金剛山の麓、豊かな自然に恵まれた富田林市に、生涯を懸けてものづくりに打ち込む人々がいます。江戸時代から良質の竹に恵まれたこの地で作られた竹細工や簾を、100年以上経った今も脈々とその伝統技術を受け継ぎ、作り続けている職人たち。
その手仕事のひたむきさ、優しさ、繊細さを写真に焼き付けようと、半年以上もの時間をかけて追い続けた杉山寛高さん。
本学の写真学科で写真を学びながら、学外で様々なイベントや現代アートの作品を撮影したり、富田林市の広報でも写真を担当したりと、多方面で活動しています。その内容は芸大のブログ等で取り上げられ、デザインや美術の分野で作品を発表する学生たちにコラボを希望される、人気の学生カメラマンです。
また、東日本の大震災ではこの未曾有の被災状況を次代の若者に伝えるため、ひとり夜行バスで駆けつけ、しゃにむに記録写真を撮っていた仕事人でもあります。
今回、本学図書館がご紹介する写真展「Works×Photo」は、杉山さんが、半世紀にわたって簾作りひと筋に生きてきた職人の仕事を写真に撮り、作品にしたものです。
本物にこだわる彼は、職人たちの生活や仕事にふれてみて、そのまっすぐな生き方をカメラにとらえました。シャッターを切るときは一瞬ですが、その前にたっぷりと時間をかけて被写体と向き合ったところに、杉山さんのカメラマン魂が窺えます。
簾作りの丹念な工程を目にして職人たちの矜持を感じ取った彼が、こころを込めて撮った渾身の作品。館内の書架に展示された一枚、一枚の写真から、プロを目指す杉山さんの強い意志が伝わるのでしょうか、作品はもとより、撮影した杉山さんに、見に来られた人たちの関心が集まっていました。
優れた伝統技術もさることながら、ものづくりに込められた職人のひたむきな情熱と、それをこころから撮りたいと思った杉山さんのストレートな気持ちが響きあって、4階の閲覧室のコーナーは時間が止まったような、ものを愛おしむ優しい空気が漂っています。
展示された11枚の写真は簾が出来上がっていく工程を写しています。写真を追ううちに、簾を通して差し込んでくる柔らかな陽の光がイメージされて、懐かしさがふっと込み上げてきました。
写真では伝えきれない。それでも、写真で伝えたい。
歴史や匂い、感情や宇宙との一体感などが写真でどこまで伝えられるのか、すべてを伝えることは限りなく難しいこと…。
それでも、写真を見てくれた人がこころの真っ芯で受け止めてくれるような写真を撮りたい、と志す杉山さんのメッセージです。
―「いいモノを作るには、まず「想う」事が重要です。モノと真摯に向き合い、理解し、ここに「技術」が合わさる事でモノは形づくられるのだと思います。この過程を、一言で語ることはできませんが、少しでも私の写真を通して伝えることが出来れば幸いです。」―
杉山寛高 写真学科3回生
(撮影:上田悠暉 写真学科3回生)
簾作りに懸ける職人と、こころに残る写真を追求する杉山さん。両者の仕事へのひたむきさが伝わる写真をぜひ一度ご覧ください。ゆったりとした時間とともに、自分の進む道が見えてくるかも知れません。
※ ここにご紹介した写真は、今年2月に富田林市寺内町で開催された「春ふわり寺内町 ― 歴史とアートであったまろ ―」
(大阪金剛簾プロジェクト)のすだれ製作体験の会場で、「大阪金剛簾」製作の風景写真として展示されたものです。
現在、大阪芸術大学図書館4階閲覧室で展示中


作品の画面中央を走る曲線は、六甲山など具体的な身近な山の稜線を表しているとのことです。また、稜線から下部には俯瞰した町並みのようなあるいは積み上げられた抽象模様のようなものが描かれています。
画面の一部に、自画像が描かれておりその周りが自身の生活環境にも見えることからプライベートな物語として読むことができます。観賞方法としては、観者が画面の中を、視線を動かして周辺を楽しむように散歩することが出来ます。散歩の途中には、抽象模様、具体的イメージ、英語表記、日本語表記等が混在とし、見る行為、読み行為を唐突に体験させられます。私たちが作品を見ることは多様な能力を発揮し作品と向き合っていることに気がつかされます。
抽象模様の中には、アーティストの年齢の同時代的女性性の模様を窺えるものがあり、また日本語では今流行のツイッターを思わせる内容の文章が書かれ、英語表記では、何らかの看板やコマーシャルをイメージさせるものとなっています。
国内外30名のアーティストがジャンルの垣根を超えて集結し、伝統的な日本画から現代美術まで様々な作品が一堂に会する「観○光(かんひかり)ART EXPO 2011」は、キュレーター、プロデューサーを設けず、参加作家自らが実行委員となって運営されるアート博覧会です。
会場となるのは、清水寺(世界文化遺産)・二条城(世界文化遺産)・御寺 泉涌寺の3会場。通常の展示空間とは異なる、圧倒的に趣のある会場を舞台に、美の対立と調和を産み出します。
また今回は、参加アーティストである漫画家・しりあがり寿による「4コマ漫画スタンプラリー」も実施されます。
作品を展示していたのは、美術学科3年生の今井杏奈さん
今井さんの作品は木がメインになってます。
今井さんの今後の目標は、「グランドキャニオン」を作ること。
さて今回の大阪芸大テレビ。
続いては、舞台芸術学科の定期公演「御時幻影」第一幕の模様をダイジェストでお送りします。
最後に、ギャラリー展の話題をお伝えします。