2011年2月2日

才木寛之個展 番画廊

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!!

革のレリーフってちょっとめずらしいですよね!
 才木寛之さん
(デザイン学科96卒)の個展が1月24日から29日まで行われていました。

 画廊はホワイトキューブ空間として機能しています。それは作家にも観者にもそのように捉えられ理解されています。ですから作家は展示空間を自らのイメージした空間にと考え展示構成に努力します。前回の同じ場所での川島慶樹さんの作品は植物のイメージでありカラフルな色彩を纏っていたため、動的で生命力にあふれた空間になっていました。今回の才木さんの作品は静謐な雰囲気のため、それを感じ取るような作品の展示になっていました。

 才木さんの作品は壁からレリーフ的状態にあり表面を革が覆っていました。作品は緩やかな曲面で仕上がっており、その革表面の深く落ち込む所が線として捉えられ、私達にあるイメージを与えてくれます。

素材感を生かした作品となっています。       動物の角のようにも、植物のようにも見えます・・・      「ダイレクトな死」が伝わってくるでしょうか・・・?   

 現代アートの制作素材に関しては、木、鉄、樹脂など自然のものから人工の素材まで多種多様にあります。しかし、私にはその部類と同じ位置に革を置くことはできません。木や鉄、樹脂などは「他者」であり人間のイメージなどを投影することができる素材であると思います。しかし革はそれが動物のものであっても私達人間と同じ世界のものです。革の作品は、イメージを促してくれたとしても、イメージより先に素材の力に引き戻されます。素材の力とは「ダイレクトな死」です。鑑者は作品の内容より先に、素材により嫌悪感をおこし観ることを拒否する人もいます。ファッションなら、動物毛皮を着ても死をまとっているのに気がつかせず、別なフェティッシュな価値を見出すように仕向けられています。また、工芸の展覧会であるならそのコンテクストで作品の見方を行えばよいので、このような素材に関する反応は少ないと思います。これはやはり現代アートギャラリーで展示することにより生まれてくる新たな作品へのパイプではないでしょうか。

立体作品も展示されていました。

作品は、具体的風景や様子を単純化、選び抜いた線の配置により洗練されたイメージを作り出しています。また、革のもつ感触が柔らかな曲面のためエロチックな表情にもなっています。

 立体作品の方は、レリーフ作品にはない奇妙な面白さがあります。立体に掘り込んだ線に見えるイメージから、球面を辿るように視線を動かし、視界から外れたイメージとともに体験するという立体特有の鑑賞になることです。

制作に使用した道具たちです。

 革という素材は工芸のコンテクストで考えられますが、ファインアートではあまりありません。そのため、現代アートギャラリーを中心としている観者にはこのような作品の体験は少ないと思います。ですから才木さんは、作品制作の道具をギャラリーにそれとなく展示しているのもそのためだと思います。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年1月31日

加賀城 健 展 transFLAT YOD Gallery

      

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は芸術計画学科の加藤隆明先生から投稿ブログを頂きました!

 加賀城健さの個展が1月15日から2月12日まで、西天満のYODギャラリー行われています。
 

染色ってこんなに鮮やかな世界なんですね! 加賀城健は1974年大阪生まれ。大阪芸術大学大学院まで進み染色を学び、今や海外でも多くの展覧会に参加する注目の若手作家だが、意外にもその選択は積極的なものではなかったという。「絵を描くのがアーティストだと思っていたので美術を志望していたのですが、受験の結果、染色科に進むことになってしまったのです。(笑)。ただ、何かしら手に技術を持って表現できたら面白いものができる可能性がありそうだとも思っていましたので、縁かと思ってやり始めました」と語る加賀城だが、学ぶにつれ染色の世界に引き込まれていった。「やり始めると技法がとても面白く、のめりこんでいきました。でも、表現としては、あまり染色の世界でピンと来るものがなかった。それからなにか面白いこと、見たこともないようなものが作れるんじゃないか」と思い、本格的に表現の手段にすることを考えるようになったという。      
Foreigner’s Live Art Guide "FLAG"007号より抜粋 

ワッペン+染色の不思議な関係性をご覧下さい! ドットとワッペンのポップな感じが素敵ですね! こんな可愛い動物も見つけました!
 

 今回の展覧会の作品は、前回の作品とは少し異なる様子が窺えます。作品表面に物質感の残るドットが点在していたり、ワッペンが貼られていたりしています。染色特有の表面から染み込みイメージを構成するだけでなく、画面表面上の問題を孕ませていると思われました。また、刺繍ワッペンは具象的記号的なイメージを貼り付けてあるので、私にはワッペンのイメージと染色されたイメージとの関係に興味ある面白いものを見つける事ができました。

 今回は、展示空間全体に彼の手の痕跡で作られた壁画インスタレーションが制作されていました。制作方法などは、ディレクターの山中さんが丁寧に教えてくださるので皆さん訊ねてみてください。私の印象としては、ラスコーなどのケーブアートにみられる洞窟内部に、動物のイメージだけでなく人の手の痕跡や、手で壁に自在に動かした跡(俗称マカロニ)を想起しました。その痕跡で囲まれた画廊 空間は美しくも怪しげな雰囲気の空間と変貌していました。造形系の学生だけでなく、他の領域の学生も見に行かれたらいかがでしょうか。たくさんの創作的インスピレーションがもらえると思いますよ。

不思議な壁画です・・・   是非お越しください!
報告・加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年1月25日

川島慶樹個展 番画廊

 

 みなさんこんにちは、ゲイブルです。今日は芸術計画学科の加藤隆明先生よりブログ投稿を頂きました!

川島慶樹展

 川島慶樹さん(美術学科84年卒)の個展が西天満 大江ビル1階にある番画廊1月17日から22日まで行われました。番画廊はレトロビルで有名な大江ビルヂィングの一階にあります。画廊に入ると巨大な植物イメージの彫刻が多様な物質で制作されており、幾つかの彫刻作品には彩度の高い三原色を色彩として使用しています。素材特有の色と色彩の原色を作品が纏っているため、私達がよく知っているマスのある重厚な彫刻作品とはかけ離れた彫刻に感じます。

巨大な植物のイメージです。

三原色を使用していて鮮やかですね!

 a little CRAZY CLASSICS " について2006年頃より木素材の工芸感を身にまとった彫刻を " CLASSICS " というテーマで制作し始めます。2年間ほど、木素材単独の作品を作り続けるうちに " CRAZY  CLASSICS " という近い未来にたどり着くべき新たなテーマが生まれます。これは現代的な素材で作られた彫刻でありながら、工芸感を身にまとった様な、あるいは工芸とは程遠いケミカルな素材に工芸を感じる、といった作品のイメージです。今回の " a little CRAZY CLASSICS " は、 " CLASSICS "  から  " CRAZY CLASSICS " への道のりの中間に位置するテーマで、カラフルでポップなポリエチレン、木素材、ステンレス、ブロンズ、を複合的に用いそれでなお工芸的である現代彫刻といった趣の作品群です。  (作家コメントから)

 1つ1つの作品は、機能性のあるテーブルやボックスと植物イメージのイメージが結びついて1つの作品となっています。

 緑のテーブルのような作品は、木彫の証であるのみ跡を鮮やかに残しながら、木の質感を覆い隠す硬質な人工物の表面となっています。その上には一対の植物イメージがすくっと上に伸びています。

質感にもこだわりが!!          他の学科の学生たちにも是非見てほしいものです!

 私の個人的なことでありますが、是非、川島さん小清水漸氏の作品と対峙した展覧会が見てみたいものです。
彫刻と工芸の新しい出会いというような領域からの越境は現代アートにとって宿命的機能であると思います。常に領海侵犯は造形領域だけに留まることはありません。造形系学生だけでなく、音楽やメディア系学生も展覧会を体験してほしいと思っています。
川島さんの野外彫刻作品は大阪にも3ヶ所あります。もしかしたら既に出会っているかもしれませんね。

 設置場所

・富田林市リボン通りモニュメント『地の華』『宙の華』
・ 心斎橋アメリカ村ビッグステップ北側モニュメント『Birdy Twins』
・ 守口市西山荘遊歩道モニュメント『川面への想い』

 


2011年1月24日

トリビュート・TRIBUTE展 ギャラリー白

       

 皆さんこんにちは、ゲイブルです!!今日は芸術計画学科の加藤隆明先生より投稿ブログをいただきました!

 1月10日から15日まで大阪西天満のギャラリー白「トリビュート・TRIBUTE展」が行われました。このグループ展のテーマは「TRIBUTE-感謝・賞賛・尊敬などの気持ちを表すしるし。賞賛。捧げもの」となっています。この企画展に出品している作家は、尊敬するアーティストや自分に大きな影響力を与えたてくれた人物を作品のテーマとし、その人物に対して尊敬の気持ちと愛情こめた感謝の言葉をそれぞれの文章にしてありました。ギャラリーで鑑者はその用紙を手に取り作品と向き合うことになります。展示された個々の作品達は、その人物たちへの捧げものということでしょう。
そのような展示構成において、観者は作家が作品を生み出す原初な体験を垣間見ることが出来る展覧会となっていました。
出品作家は、ほぼ大阪芸術大学の美術学科写真学科の卒業生で構成されており、1970年から80年にかけて在籍した人たちです。

大阪西天満 ギャラリー白誰の作品をテーマとしているのでしょうか?尊敬する作品に対しての賞賛を表しています。

 当時のアート状況は、具体美術やもの派コンセプチュアルアートミニマルアート等の影響を若い世代に残したまま、ニューペインティング(新しい具象絵画・当時の名称)という新しい表現形式が現れてきた時代です。このようなアート状況の中で、学生達はお互い、技と思考を切磋琢磨し制作を続けてきました。

 この展覧会の作家は30年以上の制作実績を持つ人たちです。
出品作家は浜本隆司さん福田新之助さん松井俊二さん山本修司さん三村逸子さん吉田廣喜さん吉野晴朗さん 若林節子さん 杉本晋一さん中沢てるゆきさん下谷純雄さん善住芳枝さんです。
このような先輩達と会話することも在学生の皆さんにとってアート力を高めることになると思います。積極的にギャラリー廻りをして、自らのアート力を高めほしいと思います。

様々な種類の作品が並んでいます。卒業生たちの作品を見ることで、学生たちの意識も向上します!みなさん30年以上の制作実績が!!

三村逸子さん

 出品作家の作品 出品作家である三村逸子さんと作品
三村さんは大阪芸術大学 美術学科で非常勤講師として後進の指導をしていただきました

ギャラリー白 http://galleryhaku.com
 

投稿:芸術計画学科 加藤隆明

 


2011年1月20日

第12回 至高の精神 本郷 仁「視覚・光覚」展 砺波市美術館

     

 今日は、芸術計画学科94年卒の、杉本積さん(砺波市美術館学芸員)からブログ投稿を頂きました!!

 私が勤務する砺波市美術館では、毎年この時期に「至高の精神展 IN SPIRITU ALTISSIMO」を開催しています。この展覧会は、多様な展開を見せる現代美術の分野で活躍している作家を紹介する展覧会です。
 今回は、第12回目となり、私が担当して8年目になります。今日は、その準備風景の一コマを紹介します。

こんなに雪が!!とっても寒そう!!

 私が勤務する美術館のエントランスからの風景です。水墨画のようですね。ですが、雪が降っていて結構寒いです。毎年作品搬入の日は降らなければいいなと天に祈っております。

練れば練るほどいい企画が生まれるんです!! 

 今日は、館長が不在のため館長室で出品作家さんとデザイナーさんとで広報印刷物の打ち合わせです。(左から、出品作家本郷さん、私、デザイナー薮さん)この日は、細部まで詰めて話し合いを行いましたのでたっぷり2時間かかりました。作家の思い、私やデザイナーの考えを突き合わせて行きます。

このパワフルさが展覧会を成功に導く秘訣です!

 

 今日の出席者。グラフィックデザイナー 道子さんです。二人のお子さんをもつパワフルママさんです。ここ数年、私の担当展覧会で一緒に仕事をしています。気心が知れていてとても仕事がしやすく頼りになります。

 まさに異色!?理系出身のアーティストです!!

 出品作家の本郷 仁(ほんごう じん)さんです。富山市在住の立体造形作家です。現職は、富山ガラス造形研究所の教授です。ガラス工芸の既成概念を破る大きなスケールで作品制作を行っている方です。最近は、に関心があって今回は、展示室に2.5メートルの鏡の塔を2つ建てる予定です。アートの分野ではめずらしい工学部出身のバリバリの理系です。

皆さん是非お越しくださいね!

 この日は、紙質使用インクまで話し合いました。紙は黒色、刷るインクは銀色です。こういう組み合わせは初めてです。どのように仕上がるか想像がつきません。結構冒険ですが楽しみです。
展覧会では、ポスターないしチラシでグラフィックイメージが出来上がるとそれを柱にしていろんな媒体に発信して行きます。いわば展覧会全体の顔となりますので話し合いを重ねながら制作します。

 会期は1ヶ月ほどありますので気になりましたら是非展覧会を見に来てください。

第12回至高の精神 本郷 仁「視覚・光覚」展
平成23年2月5日(土)~3月6日(日)
午前10時~午後6時 月曜休館

お問い合わせ先
〒939-1383
富山県砺波市高道145-1
砺波市美術館
Tel:(0763)32-1001/Fax(0763)32-6361
http://city.tonami.toyama.jp/shisetsu/bijyutu/bijyutsu.html

投稿者:杉本 積
芸術計画学科94年卒(砺波市美術館 学芸員)