2009年1月14日

特別講義「音楽料理法 Part.II」

朝は小雨で冷たい朝となりました。お昼前に雨は止み、晴れ間もありましたが気温は上がらず寒い一日でした。今週のお天気はぐずつく日もあるようですが、センター試験のある週末はなんとか晴れて温かい日になってほしいものです。

さて本日は14号館ホールで演奏学科の特別講義が行われていました。指揮者・小松一彦先生による『音楽料理法 Part.II–演奏解釈』という講義です。ちょっと行ってみたくなる講座名です。会場に伺ったとき演奏学科4年生の鈴木貴子さんによる声楽の独唱が行われていました。
音楽料理法 小松一彦 演奏解釈
V.
ベッリーニ:「カプレーティ家とモンテッキ家」よりジュリェッタ “ああ、幾度か”
伴奏:山崎 はるか さん

独唱の後、小松先生がこの楽曲のポイントとなる部分を実際に歌ってみたりしながら細かく解説していきます。音楽音痴の私には理解できない部分の方が多かったのですが、興味深い授業であることに変わりはありませんでした。楽曲をどのように解釈してそれをどう演奏に生かせばいいのかを指導するわけですが、やはり言葉による指導部分が大きいのは言うまでもありません。微妙なニュアンスを如何に伝えるのか、という部分。これは感心するばかりでした。
音楽料理法 小松一彦 演奏解釈
ピアノ伴奏に方への指示も「・・・指先から水が滴り落ちるように(鍵盤へのタッチのニュアンス)・・・」だったり、歌に関しても「・・・そこに向かってあなたの思いを乗せていって・・・、舞い降りるように・・・」などなど、本当に「イメージの世界」です。「あなたは今、声楽をしているんだから。もっともっと感情移入して・・・」。外国語の楽曲ですので解釈には言語の壁があります。この講義では右脳を存分に使って演奏の解釈をすすめるやりとりが続きました。
緻密な音程コントロールのコツと演奏解釈に基づく感情移入のポイントなど演奏の「奥の深?い感じ」をあらためて感じた授業でした。

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2009年1月13日

大学院作品展(造形系) 公開審査のお知らせ

現在、学内では「大学院作品展–博士課程後期(造形系)」が開催されています。この作品展も学位(博士)を取るための公開審査が行われる予定になっています。
大学院作品展 造形系
芸坂を上がると芸術情報センター前に展示されている木の造形物がすぐ目を惹きます。以前、ブログでも紹介したことのある尾崎実哉さんの作品です。写真の左側が『天の浮橋』、右側が『さ昇り』という作品です。尾崎さんの作品は「遺物・遺跡に刻印された古代の記憶をモチーフにした木の立体造形」です。
大学院作品展 造形系
情報センターに入っても尾崎さんの作品が各所に展示されており、その作品たちに導かれるように展示ホールの会場へと入っていきます。コチラの会場には石川知さんの絵画が展示されています。石川さんの作品は「絵画における「無意識の具象化について」」という研究テーマです。どの作品も怖い夢に出てきそうな強烈なインパクトをもった作品ばかりです。写真の一番手前の作品は『天竜』という作品。
大学院作品展 造形系
それとパイプオルガン前で着々と準備が進められているのは門脇光美さんの作品です。本格的な音響と照明の設備を持ち込み、壁面に映像を映し出して舞台が制作されています。
大学院作品展 造形系
アートホールの回廊部分には写真作品と屏風のようにして制作されたグラフィックデザインが展示されています。
大学院作品展 造形系

いつもなら昭和期の日本を代表するグラフィックデザイナー早川良雄さんのタペストリーが吊られているワイヤーにも今回のために制作されたものに替えられています。門脇さんの作品は「マンネリズムの見直しを通して見出された美」というテーマに基づくもので、出来上がった舞台で身体表現(舞踊)によるパフォーマンスも含めてアートホール全体の空間が審査されます。“デザイン”という研究領域の作品発表としては特異なものになる予定です。どなたでも自由に見ることができますので皆様是非アートホールにお越しください。
大学院作品展 造形系
この3名の方の公開審査は明日114日(水)。いずれも芸術情報センターにて行われます。
門脇光美さん 13:00? (アートホール及び回廊部分)
尾崎実哉さん 13:30? (エントランス及び展示ホール)
石川知さん  14:00? (展示ホール)

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2009年1月10日

Pa-ssage(1月号)更新しました。

第3弾となるPa-ssage」(1月号)、更新しました。今回はついにあの方。大学院 芸術制作専攻(デザイン研究領域)中谷吉英さんのインタビューです。そう、記憶にもあたらしい昨年12月に行われた「-TEN- FINAL in図書館」の総合プロデュースを担当された人物です。
Pa-ssage 中谷吉英 千木良庄子 EartH
入試課でも大変お世話になっている中谷さん。ここ数年のキャンパス見学会など、イベントが非常に活気付いてきたのも中谷吉英さんのおかげです。秋には大阪芸術大学ブログの1周年イベントを企画してくれたのもこの方です。私、個人としては「Student of the Year 2009」を差し上げたいと思うほど、すばらしいセンスと愛嬌を備えた素敵な大学院生です。

インタビューの中では芸術学部、大学院の6年の間に企画された展覧会イベントの足跡を辿りながら、中谷吉英さんのモチベーションの秘密へ迫ります。学内、学外を問わず活躍されている中谷さんの大学生活はどんなものだったのか?皆さん興味ありますよね?
>>>中谷吉英さんがデザインされた「Cupuc」

質問の中には、Q.もし今の繋がりや経験を持ったまま、もう一度大学2年生に戻るとしたら何をやりますか?』という興味深いものもあります。そしてPa-ssageの核となる『後輩へのメッセージ』も必読です。
Pa-ssage 中谷吉英 千木良庄子 neri
前回に引き続きインタビュワーは中谷玲子さん。写真を霞末侑作さん。紙面の構成を宮崎リサさんが担当してくださいました。中谷吉英さんが大学院を修了する前にこの「Pa-ssage」企画で取り上げてもらえることができて本当に良かったです。制作担当のEartHの皆さんどうもありがとうございます。
>>>Web
マガジン「Pa-ssage」は「受験生のための情報サイト」からご覧ください。
Pa-ssage 中谷吉英 千木良庄子 neri

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2009年1月9日

UTADAMA

本日14号館ホールにて、冬の寒さを吹っ飛ばすホットなコンサート「第二回UTADAMAコンサート」が開かれました。
UTADAMA もず唱平 久ぼたなお子 QU-E
UTADAMAは芸術計画学科のもず唱平先生が受け持つ「言語意味研究」の授業の一環です。この授業は学生が自ら作詞した曲を作品として完成させ、それを世間に評価してもらうまでのプロセスを学んでいます。講義受講生(約80人)の学生が作詞した中から10曲を選曲し、芸大の卒業生でプロとして活躍するデュオユニット「QU?E」とシンガーソングライターの久ぼたなお子さんが作曲を手がけています。
>>>大阪日日新聞web版(2009年1月6日付)

UTADAMAとは?言葉にはコトダマが宿り、その言葉をメロディーに乗せたとき、ウタダマが生まれる。歌詞はどんなプロセスを経て、人に感動を与えることができるのか?それを検証したい。(学生手作りのチラシより) コンサートの構成・演出、司会、照明、音響などすべて学生が行います。
UTADAMA もず唱平 久ぼたなお子 QU-E
いよいよコンサートスタート!!久ぼたなお子さんが桃色の袴姿にアコースティックギターを抱えて登場しました。高校の時に弓道をしていた影響と曲のイメージに合わせたそうです。しっとりと力強い歌声とアコースティックギターの音色が会場に響きました。やはりUTADAMAということで、受付でもらった作品集(学生の詞)をめくり、コトダマを見つつコンサートを楽しむ観客が目立ちました。再会、別れをテーマにした歌詞が切なく、袴のせいかレトロな印象を受けました。
UTADAMA もず唱平 久ぼたなお子 QU-E
次はQUーEが登場!!ユニット名はクエと読むそうです。ヴォーカルのTOMYさんのソウルフルな歌声とSASAGUさんのピアノに観客は聴き入りました。歌詞に耳を傾けると、学生の日常生活でふっと生まれた気持ちや、疑問、恋愛がテーマの歌詞は非常にリアルで、自分を偽らずストレートに表現していて、とても感動しました。
UTADAMA もず唱平 久ぼたなお子 QU-E
自ら作詞した曲を舞台に立ち表現した学生もいました。よりいっそう歌詞に込められたUTADAMAが伝わってきたように思いました。14号館ホールはあったかい雰囲気に包まれました。
>>>UTADMA blog

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2009年1月8日

吹けっ!邦楽の風!

本日、お昼休みに「二〇〇九年 新春尺八本曲コンサート」が行われました。学内のポスターで知ったのですが、外国人の方が友情出演されるということだったので行ってみました。
新春尺八本曲コンサート 2009
4曲演奏が予定されていて、始めはこのコンサートのためにだけ結成されたユニット“トーテムポール”のお二人でした。現在3年生の上野航さんと宮家智彦さん。演奏された曲は『全音』。ジョン海山ネプチューンというジャズアーティストの方により作曲された楽曲です。他の出演者が大学院生や卒業生なので、経験は一番浅いお二人ですがなかなかの熱演でした。
新春尺八本曲コンサート
始まる前に楽譜を見せてもらいましたが、何が書いてあるかさっぱりわかりませんでした。「この楽譜でデュオやるの?!」と驚きました。
新春尺八本曲コンサート
二人目は卒業生で現在音楽学科研究室で副手としてお勤めの宮前太一さんの独奏です。演奏曲は『寒月』(初代 中尾郡山・作曲)。厳しい寒空高く、煌々と梅の花を照らす月。初春の夜空の下に佇む梅花と月の対比を曲にしたのだそうです。
新春尺八本曲コンサート
小刻みに首を左右に振ってビブラートをかける尺八独特の演奏がとても滑らかでした。音が細く弱くなりながらも、うねりながら長く続く部分などは見事でした。

三人目の演奏は『峰の月』(初代 中尾郡山・作曲)。大学院生の岡村真さんの独奏です。月が昇る前の暗い山影や、月の出の荘厳な輝き、月に照らされた峰のシルエット、煌々と照り映える中秋の名月を見事に竹に映しとった標題音楽です。
新春尺八本曲コンサート
音が長く伸び、一旦静寂が訪れたと思ったら・・・それをズバッと斬るように高い大きな音での演奏が再開され、尺八の渋い音で様々な変化を織り交ぜた演奏。目を閉じて音に浸り、尺八の先から頭のてっぺんまでも楽器として使っている演奏はカッコよかったです。

4番目は『黒船式 鹿の遠音』(尺八古典本曲整曲)。現在、大阪大学で学んでおられる留学生ジョシュ・スミスさんと本学・大学院生の泉川秀文さんの演奏です。この楽曲は日本音楽の中の尺八の代表曲です。二人の奏者が交互に吹奏する「掛け合い」の形式です。
新春尺八本曲コンサート
他の3組とはことなり、雪駄と地下足袋で登場しステージに座布団をひいて正座の姿勢で行う演奏です。二人の意思が通じ合っているのか、カウントを刻むことなく呼吸だけで二人の演奏は始まりました。

秋深き奥山に遠く響きわたる鹿の啼く声、雌鹿を慕って遠啼くする雄鹿の声が、秋の深山に響きわたり、こだまする情景を巧みな生態描写、自然描写を交えながら音楽的にまとまりを保って吹奏されます。

ジョシュ・スミスさんと泉川秀文さんは尺八の流派が異なり、演奏様式が全く違うそうなのです。本日の演奏は生まれの異なる二匹の鹿ために特別に再構成した実験的な合奏だったそうです。メリハリの利いた見事としか言いようのない演奏でした。侘び寂を日本人以上に感じているようなショシュ・スミスさん。
新春尺八本曲コンサート
演奏が終わっても余韻を噛みしめるようにすぐには口から尺八を放さず、溜めるようにその後ゆっくり口から離して滑らかな動きでお辞儀される二人の姿がとても印象的でした。邦楽って面白い!

会場にいらっしゃった音楽学科の志村哲先生にちょっと下世話な話、「尺八っていったいいくらぐらいするんですか?」と聞いてみました。
『ピンからキリまであるけれど、本格的な演奏用は20万円ぐらいかな。彼らが演奏しているのでも10万円ぐらいはするだろう。授業で使うものはプラスチック製のものなど、もっともっと安いものもありますが、やっぱり音が全然ちがいますよ。』
自分でも作ったら作れるんじゃないかな?とも思ってましたが、そんなものではないようです。失礼いたしました。

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