2011年4月18日

野村ルイ子展 番画廊

みなさんこんにちは!久しぶりのゲイブロ君です!今日は投稿ブログをご紹介します!

nomura03.jpg野村ルイ子さん(美術学科07卒)の個展が4月4日から9日まで行なわれました。

nomura01.jpg野村さんの絵画は彩度の高いカラフルな色合いと動物などのモティーフで、ファンシーな画面構成をしています。また、アニメやマンガの表現記号を絵画に導入し、文化を共有している人たちには読み取れる作品となっていました。

nomura02.jpgこの作品を見た時、私は「なんと痛々しいイメージであるか」と感じました。その理由は森の木下に幼児が死体として横たわっていること。手で握ったままの食べかけのリンゴ、そして無数の食べきれないほどのリンゴが、幼児の周りを囲んでいることによって感じることでした。ヨーロッパ絵画では幼児はクピドー(キューピッド)でリンゴはその母アブロディーテ(ビーナス)を連想させます。私には近年母親が育児放棄を行なっている悲しい姿に見えたのです。野村さんはこの絵に関して、リンゴはアイザック・ニュートンの「リンゴが木から落ちるのを見て万有引力を思いついた」ことから発想し、リンゴを食べた子どもに引力が生まれ、その体めがけリンゴが勢いよく降りかかって来たという物語だそうです。この彼女のファンシーな物語は、現代においてむしろ私の作品の読み方よりリアルであるかもしれません。

nomura00.jpg 一見すると女の子らしいというステレオタイプの作品に思えるかもしれません。彼女の制作の発想の原点には、悲惨な近年の大きな出来事を抱え込んでいる事が理解できました。

nomura04.jpg軽やかでカラフルでかわいらしい動物達のイメージは、実は現実の人間世界の深い悲しみと表裏一体であり、鎮魂の絵画であると感じました。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室
 


2011年4月13日

キャラクター造形学科一期生によるグループ展

kaikasengen2.jpg 3月20日(日)から25日(金)までの6日間、大阪市中央区上本町西2丁目のギャラリー風雅にて、キャラクター造形学科一期生によるグループ展『開花宣言』が開催されました。

kaikasengen3.jpg参加者はuekei、ellie、おまる、こばやん、ササツキ、chiko、名越チゴ、なつやまここみ、No.9、ブッキーの10人。

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漫画あり、4コマ漫画あり、イラストあり、絵本ありと、花をテーマにしたバラエティに富んだ作品ギャラリーを彩りました。
入口近くにはポストカードや雑貨など可愛い手作りグッズの販売コーナーもあり、展示だけでなくこちらの方も大人気でした。

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投稿:キャラクター造形学科 林日出夫先生


2011年4月8日

3人の版画展 大阪府立現代美術センター

 

 大阪府20世紀美術コレクション、 池田満寿夫、横尾忠則、李 禹煥(リ・ウーファン)の3人の版画展が4月4日から14日まで行なわれます。

blog01.jpg 今回のこの展覧会企画は非常勤学芸員高橋真理子(芸術計画学科06卒)さんです。展示準備の最中お邪魔させて頂きました。今回のこの企画にあたり、高橋さんは大阪府立現代美術センター所蔵の作品を使用し、今までとは異なる視点から展覧会コンセプトを組み上げてきたという事です。数ある収蔵作品の中から版画に注目し、作家に関してはほぼ同じ年代に活躍しながらも異なるアートワールドを作り上げた3人を選び、作品を一堂に集め鑑賞してみようと云う事でした。

<展示中の高橋さん>

blog04.jpg 池田満寿夫氏は、版画家や芥川賞作家、映画監督、陶芸家等一つの領域にとどまらない多彩な才能の作家でした。横尾忠則氏は、グラフィックデザイナーであり後に画家宣言をした作家です。李 禹煥氏は、日本の現代アート「もの派」の理論的指導者でありました。直島に個人美術館が出来る事でも話題になっています。

                           

                          <展示作業中>

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 この3人の異色の組み合わせで何を語らせるのか、これが企画の中心に置かれる要点だと思います。作品同士が新たなテクストを織りなせば、企画は成功だと思います。
 

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 版画でも、リトグラフ、シルクスクリーン、ドライポイントと技法が異なっており、作家の思想とそれを伝達する技法に関して注視する必要があると思います。是非学生の皆さんも足を運んで頂けたらと思います。
 
報告 加藤隆明 教養課程 講師
 
大阪府立現代美術センター http://www.osaka-art.jp/

 


2011年4月2日

児童画国際交流展

        

みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します! 

パワフルな作品が並んでいます!
 「児童画の国際交流を進める画塾協会」の展覧会が3月19日から21日まで京都市美術館で行なわれました。子供たちの造形や絵画作品が総数1000点出品されており、かなり大規模の展覧会でした。
 作品は国内だけでなく、イギリスミャンマーなど海外の児童画も展示してあり、描き方や制作方法の違いなど興味深い企画構成になっていました。
 出品作品は児童画とはいえ、私が経験していた子供っぽさや素朴なものではなく、大人やアートを専門としている人でも見応えのある作品となっていました。

 イギリスの児童のブックアート作品では、ポップアートの発祥地らしくイギリス、アメリカのポップアーティストの肖像や作品が引用し制作されていたり、ミャンマーの児童画では銃を持つ兵士と住民が描かれていたりとそれぞれの国の独自性や悲しい状況などが表現されていました。日本の児童画や造形などもかなりの力量で制作されており、作品の完成度(児童画は適さないかもしれない言葉ですが)は非常に高かったと思います。その理由は、個々の制作を丁寧に仕上げている。その作品の展示方法が優れていることにあります。
多分、児童とされる年齢ではこれだけの作品や展示クオリティーを保つ事は出来ないと思います。やはり子供たちを指導する人たちの指導力によると思われました。

国によって作風が違うのも面白いですね!  子どもたちのパワーってすごい!!  将来が楽しみです!
    
 子供の絵と云っても幅が広く、描いているようで実は子供の破壊行動からの絵から、手首、腕などの身体的運動から生まれる絵、見えたものを再構成する絵、知っているものを描くなど、子供の成長の間に変化してきます。
芸術では絵画や造形を子供の様に制作するわけにはいきません。作り手はメディアの性質を自覚しないと作品として成立しません。この展覧会は児童画ではなくむしろアーティスト意識に近いと感じました

子供たちを見守る大人たちの存在も重要です!

 この展覧会の企画運営者の内二人の卒表生がおられました。アーティストの藤原卓也さん(85卒美術学科)こどもアート指導の小原(旧姓馬場)緑さん(96卒芸術計画学科)です。
 アーティストの藤原卓也さんは、今後、たけはら国際美術展に参加されます。小原緑さんは学生時代「マックス・エルンストからシュールレアリスムを解釈する」という研究論文とともに絵画制作を行なってきました。

報告 加藤隆明芸術計画学科講師
 


2011年4月1日

上須元徳展 RE:Assemble YOD Gallery

     

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!!

 上須さん(99年卒美術学科)の作品はモノクローム(単一の色彩)絵画です。描かれているイメージは、普段見慣れているだろう風景や建築構造物です。制作方法として明度の異なる灰色をドットのように集積し、イメージと背景を構成しています。

何を描いているのでしょう??本当にすべてドットなんでしょうか?!

 1970年後半日本の現代美術ではモノクローム絵画が流行しました。1つは抽象的に、もう1つは具象的に、です。この具象的にとはイメージがほぼ 記号で作られており、数字、矢印、国旗など概念的に厚みがないもの3次元ではないものが描かれていました。その時期のモノクローム絵画と大きく異なる要素 が上須さんの作品にはあります。前述しましたが、筆致がドット的様相を見せている事です。モノクローム絵画は同色で明度も彩度も一定のまま描かれていたか、同色を明度のグラデーションにより立体的に見せる方法でしたが、明度の異なるドットで層を成す方法はコンピュータグラフィックス、特に初期のコン ピュータの画面に現れていたものだと思います。そのような事からも、上須さんのモノクローム絵画は今までの作品と大きく異なることだと思います。またその 視点から捉えると、コンピュータグラフィックス制作にみられるレイヤー技法でのイメージを画面正面から見ると、層の集積として画面が構築して いますが、実は その層の一部だけ取り出し作り直しが可能な事により、層となっているものの結びつきは無関係である事が分かります。これは無関係の層の集合体でありその感覚が絵画作品に無数の透明な空間膜を感じさせてしまうのではないでしょうか。色彩の明るさの違いで手前に見えたり奥に見えたりと、同一平面上でも、立体 感を感ずる事が出来る事があります。その事が作品鑑賞に大きく関わっているように思えます。

まるで写真のようですね! 美しいグラデーションです! 単一色なので、イメージが膨らみます! 
 
 画面構成としては写真のフレームを彷彿させるようなイメージであり、客観的科学的視座によってイメージを捉えている事もこの奇妙な絵画空間を育んでいる要素であると思います。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師