2024年4月15日

卒業生の活躍―齊藤秀樹木彫展~生命の木~

美術学科卒業生 齊藤秀樹さんの個展「齊藤秀樹木彫展~生命の木~」が、1月31日(水)~2月5日(月)高島屋大阪店 6階 美術画廊で開催されました。

 

その展覧会のDMには「子供の頃に触れてきた生き物や、見てきた身近な生き物をテーマに制作しています。私の作る木彫は動かないものばかりですが。彫刻は生きていると感じられるものを作り出すことができます。木の彫刻で命を生み出すものを作りたいと考えて制作しています。」と書かれています。

 

 

DMの作品『夢の中で見る夢』の赤ちゃんウサギも台座から出せるのですが、本当にすやすやと眠っているかのようです。足の裏までとてもリアルです。毛並みもとても優しいです。きっと良い夢を見ていることでしょう。
「タイトルにある“夢“という言葉のイメージを台座で表現するのに苦労しました。」とのことですが、マーブル柄が、脈打つような体内のようでもあり、地中や木の中のようでもあり、まさに“夢“に包まれているようです。そして、ウサギは椿、台座は楠での制作だそうです。

 

『龍の神様の遣い』のグリーンイグアナも『僕の見ている町なかの人たち』の黒猫も今にも動き出しそうな雰囲気を醸し出しています。楠の木の寄せ木作りとのことです。

 

『カエルの王様』ツノガエルもとてもリアルで、とても瑞々しいです。『木の葉隠れ―通草木葉蛾―』アケビコノハ蛾の作品は、枯れ葉4枚の中にアケビコノハ蛾がいるという作品です。本当に木だとは思えませんが、ツノガエルは椿の材、台座は楠の材。アケビコノハ蛾は椿、枯れ葉は いちい、台座は楠だそうです。

 

『矮鶏』ニワトリのチャボは楠の一木彫りです。高村光雲の『矮鶏置き物』のオマージュとしての作品とのことです。「初めて“オマージュ“という視点で制作してみて新しい発見もありました。特に塗装はいつもの彩色の感じのイメージが出てこなくて、塗装をしない“彫り“だけでの完成も考えたのですが、最終的には楠の古材のような色合いにしたくてかなり薄い色で“墨“と“胡粉“を塗装しました。」
『橙』と『林檎』も楠の一木彫りです。本物と見違う林檎ですが、「塗装はアクリル絵の具。最初に黄色系の色で下地を塗って、その後マスキング液でリンゴの表面全体に細かい点をランダムに塗っていく。マスキングが乾いてから赤系の色を塗って、リンゴらしい濃さまで薄めの色を重ねていく。…」(齊藤秀樹インスタグラムhidekisaito3110引用)という非常に細かい作業の賜物です。

 

齊藤秀樹さんは、美術学科には絵画志望で入学されたそうですが、色々な分野を学んだ上で、彫刻を選択されたそうです。齊藤秀樹さんの木彫作品は、造形美はもちろんのこと、塗装や彩色も大きな魅力となっています。絵の具や顔料等も研究を重ねて、ご自分で調合されるとのことです。今回は、『雨蛙』蛙のドローイングも展示されていました。元々の絵画の素養も作品に生かされているように感じました。

「これからは、絵画の部分も少し取り入れて行きたいとも思っています。」と話されていました。継続を大切にしながらも新しいことにも挑戦を続けておられる齊藤秀樹さんのますますのご活躍をこれからも楽しみにしています。

 

露天神社(通称 お初天神)に毎年奉納されている干支作品『辰年』は、本殿、お賽銭箱の横に奉安されています。「正面から見た時に、令和6年辰年に因んで“6“のフォルムに見えるように形を制作しました。」とのことです。今までに納められた申・酉・戌・亥・子・丑・寅・卯、の8体と一緒に、お初天神で是非、ご高覧ください。

齊藤秀樹さんのインスタグラムには、完成作品だけではなく、一片の木から掘り出されて行く作業工程から塗装等を経た仕上がりまでが掲載されていますので、とても参考になると思います。是非、こちらもご高覧ください。

齊藤秀樹さん インスタグラム
https://www.instagram.com/hidekisaito3110/

露天神社(通称 お初天神)
https://www.tuyutenjin.com/


2024年2月1日

キャラクター造形学科 初のスカイキャンパスでの出張編集部

1月26日(金)に、初のスカイキャンパスでの
3校合同「出張編集部」が開催されました。

≪出張編集部とは?≫
出張編集部とは、漫画の編集者の方をお招きして
自身で描いた漫画作品を持ち込んで、プロの編集者の方にお見せして
アドバイスを貰える、漫画家デビューへと近づくイベントです。
自分1人で出版社に作品を持ち込みに行くのはハードルが高い…。という学生も
大学が主催しているので、参加しやすいです。

実際に、出張編集部がきっかけで漫画家デビューした学生もいます。

今回はあの有名な【小学館】から
『少年サンデー・スピリッツ・ゲッサン・コロコロコミック・スペリオール・ちゃお』の6誌から11名もの編集者さんがお越しくださいました。


大阪芸術大学・大阪芸術大学短期大学部・大阪美術専門学校の
3校合同で行われ、努力して描き上げた作品を持って沢山の学生が訪れました。

出張編集部自体は何度も開催しておりますが
スカイキャンパスで開催するのは初めてなんです。
あべのハルカスの24階にある綺麗なキャンパスでの出張編集部は
学生達も一段と気合が入っているように感じます。


編集者さんが丁寧に学生の作品にアドバイスをくださってます。


≪まさかの大先輩も!≫
大阪芸術大学キャラクター造形学科の卒業生で、活躍中の3名の先輩方も
遊びに来てくださいました。

★ちゃんやつさん(2011年度入学)
『ボクらの強化部』漫画アクション(双葉社)連載

★清家 孝春さん(2011年度入学)
『雲がちぎれるとき』『君をなぞる』月刊スピリッツ(小学館)掲載
『無職の学校~職業訓練校での200日間~』週刊スピリッツ(小学館)連載

★ちーにょさん(2012年度入学)
『リベンジ・ラブ』LINEマンガ連載
『君とのツナガリ』LINEマンガ連載

(左:「リベンジ・ラブ」ちーにょ)(中央:「ボクらの強化部」ちゃんやつ)(右:「無職の学校」清家 孝春)

どの作品も単行本化されていて、とっても面白いので是非読んでみてください♪

清家 孝春さんは、昨年の10月まで小学館の週刊スピリッツで
『無職の学校』を連載し、大活躍されていました。

≪参加した学生の声≫
今回は、飛び込み参加もOKだったので
学生が事前に希望していた編集者さんだけでなく
急遽、全ての編集者さんに持ち込んでいた学生もいました。

(大阪芸術大学キャラクター造形学科 漫画コース副手)
 

出張編集部に参加した学生からは「褒めていただけました!」「編集者さんから名刺をいただきました♪」「作品をもっと描き上げます…!」など、様々な声があがりました。
漫画家を目指す学生にとって、編集者さんからのアドバイスはとても参考になります。

キャラクター造形学科は2005年に設立ですが、既にアニメ化や単行本化もした
漫画家が続々と輩出されております。
今後も、沢山の漫画家が誕生する事が楽しみです。
 

(報告者:キャラクター造形学科 漫画コース 副手 松村芽瑠)


2023年12月15日

卒業生の活躍 ―「高知」が広がる現象そのものが私の目指す「アート」―

芸術計画学科卒業生 中島匠一さんは、学生時代に習得したカリグラフィーと出身地の高知愛とを融合させた高知の新しいデザインを生み出されました。
現在では、高知を拠点に「ブランド高知」を立ち上げて、多方面で活躍されています。「高知が拡がること それこそがアート」をコンセプトに「高知」の文字を日本中、世界中の人々の脳裏に刻み込むことを目的に独自のブランドを展開しておられます。

 

その代表作である「高知の財布」は、NON STYLE 石田明氏のSNSでの発信をきっかけに、今では、たくさんのマスコミにも取り上げられています。


「このアート作品の本当の意味での完成は、商品としての高知ではなく、このデザインの高知の二文字が日本中、世界中に溢れ、人々の脳裏に刻み込まれたときである。
高知といえば、あの高知県の高知。故郷高知県が世界中で存在感を出している。そんな未来を、皆さんの力で実現する。それこそがみんなで作りあげるアート作品。」


昨年度に引き続き、今年度も10月27日(金)には、芸術計画学科1回生を対象に「ADHDの芸計卒業生がオリジナルブランドの創業者に」と題して、特別講義を実施されました。

 

「中学2年から不登校になりましたが、フリースクールに通って、『ボチボチ力のすすめ―コニヤンの人生方程式』の著者である小西豊先生に出会ったことで、『なんでも肯定しよう!』、『夢は口に出していくことで叶う!』と学び、人生が変わりました。」とのことでした。
大学時代のエピソードとしては、芸術計画学科教授 谷悟先生の心に残る言葉として、「越境人となれ!(分野を越えてトライすること。)」、「アートは極私的な営みである」を紹介されました。そんな中で、「アートとは何か。という問いに、自分が出した答えは~自己表現である。」と語られました。

 

「人脈を作ろう!」というお話しでは、大学時代には、人権サークル、美術研究会アート・ラボ、LIBRARY DESIGN LAB.(図書館サークル)など、色々なサークルにも所属し、学科や学年を越えて、様々な学生や教職員とも交流されていた中島匠一さんならではの納得の行くエピソードでした。
大学時代に培ったコミュニケーション力で、今も様々な分野の方々との交流を通して、新たな分野にも挑戦し続けておられる姿が見て取れました。

学生時代からまた、卒業後も科学的なアート作品を発表したり、ワークショップ(水とオイルの特性の違いを生かした作品等)を行っておられましたので、仲間たちは中匠博士と呼んでいました。
そんな素養もあってか、2021年には、化粧品検定1級&化粧品成分スペシャリストに合格し、室戸海洋深層水とのコラボ化粧水「FIRST PRO」を開発し、商品化されました。
「アトピー患者さんから『アトピーの症状が良くなりました!』と言われたことがなによりの幸せ」とのことです。
「アートな仕事は人を笑顔にする」をまさに実践されていますね。

 

現在は、「土佐和紙×液晶を組み合わせた発明」を特許出願中で、世界中のスマホ・タブレット、液晶広告(サイネージ)に和紙を!というスローガンのもと、日々、研究を重ねておられます。
これからも益々のご活躍と新たなチャレンジを楽しみにしています!
「高知」の輪が、日本中、そして、世界中に広まりますように!!

今回の特別講義は、学生さんたちにとっても大いに刺激となったようで、とても嬉しいです!
特別講義を受講した学生さんたち(芸術計画学科1回生)の感想を一部ご紹介しておきます。

・自分の弱い部分を分かった上で様々なことに挑戦できる強さがあるところがすごいなと思いました。
・私は何も得意なことがないですが、人脈と行動をすれば私も何かを成し遂げることができるということに気づきました!
・自分の感性を大事にする事が仕事や才能を開花させるきっかけになると感じました。
・視野を広げて人脈をつくっていくこと、そしてチャレンジしていくことが大切だと思った
・諦めない気持ち、途中でダメだと思わないで最後までやりきるということが大切なのだと学びました。
・行動力がすごいなと思いました!私もこんな人になりたいなとおもいました!
・自分の普段うけている授業の先生の言葉が、自分の今後の人生に関係してくるかもしれないということを知ることが出来て、自分の授業に改めて意味を持てた様で良かったです。

 


https://shop.brandkochi.com/

中島匠一 略歴

2014年
兵庫県生野ルートダルジャン芸術祭 アーティストインレジデンス参加
兵庫県神戸居留地ギャラリー3 出展
2015年
堺白鷺アートマンス 出展
Tシャツ・プリント・デザインコンテスト 学生奨励賞 受賞
2016年
MADE IN OSAKA CM AWARD 学生部門 ラジオ優秀賞
2017年
大阪芸術大学芸術計画学科卒業 学芸員資格取得
2018年
NON STYLE 石田明氏がSNSで「高知の財布」を話題に
ブランド”高知”旗揚げ
2019年
高知龍馬空港”クリスタ ル ブンタン”展示
2020年
高知県地場産業大賞 奨励賞受賞
2021年
フジテレビ「あなたに人生変えられました」ロバート秋山氏と共演
化粧品成分スペシャリスト コスメコンシェルジュ資格取得
2022年
RKC高知放送 土佐遺産 認定


2023年11月20日

卒業生の活躍―学生時代からの想いを現在につなげる―

心斎橋PARCOの3周年イベント「PARCO CHAOS JAM カオスジャム」が11月17日(金)~11月26日(日)の10日間開催されます。
そのビジュアル、冊子、Webサイト、CM他、館内外のデザインを担当されたのが、本学卒業生 中谷吉英さんのチーム(株式会社LiLo in veve)です。
デザイン学科プロダクトデザインコース卒業後、大学院では、グラフィックデザインを専攻されました。
そして、様々な経験を積んだ後、現在は、株式会社LiLo in veve(リロインベベ)のデザイン部門を率いておられます。
大阪芸術大学附属大阪美術専門学校では、グラフィックデザインコースで教鞭を取られていますので、デザイナーとして、大阪美術専門学校の卒業生も一緒に働いておられます。


学生時代には、「TEN」というグループを結成し、学科・学年を越えて、展覧会や各種イベントを開催しておられました。
入試課、就職課、図書館ともコラボし、オープンキャンパスでのイベントGOODS DESIGN PROJECTでは、コンペ形式で広く学生にデザインを募集し、Tシャツやクリアファイルを作成、Tシャツのファッションショーなども行っておられました。
図書館の活性化を目指して、「展-TEN- FINAL in図書館」も開催されました。それらの活動の様子は、図書館4F卒業制作作品集の棚に所蔵されている『TENのほん 2006-2008 : 展-TEN-に関わった人々。その想いと記憶の断片。』(706.9/T 資料ID:21000019)で是非、ご高覧ください。

 

 

「PARCO CHAOS JAM カオスジャム」では、デザイン学科卒業生 中村佑介さんの「中村佑介 SPLIT!イラストレーター 中村佑介 カレンダー原画展」も5F特設会場で、11月17日(金)~2024年1月8日(月)開催されます。


また、放送学科卒業生 坂東さえか さんは、FM802のDJとして活躍中です。
“ばんちゃん”の愛称でお馴染みですが、11月26日(日)には、B2F特設会場で、1日限定の古着屋さん「ばんちゃんの古着屋さん」をオープンされます。


館内外の装飾と共に中村佑介さんのカレンダー原画展や「ばんちゃんの古着屋さん」なども是非、お楽しみくださいね。

中谷吉英さんからは、「学生時代にやっていたイベントのようなことが、ようやく社会でもできるようになりました。嬉しくてご報告しました。」との嬉しいコメントをいただきました。
グラフィックデザイナーと言ってもWebサイトやCMまで、幅広くデザインできるのは強みですね。
学生時代にやって来たこと、やりたかったこと、発想や実行力など、学生時代の活動や想いが実を結び、現在につながっていることがとても嬉しいですね。
これからもご活躍を楽しみにしています!

 


下記、Webサイトも是非、ご高覧ください!
「PARCO CHAOS JAM カオスジャム」
https://shinsaibashi.parco.jp/page/3rd-anniversary/


2023年11月14日

【京都中央信用金庫】学生デザインコンテスト2023(ロゴ部門)で 本学学生の作品が受賞し「VRモール京都」のロゴとして採用されました

今夏、京都中央信用金庫(京都市下京区・理事長白波瀬 誠)様では、京都にある企業の商品パッケージや企業ロゴ等を募集する「中信学生デザインコンテスト2023」を開催されました。

本学学生も応募して、デザイン学科3年生の片山 梨子さんのロゴ作品が、10月25日(水)に京都経済センターで行われた表彰式で、イデオ株式会社(京都市中京区・代表取締役井出やす香)様の企業賞を受賞しました。

表彰式では、片山さんは代表取締役の井出様から、表彰状を受け取りました。
イデオ株式会社様では、「京都ブランドを大切にし、地元京都を盛り上げたい。」という思いから、経済産業省の支援を受けた(R2事業再構築)新事業を2022年よりスタート。
その新事業にふさわしい独創的なロゴを募集されていました。

今回、受賞した片山さんのロゴコンセプトはつぎのとおりです。

「商品を立体的に体験できる通販サイトということで、商品の新しい見方が可能という部分を伝えるため、目をイメージしたロゴを制作しました。京都らしさを出すために山と日が上がっている明るいイメージと共に、舞妓さんの特徴的なアイメイクの目元にも見えるようにしました。また、縁起ものである鞠を配置しました。伝統的であり、VRメール京都で、素敵な商品との出会いを期待する意味も込めたデザインとなっています。」

採用された片山さんのロゴは、VRメール京都のホームページで早速採用されて見ることができます。

VRモール京都のサイトはこちら
https://kyoto-vrmall.co.jp/

本学学生が制作したロゴが、京都の地で採用されて、たんさんの方に見ていただけることは光栄なことです。片山さんをはじめ本学学生が、このようなコンテストに挑戦してくれることを期待します。

表彰式当日、私も会場に伺いましたが、もう一点、皆さまにご報告があります。

今回、表彰式で司会をされていたのが、本学放送学科卒業生の森 慎之介さんでした。
森さんは大阪芸術大学在学中は、OUA-TVのキャスターとして活躍されて、卒業後、京都中央信用金庫に就職し窓口業務を行う中、今回のようなイベントの際は、大学で学んだことを活かして司会をされているようです。


片山さんがデザインした「VRモール京都」のロゴ


代表取締役 井出様から表彰状の授与


井出様と一緒に記念撮影


表彰式司会の森 慎之介さん(大阪芸術大学卒業)


片山さんと森さんで記念撮影(大阪芸大の繋がり)
 

(報告者 就職課 川村良広)