企画者の意図が気になります。展覧会形式は、個人展やグループ展団体展など様々な形で行われます。造形系学生のなかには、グループ展の経験者も多いと思います。そのグループ展など行なう場合、複数の表現者と同室で行なう為、参加者は展覧会に対し共通の理解をする必要があります。今回の稲垣元則さんとベルギー出身のエンク・デ ・クラマーさんの作品を比較展示するのかをこの企画のアートデェレクター唐木 満さん(美術学科卒)に聞いてみたところ「稲垣氏、エンク氏のお二人共に当画廊が開廊して以来、継続的にご紹介してきた作家ということもあり、これまでの個展とは異なる角度で、それぞれの作品の質を見ることが出来ればという思いからです」ということでした。
 このような展覧会の作り方は、アート作品に対し深い洞察力が必要とする展覧会の作り方です。何せ絵画同士を向かい合わせ、そこから観者はその絵画達のコミュニケーション(絵画言語)をビジュアルで享受しなくてはなりません。稲垣さんの作品の印象やドロッピングされた痕跡、平坦でありながら線と線交差する深み、背景の色調など目で感じるしかない特殊な絵画空間とエンク・デ・クラマーさんの作品要素が、ある部分共感したりあるいは差異化することにより、観者は多くの角度からそれらの作品を経験出来るからだと思います。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師