2009年10月22日

ZAnPonは宇宙である。

京都・イムラアートギャラリーで今月10日からスタートしたZAnPonの個展に行ってきました。
アートフェアなどを除くと4年ぶりの新作個展。前々から楽しみにしていました。

ZAnPon個展 イムラアートギャラリー

今年度、大学の手提げ袋のデザインが一新され、
大学案内の表紙デザイン同様ZAnPonの作品が起用されました。
キャンパス見学会などで手にされたどの人もが
その華やかさに気持ちがワクワクするような感覚を覚えたのではないでしょうか?

2008年の作品『光りある人』以降、
幸福感が前面に満ちる作品を多く発表してきたZAnPon
今回の個展ではこれから先の「次のZAnPon」の姿を垣間見ることができる作品を含め
9点が展示されていました。

『Chat beans』(手前の作品)

見に来てくれる方々に最高のコンディションで見てもらえるようにと、
会期直前に自らギャラリーの壁を白くペイントし直すなど
搬入までは作品の仕上げと並行してあれこれ結構忙しかったようです。
「ちょっと休憩」するようにギャラリーに立ち寄ってもらえるようにと
ZAnPonが見立てたポップなデザインのベンチが置かれているこだわりの設えでした。
DMのデザインとギャラリーの窓に描かれた個展のタイトルは、
デザイン学科4年生の田原拓真さんのお仕事なのだそうです。

田原拓真さんがデザインしたタイトルとDM

ギャラリーの正面に展示された『Revolution』。
大きさもさることながら、展開する色彩は迫力満点です。
今回の新作の数々にはZAnPonのコアな部分の中でも
「やさしさ」にフォーカスして制作されたものが多く、
見る人がHAPPYになるようにという思いが随所に感じられます。

『Revolution』
*写真左はギャラリースタッフの三宅亜木さん

それぞれの作品には自由で美しい流線と色面が
心地よい絶妙のバランスで展開しています。
さまざまな生き物が見え隠れして、動きがあって、発見がある。
それらは単に「バランスで構成された線や面」というわけではないんです。
単に「作品」というだけでなく、これはZAnPonそのものなんだって感じます。
どれも命を与えられたZAnPonの分身なんだろうって。

ZAnPonは言います。
「見る人が見たいように見てもらえればその方が作家としてうれしい」と。
どんな形がそこに浮かんでくるのかという答えは必要でないのです。
作品と対話するように自由に遊べる。それもZAnPonの魅力です。

『Revolution』にズームイン

無数の星が浮かぶ夜空を見ながら
「あの星とあの星を結んで、あの星ともこう線で繋いで...」と、
夜空に白鳥が飛ぶ姿、魚やクマ、サソリまでも描くことができる。
人間の想像力は豊かです。
自分だけの新しい星座を描いていくようにZAnPonの作品を楽しむもよし。
天体の観測と物理法則に基づいて宇宙のナゾを解明しようとする人のように、
想像力を働かせてZAnPonの色彩感覚、バランス感覚を探ってみるのもよし。

実際、彼自身作品を制作するときは
キャンバスをクルクルと自在に回転させながらペンを走らせるのだそうです。
それはZAnPon的宇宙の天球を回すようなものです。

この個展、芸大生は必須です。
ZAnPonは「自分がしっかりしなきゃ」ってよく言うのだそうです。
「自分がアーティストとしてちゃんとやっていけていないと、
アートを志す若い人たちが夢をもてなくなるから」って。

アーティストとして生きるZAnPon
後輩となる皆さんに伝えようとすることを
言葉ではなく彼の今の作品から感じとってほしいって思います。

これからもワクワクするような未知なる宇宙を描き続けてくださいね。
来年は大阪芸大のスクールバスのラッピングなんていかがでしょう?
ねっ、ZAnPonさん?
うわぁぁ、乗ってみてーっ!

ZAnPon Exhibition  -Re born-
2009年10月10日(土)~10月31日(土)
11:00~19:00(日曜、祝日 休廊)

imura art gallery
(京都市左京区丸太町通川端東入東丸太町31)
http://www/imuraart.com
投稿者:教務課


2009年10月9日

KIAF 09

      

会場はこちらCOEX convention center!!
 先日のブログ『ART OSAKA』取材でもお世話になった中嶋寿挙さん。『ART OSAKA』では直接取材することが出来ませんでした。というのも、中嶋さんはその頃、韓国で開催される『KIAF 09』というアートフェアに参加するため、その準備に追われていたそうなんです。

 韓国でのアートフェア!?それは是非レポートして頂きたい!ということで、中嶋さんにお願いしました★☆

>>今回展示された作品の紹介をお願いします。
 「今回出品した作品は『MY PANTY!シリーズ』と『頑張る気持ちシリーズ』の2つです。


「頑張る気持ちシリーズ」 
MY PANTY!シリーズ』は男性3人が女性を取りあう三つ巴の関係を描いています。男3人はどうしても彼女が欲しくて、相手にも渡したくなくて、必死にひっぱ弄っている姿を描けたらと思っています。
 『頑張る気持ちシリーズ』は顔が大きくて太っている女の子が、好きな男の子とのために頑張る姿を描きたいと思っているシリーズです。今回は、ヨガをして顔と身体をシェイプアップする姿を描いています。

世界各国から多く作品が一同に集結!! このシリーズには、顔が大きくて太っていても必死に好きな男の子を追いかけるという作品もあります。HPで、是非そちらも見て頂きたいです。どちらも男女の関係、恋愛、好きな気持ちをテーマに、必死に何かをする姿を描きたいと思っています。」


>>当日の会場はどんな様子でしたか?
 「今回で展示は2回目ですが、初めて現地へ足を運びました。会場とブースや通路がとても広く、国を上げてフェアを開催しているので、サポートがとても整っていました。」

中嶋さん、お忙しいところ本当にありがとうございました!!

>>日本のアートと韓国、アジアのアートの違いは感じましたか?
 「韓国の作品はサイズが大きく、自分の作品がとても小さく見えました。これからの活動で、サイズアップも考えていかなければと思いました。」

 『学生のうちに海外旅行に行きなさい!!』と、よくゼミの先生から口酸っぱく言われたことを思い出します。いろんなものを見て、触れて、感じることで、将来の貴重な財産となると伝えたかったのでしょう。

 写真からも、海外での展示会・作品はその国の文化や価値観が反映されているようにも見えます。こうした作品を目の当たりにして、また作品制作に取り掛かる…。これはどんな世界でもどんな職業にでも言えることではないでしょうか?

最後に、中嶋さんからこんな言葉が…
 「私はまだ、アーティストとして未熟ですし、これから先続けていけるかは未知です。今はギャラリーに展示の機会を頂けているだけでも恵まれた状況かもしれません。しかし、いつ無くなるかわからないものです。それでも一生懸命、出来るだけの事はやっていきたいです。」

 
 年明け2月には地元スペースでの展示が予定されていて、webギャラリー『タグボート』の作品入替日が今月14日に予定されています。

 中嶋さんの今後のご活躍に期待しています!!

 中嶋さんの作品の販売は『ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート』へ
http://www.g-sho.com/hisakiyonakajima/ <http://www.g-sho.com/>)
 また、web上で販売しているギャラリーは『@Gallery TAGBOAT』まで
http://em.m-out.com/ec/html/category/001/007/802/category802_0.html
 中嶋さんの活躍はホームページでもご覧頂けます!!
http://sites.google.com/site/hisakiyonakajimahome/


2009年9月5日

ART OSAKA 後編

 

岡本さんの作品 
 
 前回の続きです。『ART OSAKA』って何?という方は、前回のブログをご覧ください!!
<<昨日のブログへリンク>>
 
 続いてお邪魔したのは、1108号室『Yoshiaki Inoue Gallery』。こちらには昨年も出展されていた岡本啓さん(美術学科卒)の作品がバスルームに飾られていました。

作品の前での一枚

 岡本さんの作品は「写真をいかに絵画的に見せるか」を追求したことで生まれたもの。これがまさか写真で撮ったものとは思えない、まるで絵の具でキャンバスを彩ったよう。岡本さんは写真を独学で学び、失敗しているうちに作品が見えてきたそうです。

>>美術学科卒業ですが、絵はもう描かないのですか?

 「美術学科だから作家になる!!というわけではなくて、人と競い合うことが嫌いで、絵じゃないものをやりたいと思っていて、写真を独学で学びました。」
 
>>学生の時にやっておいた方がいいことってありますか?
 「旅行は絶対にしておくべきです。時間があれだけある時期はあんなにありません!!いろんなものを見て、吸収して自分のものにしておくことが大切です!!」
 
 

 


中嶋さんの作品 最後にご紹介するのは、816号室の『ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート』。今回のアートフェアに招待して頂いた中嶋寿挙さんの所属するギャラリーです。中嶋さんは別のアートフェアへの出品する作品制作のため、今回のアートフェアには出展のみでギャラリーには不在でした。
 
 文明の利器を駆使して、『メール』でコメントを頂きました。
 
>>芸大に入学したきっかけは何ですか?
 「芸術系学科の分野が豊富で、美術以外にも様々な表現媒体の勉強が出来るのではないかと思ったからです」
 
>>芸大に入学してよかったことはありますか?
 「芸術の歴史を学ぶことが出来たことです。美術学科は1年次を平面・立体ともに学ぶところから始まり、4年次までに様々なコースを横断することが出来ます。そこで感じた様々な人の考え方が勉強になりました」
 『天までとどく、大きな気持ち』
>>中島さんの作品『天までとどく、大きな気持ち』について
 「4点の連作の中の1点になります。顔の大きな女の子が、大好きな男の子を抱きかかえて空高く昇っていくという姿です。他の3点はHPをご覧になってください」
 
>>作品作りで一番心がけていることは何ですか?
 「僕の作品を手にして、面白い恋愛をするきっかけになってもらえたら・・・、といつも考えています」
 
>>アートの世界を目指す芸大生に一言お願いします。
 「学生のうちに誰にも評価されなくても、表現したいことの一片を自覚できればいいと思います」
 
 中嶋はまた918日(金)20日(日)に『KIAF』(http://www.kiaf.org/という韓国のアートフェアにも出品されます。また来年1月には地元のスペースにて展示をする予定だそうです。
 
 実はまだ、メールでのやり取りしかできていなくて、声もお聞きしたことがなくて…。いつの日かギャラリーでお会いできることを楽しみにしています!!
 
中嶋さんの作品の販売は『ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート
 
また、web上で販売をしているギャラリー『@Gallery TAGBOAT
 
中嶋さんの活躍の様子はホームページでもご覧頂けます!!http://sites.google.com/site/hisakiyonakajimahome/

ART OSAKA

 会場 :堂島ホテル(大阪市北区堂島浜2-1-31)
 会期 :8月21日(金)プレビュー 8月22日(土)、23日(日)一般公開
開催時間:12:009:00
 入場料 :1,000/1Day pass
『ART OSAKA』のホームページはこちら
http://www.artosaka.jp/index.shtml
 


2009年9月3日

ART OSAKA 前編

 

会場は多くの来場者で賑わいました!! 
 8月21日‐8月23日に大阪市北区にある堂島ホテルで『ART OSAKA』が開催されました。
 
 この『ART OSAKA』の目的は、現在活躍するアーティストとともに、作品やアーティストのコンセプトを美術館、コレクター及びその他の美術関係者に伝える活動をするギャラリーのフェアを開催することにあり、実績のあるギャラリー及び今後活動を期待される若手のギャラリーを日本、海外より招聘し、一堂に会することでより新鮮なアートフェアを実現しています。(ART OSAKA実行委員会のConceptより)
 
こうみるとバスルームもオシャレです!!   普段はゲストルームとなっている堂島ホテルの8階から11階の客室をギャラリーとして魅せる『ART OSAKA』。客室に備え付けられているベッドやテーブル、クローゼットやバスルームにまで作品が並んでいて、「自室に飾るとこんな風に見えるのか」って想像もしながら作品を見ることができ、よりアートが身近に感じられます。
  
 今回、このアートフェアに出展する『ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート』に所属する中嶋寿挙さん(美術学科卒)からお話を頂いて、ブログ取材させて頂けることになりました。実はこの『ART OSAKA』には中嶋さんだけでなく、ギャラリーの代表者、作家の方に大阪芸術大学の卒業生が多く参加しています。皆さんにインタビューしてきました。
 

 
大野さんと作品
 まず初めに、お邪魔したのは811号室『ギャラリー風』。大野勇介さん(美術学科卒)と渡邉順子さん(美術学科卒)が出品しています。
 
大野さんは昨年もこのイベントに出品。大野さんの作品はこの柔らかい色使いが特徴的です。多くの色を使っても派手さを感じさせない、どこか優しそうなイメージを抱いてしまう、そんな作品です。
 
『恥ずかしいー』と仰いながらもお話を伺いました。
 
>>大野さんは芸大に入学してよかったと思えることはありますか?
 「美術の世界の面白さや奥深さを更に知ることができたことです。あと、卒業後も先生方に色々と相談にのってもらっています。」
 
>>作品制作をする時に一番苦労することって何ですか?
 「やっぱり描く前が一番悩みますね。結局自分でやっていかないといけないので…。でも、描き始めるとスラスラ描いてしまいます。」
 
 

渡邉順子さんの作品
 渡邉さんは現在、美術学科副手の仕事の傍ら作品制作をしています。作品数も一番多く、客室の壁やベッドの上など所狭しに並んでいます。とてもシンプルな色使いですが、客室の白い壁紙を背景に見ると、その色の濃淡の使い分けが際立ちます。
 
>>学生の頃と副手をする今とでは、作品制作において違いってありますか?
「とにかく時間がないことが今はツラいです!!学生の頃は自分の時間が持てるけど、働き始めるとなかなか大変で、最近では早朝か深夜に制作することが多いです。」
  
>>学生たちに「これだけは言っておきたいこと」をここで是非!!
「学生である今しかできないことがあるんやで!!っていっても学生はなかなか動こうとはしないんですが…。」
 
 
 
 

 町田夏生さんの作品
次にノックしたのは、1011号室『YOD Gallery』。
 
こちらにも芸大卒業生の町田夏生さんがおられると伺ったのですが…。あいにく、時間が合わなくて、直接お会いすることができませんでした。
作品の写真だけ撮らせて頂きました。ピンク色を基調とした町田さんの作品は、窓から入る太陽の光に照らされることで作品の明るさが増して、ひと際目を引く可愛らしく感じる作品です。
 
2009年7月13日

なにわ芸術祭において芸大生が新人賞を受賞!!

 今日は大学院からの投稿です!関西の舞台芸術の祭典「第46回なにわ芸術祭」(産経新聞社、サンケイスポーツなど主催)の表彰式が6月18日、大阪市内のリッツカールトンホテルで開かれ、各部門の新人賞、新人奨励賞、審査員特別賞の受賞者11人に、熊坂隆光・産経新聞社常務取締役大阪代表からトロフィーが贈られました。

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  なにわ芸術祭は昭和39年にスタート。舞台芸能の登竜門として「新進落語家競演会」「新進舞踏家競演会」「新進音楽家競演会」「なにわジャズ大賞」の4部門で新しい才能発掘をテーマに行われている、歴史あるコンクールです。これらのうち「新進音楽家競演会(ピアノの部)」と「新進音楽家競演会(声楽の部)」は、音楽家、大学教授らの推薦を得た新人音楽家たちの競演会で、優秀賞には、「新人賞」、「新人優秀賞」が贈られます。今回、なんと大阪芸術大学出身者が3名も選ばれました。

NANIWA2.JPG                                                 (C)産経新聞社
 ピアノの部で新人賞を受賞したのは福尾拓哉さん(現役3年、写真左)、声楽の部は鈴木健司さん(大学院09年修了、写真右)。同じく声楽の部で新人奨励賞を受賞した小城かおりさん(09年卒業)。

 表彰式では、新人賞には大阪府知事賞、大阪市長賞、大阪製紙賞があわせて贈られ、奨励賞にはあわせて「近鉄タクシー賞」が贈られました。

 福尾さん、鈴木さん、小城さん!! 受賞おめでとうございます!!