2011年2月25日

「5人の色 様々に。55555」グループ展

        

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!

 2月12日から17日まで、「5人の色 様々に。55555」グループ展が中央区瓦屋町のdix  anneesで行なわれました。企画、出品者は芸術計画学科09卒業生と在学生で構成されています。
展覧会場は雑貨屋さん内にある小さなギャラリーでの発表で、出品者のコメントとタイトルから学生時代からの友人の集まった展覧会であること、個性の違いをテーマにしていることを読み取る事ができます。
 グループ展で作品発表するにあたり、それぞれ表現スタイルが異なって当然であり、それを前提とした企画内容であれば、どこが魅力的なのか疑問に思っていました。
 会場では、学生時代から続けてきた制作をさらに発展させている作品や新作もありました。
 雑貨屋さんという場所で、透明塩化ビニールに自然のイメージを着色構成した衣装作品などは、場所の特性を活かしたものになっていたと思います。

場所の特性を生かした展示となっています! 卒業してからも制作活動を続けているんですね! 一人一人の個性が溢れる作品ですね!   

 友達で集まっただけの展覧会と思えた展示場所に、個人の作品とは異なり、適度な大きさの段ボールボックスが5つ並べてありました。そのふたを開けるとそれぞれに作品らしきものから制作道具のようなものまで入っていました。展示コメントでは各々の大切なものを入れてあるとのことです。この作業は個人個人の作品だけでなく、5人で展覧会を行う共有感の展示だったのでしょうか。作品は未熟ながら、出品者の企画思考には、「差異と共有」というような大きなテーマがあったようです。
 このような思考は、芸術計画学科の基本的根源的コンセプトであり、それを卒業後も仕事の合間をぬって実践し、社会に問いかけて行く姿勢には感心しました。今後もこのような作業を続けられる事を楽しみにしています。

卒業してからも制作活動を通して繫がっているんですね!  「大切なもの」が詰まっています!
 
出品者 池端真美香 上野妃都美 内山亜耶 亀野聡美 竹内陽子

会場http://dix-annees.com/

報告:加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年2月22日

大阪芸術大学美術学科作家展 ギャラリーkazahana

     

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!!

 2月2日から2月28日まで、京都東急ホテル地下1階ギャラリーkazahanaにて美術学科教員、副手、卒業生の展覧会が行なわれています。
 また、卒業生の作品は全国からよせられていました。

教員や副手の作品もたくさん展示してありました! 全国から作品が寄せられました! ホテル内ギャラリーということで、普段と雰囲気が違ったようです。

 展示空間は、京都東急ホテル内ギャラリーという特徴もあり美術館やギャラリーの鑑賞と異なると思われます。観者には制度理論のような力が働き、このようなコンセプトイメージがしっかり構築されたホテルのギャラリーでの作品体験は、通常の作品鑑賞と違った体験になるかもしれません。

            展示会搬入の様子
展示会の様子です。   絵画だけでなく彫刻も

 今回は絵画、版画、彫刻などに限られており、モニターを使用した作品や音が出る作品、パフォーマンス等の時間軸の必要な作品は展示されていません。
 

ギャラリーkazahana
http://www.kyoto-h.tokyuhotels.co.jp/gallery/

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師

 


2011年2月7日

稲垣元則とENK DE KRAMER展 Oギャラリーeyes

   

 稲垣元即さん(美術学科94卒)ENK DE KRAMER(エンク・デ・クラマー)さんの展覧会が月24日から2月5日まで北区西天満の0ギャラリーeyesで行なわれました。

会場には二人の数点ずつの作品が向き合う様に展示されていました。出品者の作品については、展覧会テキストを掲載します。

稲垣元則さん作品
稲垣元則さん作品
 稲垣元則のドローイング作品について最初に感じた印象は、その画面から発せられる“おおらかさ”
紙の中央に筆や鉛筆で描かれているものが多く、筆致においては筆運びが緩やかなものから、スピーディーで即興的なものまで様々な表情や息使い(呼吸的なもの)を感じさせられます
抽象的で捉え難いイメージ、相似形で繰り返し描かれるかたち等、どこか行きつ戻りつといった感覚を残しながら、確実な指標に迫っていく様子が伺えます
しかし、幾つものドローイングを拝見して行くうちに、おおらかに見えたやわらかい筆致や色合いの他にも、それとは対照的な要素も感じるようになりました
稲垣の感覚的な生々しさの上に、分析や考察がついてくるような冷静さ、ストイックな画面と膨大に描かれたドローイングの量が、奥底から滲み出てくる渇望の表れのようにも思え、どこか限定的に捉えていた私のドローイングに対する感じ方とは異なる未知の領域に触れるよう怖さを感じたのです。

                 

                                                      エンク デ クラマーさんの作品

エンク デ クラマーさんの作品
 同じくエンク・デ・クラマーの作品にも、稲垣の作品とは異な
りますが、対照的な要素を見ることが出来ます。近年の作品では、網状の柵または檻、鳥籠を思わせるような無機的なかたちと、ホオヅキの実のような植物や枯れ葉、三葉虫のような有機的な生物のイメージが重なり、要所で拘束性を感じさせる画面があります。執拗に描き重ねられた鋭い線跡や、色彩においては、主に赤や黒、基底材における白地も相俟って、画面をよりいっそう厳しく緊張感のあるものにしながら、その向こう側に開かれた空間を覗かせています。
閉塞と開放が伴うような空間。見る人によって心地のよい箇所も、他者かすれば覗きたくないものが見えたりするのかもしれません。

 その境界はあいまいでありながら、対照的な要素が相乗作用によって画面を揺るがし、見る人の内側で何が写るか分からない不安と期待が、エンク・デ・クラマーや稲垣元則作品の魅惑的要素なのかもしれません。   寺脇さやか(美術家)

 寄稿者としては、この二人の作家を対峙させるような企画者の意図が気になります。展覧会形式は、個人展やグループ展団体展など様々な形で行われます。造形系学生のなかには、グループ展の経験者も多いと思います。そのグループ展など行なう場合、複数の表現者と同室で行なう為、参加者は展覧会に対し共通の理解をする必要があります。今回の稲垣元則さんとベルギー出身のエンク・デ ・クラマーさんの作品を比較展示するのかをこの企画のアートデェレクター唐木 満さん(美術学科卒)に聞いてみたところ「稲垣氏、エンク氏のお二人共に当画廊が開廊して以来、継続的にご紹介してきた作家ということもあり、これまでの個展とは異なる角度で、それぞれの作品の質を見ることが出来ればという思いからです」ということでした。
 このような展覧会の作り方は、アート作品に対し深い洞察力が必要とする展覧会の作り方です。何せ絵画同士を向かい合わせ、そこから観者はその絵画達のコミュニケーション(絵画言語)をビジュアルで享受しなくてはなりません。稲垣さんの作品の印象やドロッピングされた痕跡、平坦でありながら線と線交差する深み、背景の色調など目で感じるしかない特殊な絵画空間とエンク・デ・クラマーさんの作品要素が、ある部分共感したりあるいは差異化することにより、観者は多くの角度からそれらの作品を経験出来るからだと思います。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
 

 

2011年2月2日

才木寛之個展 番画廊

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!!

革のレリーフってちょっとめずらしいですよね!
 才木寛之さん
(デザイン学科96卒)の個展が1月24日から29日まで行われていました。

 画廊はホワイトキューブ空間として機能しています。それは作家にも観者にもそのように捉えられ理解されています。ですから作家は展示空間を自らのイメージした空間にと考え展示構成に努力します。前回の同じ場所での川島慶樹さんの作品は植物のイメージでありカラフルな色彩を纏っていたため、動的で生命力にあふれた空間になっていました。今回の才木さんの作品は静謐な雰囲気のため、それを感じ取るような作品の展示になっていました。

 才木さんの作品は壁からレリーフ的状態にあり表面を革が覆っていました。作品は緩やかな曲面で仕上がっており、その革表面の深く落ち込む所が線として捉えられ、私達にあるイメージを与えてくれます。

素材感を生かした作品となっています。       動物の角のようにも、植物のようにも見えます・・・      「ダイレクトな死」が伝わってくるでしょうか・・・?   

 現代アートの制作素材に関しては、木、鉄、樹脂など自然のものから人工の素材まで多種多様にあります。しかし、私にはその部類と同じ位置に革を置くことはできません。木や鉄、樹脂などは「他者」であり人間のイメージなどを投影することができる素材であると思います。しかし革はそれが動物のものであっても私達人間と同じ世界のものです。革の作品は、イメージを促してくれたとしても、イメージより先に素材の力に引き戻されます。素材の力とは「ダイレクトな死」です。鑑者は作品の内容より先に、素材により嫌悪感をおこし観ることを拒否する人もいます。ファッションなら、動物毛皮を着ても死をまとっているのに気がつかせず、別なフェティッシュな価値を見出すように仕向けられています。また、工芸の展覧会であるならそのコンテクストで作品の見方を行えばよいので、このような素材に関する反応は少ないと思います。これはやはり現代アートギャラリーで展示することにより生まれてくる新たな作品へのパイプではないでしょうか。

立体作品も展示されていました。

作品は、具体的風景や様子を単純化、選び抜いた線の配置により洗練されたイメージを作り出しています。また、革のもつ感触が柔らかな曲面のためエロチックな表情にもなっています。

 立体作品の方は、レリーフ作品にはない奇妙な面白さがあります。立体に掘り込んだ線に見えるイメージから、球面を辿るように視線を動かし、視界から外れたイメージとともに体験するという立体特有の鑑賞になることです。

制作に使用した道具たちです。

 革という素材は工芸のコンテクストで考えられますが、ファインアートではあまりありません。そのため、現代アートギャラリーを中心としている観者にはこのような作品の体験は少ないと思います。ですから才木さんは、作品制作の道具をギャラリーにそれとなく展示しているのもそのためだと思います。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年1月31日

加賀城 健 展 transFLAT YOD Gallery

      

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は芸術計画学科の加藤隆明先生から投稿ブログを頂きました!

 加賀城健さの個展が1月15日から2月12日まで、西天満のYODギャラリー行われています。
 

染色ってこんなに鮮やかな世界なんですね! 加賀城健は1974年大阪生まれ。大阪芸術大学大学院まで進み染色を学び、今や海外でも多くの展覧会に参加する注目の若手作家だが、意外にもその選択は積極的なものではなかったという。「絵を描くのがアーティストだと思っていたので美術を志望していたのですが、受験の結果、染色科に進むことになってしまったのです。(笑)。ただ、何かしら手に技術を持って表現できたら面白いものができる可能性がありそうだとも思っていましたので、縁かと思ってやり始めました」と語る加賀城だが、学ぶにつれ染色の世界に引き込まれていった。「やり始めると技法がとても面白く、のめりこんでいきました。でも、表現としては、あまり染色の世界でピンと来るものがなかった。それからなにか面白いこと、見たこともないようなものが作れるんじゃないか」と思い、本格的に表現の手段にすることを考えるようになったという。      
Foreigner’s Live Art Guide "FLAG"007号より抜粋 

ワッペン+染色の不思議な関係性をご覧下さい! ドットとワッペンのポップな感じが素敵ですね! こんな可愛い動物も見つけました!
 

 今回の展覧会の作品は、前回の作品とは少し異なる様子が窺えます。作品表面に物質感の残るドットが点在していたり、ワッペンが貼られていたりしています。染色特有の表面から染み込みイメージを構成するだけでなく、画面表面上の問題を孕ませていると思われました。また、刺繍ワッペンは具象的記号的なイメージを貼り付けてあるので、私にはワッペンのイメージと染色されたイメージとの関係に興味ある面白いものを見つける事ができました。

 今回は、展示空間全体に彼の手の痕跡で作られた壁画インスタレーションが制作されていました。制作方法などは、ディレクターの山中さんが丁寧に教えてくださるので皆さん訊ねてみてください。私の印象としては、ラスコーなどのケーブアートにみられる洞窟内部に、動物のイメージだけでなく人の手の痕跡や、手で壁に自在に動かした跡(俗称マカロニ)を想起しました。その痕跡で囲まれた画廊 空間は美しくも怪しげな雰囲気の空間と変貌していました。造形系の学生だけでなく、他の領域の学生も見に行かれたらいかがでしょうか。たくさんの創作的インスピレーションがもらえると思いますよ。

不思議な壁画です・・・   是非お越しください!
報告・加藤隆明 芸術計画学科講師