2008年12月6日

シェル美術賞2008の続報

先月、1111日のブログでご紹介したシェル美術賞2008に関して続報です。今回のアワードで受賞、入賞した作品をまとめた作品集が本学の博物館事務室に送られてきました。
シェル美術賞 2008 昭和シェル石油 中井康之 蔵屋美香
現在、美術学科の副手をお勤めの
渡邉順子さんの作品が「中井康之審査員賞」に輝いたことはお伝えしてありましたが、この作品集には渡邉さんを含め4名の卒業生が紹介されてありました。

蔵屋美香審査員賞」を受賞されている岡田大さんは2004年にデザイン学科をご卒業です。岡田さんは絵とものづくりの雑誌『みづゑ』が主催する、《みづゑ賞》の絵本部門でスズキコージ賞などを受賞されています。今回の受賞作品は『名前のある馬』という作品です。アクリルやペンキ、マジックを使って描かれたポップな色使いの作品です。
http://www.showa-shell.co.jp/society/philanthropy/art/winners2008.html

入賞者には2006年に卒業された奈良田晃治さんと2004年に卒業された前田大介さんもいらっしゃいました。どちらも美術学科の出身です。お二人の作品をWEBで見ることができないのが残念です。

奈良田晃治さんの作品は深いモスグリーンの背景に小さな雲がたくさん描かれているような作品でタイトルは『自画像』。タイトルを見てからよく見るとランダムに配置されているかのように見えた小さな雲が繋がって、少しうつむきぎみで立っている人のシルエットが浮かび上がってきます。

前田大介さんの作品は『街並』というタイトルです。8階建てのマンション(?)の立面図をモチーフにしたような独特のタッチの作品です。背景の薄く優しく描かれた街の上に古びて渋さが現れた様子の建物がぽっかり浮かんだような作品です。

どんな作品も言葉で表現するのは難しいです。是非、実物をご鑑賞いただきたいです。
ということで、シェル美術賞展2008(京都展)は年明け16日からです。

●シェル美術賞展2008
(京都展)2009年 1月 6日? 1月11日 京都市美術館別館
>>>シェル美術賞公式ホームページ

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2008年12月5日

AAC 電子音響音楽フェスティバル2008

昨日から3日間の日程で開催されている「電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART CIRCUS 2008」。学外はもちろんのことフランスや韓国、今年はイタリアなど海外からも出演者、ゲストを迎え開催されています。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
このフェスティバルは芸術情報センター地下にある実験ドームで行われています。大阪芸術大学が誇る立体空間音響システム“アクースモニュウム”を用いての演奏は、多次元、いや異次元に飛び込んだような感覚です。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
本日は15:00からイタリアのレッチェ音楽院教授、フランコ・デグラッシ氏による特別講義が実験ドーム内で行われました。「イタリアの電子音響音楽の歴史」と題された講義の中では、様々な音源や映像などを用いてイタリアにおけるアクースマティック音楽の現況について解説いただきました。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
その中で、今日のようにコンピューターや音響機材が小型化されていない時代にも研究が続けられていたイタリアの研究所の白黒の映像などが紹介されました。当時最先端とされていた音響研究設備は今からは考えられないくらい大きなものでした。今のデジタル技術や機械技術の発達の速度やすばらしさをあらためて実感できました。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
16:40
からの学生コンサート(3)、教員コンサートも聞かせていただきました。音響素人の私ですので技術的なことはよくわかりませんが、演奏者は魔法使いのようです。真っ暗にされた会場の中に作られる音響空間は、演奏者の手によって拡げられたり歪められたりするような錯覚に陥ります。サンプリングされた様々な音は、加工され、立体的に配置されたスピーカーからどのように空間に発せられるかで音響空間の表情がめまぐるしく変わります。作曲+演奏によって作者の哲学を表現している点が「抽象画」のイメージと重なります。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
大塚勇樹さんの作品「Bachelorette Mechanica」は、フランスの医学者ジュリアン・ラ・メトリの著書「人間機械論」からイメージされた作品でした。一定の間隔で繰り返される機械的なリズムや全速力で走った後の喘ぐような呼吸のリズム、ノイズが刻むベース音のようなものなど様々な音源を組み合わせて表現されていました。我々の感情や愛までもが科学的な性質であるとする考えを表現しようとしたものでした。我々はまさに機械であると主張するものの、どこかでそう思いたくないような「迷い」のようなものも表現されていたように感じました。
電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART アクースモニュウム
色も形のないのに、表情もメッセージも伝えることができる不思議な電子音響音楽の体験でした。いわゆる「楽器」を演奏することや絵を描くこととは全く違いますが、空間を使って音で表現することで人を魅了できる「音響」というものにすごく感心しました。電子音響音楽にしか作ることができない多次元性の最たる空間でした。

●電子音響音楽フェスティバル AUDIO ART CIRCUS 2008
 2008年12月4日(金)→12月6日(土)
 大阪芸術大学 芸術情報センター地下2階 実験ドーム
 >>>学生コンサートなどのスケジュール

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2008年12月4日

「2008京都美術ビエンナーレ」にて大賞受賞! 福森 創さん

現在開催中の「京都府美術工芸新鋭展 -2008京都美術ビエンナーレ」にて、工芸学科4年生・金属工芸コースの福森 創さんが大賞を受賞されました!おめでとうございます!
ということで早速、京都文化博物館に行ってきました。
京都美術ビエンナーレ 2008 京都文化美術館 福森創 源氏物語
この展覧会は昨年度から「京都府美術工芸新鋭展」として、美術分野、工芸分野をそれぞれ隔年で開催することになり、今年度は美術分野が取り上げられています。日本画・洋画・版画・彫刻の作品がずらり。
京都美術ビエンナーレ 2008 京都文化美術館 福森創 源氏物語
公募部門では全国からの応募作品約60点、京都の大学や審査員の推薦で出展さた作品が17点。また自由テーマのほか、源氏物語千年紀事業に合わせて「源氏物語」という特別記念テーマでも公募されました。会場には併設展示として「模写手本の世界-「源氏物語」を描く-」も行われており、日本画の画材や表現の紹介のパネルと併せてとても見応えのある展覧会でした。
京都美術ビエンナーレ 2008 京都文化美術館 福森創 源氏物語
今回、福森さんは自由テーマでの大賞受賞。この作品は先月学内で行われていた展覧会「Four Individual –工芸に新しい可能性を」(1111日→1115日)でも展示されていたのでご覧になられた方も多いのではないでしょうか。
>>>11月16日のブログ

京都府京都文化博物館・学芸課の方の許可を頂きまして撮影させていただくことができました。本日行ってきた京都文化博物館(新館)の4階にある特別展示室の中でも独特の存在感を放つ『種』と名付けられている作品。まずこの大きさに力強さを感じます。側面の荒く有機的な質感と、上面は金属の光沢。その対比が面白い作品です。
京都美術ビエンナーレ 2008 京都文化美術館 福森創 源氏物語

学芸員の横山様に審査会のエピソードを伺いました。
『・・・私自身は審査には加わっていませんが、審査に立ち会っていました。審査会では名前はもちろん、どの都道府県からの応募かとか、作者の情報は全くない状態で審査が行われます。純粋に作品のみを評価していくわけです。それで「では、この作品を大賞にしよう」ということが決まってから、作家のプロフィールを少し紹介したところ、「22歳」という若さに審査員の先生方が皆、驚かれていました。・・・』

会場に展示してある講評:
帯状の錆びた鉄板を積み重ねて擂鉢状にしhた彫刻作品。作者は、新しい生命を運びそれを次代に伝えていく「種」の偉大さに感動し、その端正な形を美しく思い、この作品を制作したという。鉄板の接合面にやや粗さが見られるが、おおらかで力強い造形に若いエネルギーが感じられる優れた作品である。きわめてシンプルな形に錆びた色合いが作品に表情を与えている。この受賞を契機にさらなるステップアップを期待したい。
京都美術ビエンナーレ 2008 京都文化美術館 福森創 源氏物語

今回、大賞を受賞された福森創さんから、受賞のコメントをいただきました。
『今4回生で、もうすぐ卒業という時期にこのような賞を受賞出来た事をとても嬉しく思います。また一緒に制作している仲間達にたくさん刺激を貰い、先生達から学び、感謝しています。本当にありがとうございます。しかしこれからが私にとってスタートです。今回の受賞をきっかけに次へ繋がるように、地に足をつけ制作していきたいと思います。ありがとうございました。』

京都美術ビエンナーレ 2008 京都文化美術館 福森創 源氏物語
学内でこの作品見ていただけに、大賞受賞の知らせを聞いてちょっと興奮しました。見ておいてよかった。自分の作品ではないのに、「見たことがある」という親近感だけでワクワクしました。これからも精力的に制作してたくさんの作品を発表していってくださいね。

●京都府美術工芸新鋭展 -2008京都美術ビエンナーレ
 11月29日(土)→12月14日(日)
 10:00→18:00
 京都府・京都文化博物館 4F特別展示室にて
 入場無料

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2008年12月3日

「学生食堂」に関するアンケート

本日から3日間(3日、5日、9日)にわたって、“「学生食堂」に関するアンケート”が実施されます。初日の今日は総合体育館の第二学生食堂で行われました。このアンケートは大学が大阪府藤井寺保健所と連携し、“魅力ある学生食堂”さらには“学生食堂を通じた健康づくり”を推進しようという目的で行われるものだそうです。学生生活や生活習慣、学生食堂への意識などをまとめ、まず基礎資料のための集計・分析が行われるのだそうです。
食育SATシステム 栄養管理 魅力ある食堂 健康メニュー 学生食堂
アンケートには「健康に配慮したメニュー」についてなどの質問があります。例えば…
『学生食堂のヘルシーメニューとして食べたいものはどれですか?』
(1)エネルギー(カロリー)をひかえたメニュー
(2)塩分をひかえたメニュー
(3)脂質(あぶら)をひかえたメニュー
(4)野菜を多くしたメニュー
(5)乳製品(牛乳・ヨーグルトなど)をとりいれたメニュー
(6)大豆製品(豆腐・油揚げ・納豆など)をとりいれたメニュー
(7)食品数の多いメニュー
(8)アレルギー原因食品の表示をしたメニュー
(9)その他(                     )
こんな質問の他、ヘルシーな定食を食べるならいくらまで支払っても良いかなど食に対する意識についての質問もあります。
食育SATシステム 栄養管理 魅力ある食堂 健康メニュー 学生食堂
大学内の食堂ではどこでもメニューのカロリー表示を行っています。自分がいつもどのくらいのカロリーを摂取しているか数字で確認してもらうためです。これは以前、ブログでも紹介しましたよね。「お腹いっぱいになればそれでいい」ではなく、毎日のことですから自分が口にするものへの意識を高めたいですね。>>>以前のブログ(2008-9-20)
私も大学生の時代にできるだけ食事にお金をかけない生活をしていた時期がありました。実家の親から連絡があるときは開口一番「ちゃんと食べてますか?季節の旬のものは食べてますか?」と、毎回同じことを聞かれたことが思い出されます。「生きる基本は食事から」。これは間違いありません。みなさん、栄養バランスよくちゃんと食べてます?
食育SATシステム 栄養管理 魅力ある食堂 健康メニュー 学生食堂
アンケートの実施会場では「食育SAT(サッと)システム」というものが体験できます。たくさん用意された食品のおもちゃのようなものを選んでトレイに載せると、総脂質の量や塩分の量、ビタミンの量などが表示され、食事の「名人度」が★マークの数で表示されます。是非、やってみましょう!
>>>食育SATシステムver2.0
食育SATシステム 栄養管理 魅力ある食堂 健康メニュー 学生食堂

●「学生食堂」に関するアンケート
 123日(水) 第二学生食堂<総合体育館(2F)> アンケート+食生活アドバイス
 125日(金) 第一学生食堂<11号館(1F)>    アンケート+食生活アドバイス
 129日(火) 第一学生食堂及び第二学生食堂    アンケートのみ

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2008年12月2日

「展-TEN- FINAL in 図書館」、二日目。

昨日の「-TEN- FINAL in図書館」の初日、芸術情報センターの地下1階・喫茶ハマグチではオープニングレセプションが行われました。学外からお越しいただいた方も多く、学生・教職員を含めて70名を越える方々が会場に集まっていました。金管五重奏のファンファーレが演奏され司会の軽快な挨拶でスタートです。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
図書館・吉田事務部長から「-TEN- FINAL in図書館」開催にあたっての挨拶があり、その後、展覧会場の各フロア(2階・3階・4階)ごとに作品を展示さている作家さんの紹介がありました。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
3
階の視聴室の前に陶芸作品を展示されている金理有さんのコメントではご自身の作品について、そして今後の制作への意気込みのお話の他、この展覧会に寄せる言葉があり印象的でした。「私は学外のギャラリーで個展をすることが多くて、そういった作品展を通じて知り合った人たちと話してみると短大部出身だったり、大阪美術専門学校出身だったりと、学内というよりは学外でグループ校の人たちと繋がることが多かった。でも中谷君が情報センターの展示ホールで展覧会をやった頃から学内が本当に活気付いて、学科間の交流が生まれ大学が面白くなってきたと思う。今回、この企画に参加させてもらうことができて本当に光栄です。中谷君ありがとう。」
「展-TEN- FINAL in 図書館」
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階に展示している長谷川朋也さんは、展覧会のディレクションをした中谷吉英さんやグラフィックデザインを担当した古島佑起さんと同じく「展-TEN-」の初期のメンバーで、「展」のすべてを見つめ続けてきたカメラマン。「いつも自分が制作している作品とは違ったものを展示しています。展-TEN-に関わるたくさんの記録的写真を展示しています。いい感じになったと思います。」
大きなカメラを持ったままの飾らない挨拶は、控えめな長谷川さんらしくほのぼのしていて場がとても和みました。展覧会で使われているポスターのモデルさんの写真や作家さんの紹介パネルの写真など全ての写真は長谷川さんの撮影です。一人一人のホントにいい表情を写しています。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
作家さんの紹介の後は、スタッフの方々の紹介がありました。図書館の多賀谷課長からのご指名で「中谷君、古島君から一言挨拶してほしい」というリクエストがありました。一列に並んだスタッフの方々の両端にいた古島氏、中谷氏の両名が順番にコメントしました。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
「突然のご指名で特に何も言葉を用意していないのですが、〆に中谷君がいい挨拶をしてくれるはずです」と古島氏のスルーパス。中谷氏は少し困りながらもこの展覧会に至るまでの経緯と狙いを紹介してくれました。単なる作品展ではなく、図書館応援企画であることをこの場でも強調されていました。そして今回で最後となる「展-TEN-」の企画については、3年前に行われた1回目の「展-TEN-」のエピソード、その時の思いを話してくれました。
「展-TEN-FINAL in 図書館」 オープニングレセプション
「大阪芸術大学にはスゴイ才能を持った人たちがたくさんいるのに、『埋もれている』ように思っていた。なので(それを何とかするために)「展-TEN-」という企画を立ち上げた」、そうコメントされていました。挨拶の後、作家として参加した方々、スタッフの皆さんなどこの場に集まったたくさんの人の一際大きな拍手が中谷さんを包みました。ホントに照れくさそうにしていた中谷さんが深々とお辞儀する姿が印象的でした。こういうのを本当に“温かい拍手”って言うんだなって感じました。

昨日から始まった「-TEN- FINAL in図書館」。一度ならずとも二度までも、三度、四度、五度、六度、・・・と、時間を見つけて足をお運びください。(司会者の言葉より)

ちなみに私のオススメは「4階・共同研究室」の“21人の21冊”という企画。作品を見た後に、作品を思い浮かべながら「へぇー、あの人はこういうの読むんだぁ」って、作家やスタッフの方々のパーソナリティーを知ることができます。本を読もうというキッカケって、こういうシーンからだと思います。自分ならどんな一冊を選ぶかなぁ、なんて考えました。私が大学生時代に読んで印象に残っているのは『邪推する、たのしみ –アートから風俗まで』(井上章一.著 福武書店)。実は最近またあらためて読み直しています。選ぶならきっとコレかな。

●「展-TEN- FINAL in図書館」
 2008121日(月)→13日(土) [休館日:127日(日)]
 開館時間:平日9:20-19:40(土曜日 
9:20-15:40)
 場所:大阪芸術大学・図書館(芸術情報センター234階)

 ※
会期中も図書館は通常開館しています。

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