2008年12月2日

「展-TEN- FINAL in 図書館」、二日目。

昨日の「-TEN- FINAL in図書館」の初日、芸術情報センターの地下1階・喫茶ハマグチではオープニングレセプションが行われました。学外からお越しいただいた方も多く、学生・教職員を含めて70名を越える方々が会場に集まっていました。金管五重奏のファンファーレが演奏され司会の軽快な挨拶でスタートです。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
図書館・吉田事務部長から「-TEN- FINAL in図書館」開催にあたっての挨拶があり、その後、展覧会場の各フロア(2階・3階・4階)ごとに作品を展示さている作家さんの紹介がありました。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
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階の視聴室の前に陶芸作品を展示されている金理有さんのコメントではご自身の作品について、そして今後の制作への意気込みのお話の他、この展覧会に寄せる言葉があり印象的でした。「私は学外のギャラリーで個展をすることが多くて、そういった作品展を通じて知り合った人たちと話してみると短大部出身だったり、大阪美術専門学校出身だったりと、学内というよりは学外でグループ校の人たちと繋がることが多かった。でも中谷君が情報センターの展示ホールで展覧会をやった頃から学内が本当に活気付いて、学科間の交流が生まれ大学が面白くなってきたと思う。今回、この企画に参加させてもらうことができて本当に光栄です。中谷君ありがとう。」
「展-TEN- FINAL in 図書館」
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階に展示している長谷川朋也さんは、展覧会のディレクションをした中谷吉英さんやグラフィックデザインを担当した古島佑起さんと同じく「展-TEN-」の初期のメンバーで、「展」のすべてを見つめ続けてきたカメラマン。「いつも自分が制作している作品とは違ったものを展示しています。展-TEN-に関わるたくさんの記録的写真を展示しています。いい感じになったと思います。」
大きなカメラを持ったままの飾らない挨拶は、控えめな長谷川さんらしくほのぼのしていて場がとても和みました。展覧会で使われているポスターのモデルさんの写真や作家さんの紹介パネルの写真など全ての写真は長谷川さんの撮影です。一人一人のホントにいい表情を写しています。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
作家さんの紹介の後は、スタッフの方々の紹介がありました。図書館の多賀谷課長からのご指名で「中谷君、古島君から一言挨拶してほしい」というリクエストがありました。一列に並んだスタッフの方々の両端にいた古島氏、中谷氏の両名が順番にコメントしました。
「展-TEN- FINAL in 図書館」
「突然のご指名で特に何も言葉を用意していないのですが、〆に中谷君がいい挨拶をしてくれるはずです」と古島氏のスルーパス。中谷氏は少し困りながらもこの展覧会に至るまでの経緯と狙いを紹介してくれました。単なる作品展ではなく、図書館応援企画であることをこの場でも強調されていました。そして今回で最後となる「展-TEN-」の企画については、3年前に行われた1回目の「展-TEN-」のエピソード、その時の思いを話してくれました。
「展-TEN-FINAL in 図書館」 オープニングレセプション
「大阪芸術大学にはスゴイ才能を持った人たちがたくさんいるのに、『埋もれている』ように思っていた。なので(それを何とかするために)「展-TEN-」という企画を立ち上げた」、そうコメントされていました。挨拶の後、作家として参加した方々、スタッフの皆さんなどこの場に集まったたくさんの人の一際大きな拍手が中谷さんを包みました。ホントに照れくさそうにしていた中谷さんが深々とお辞儀する姿が印象的でした。こういうのを本当に“温かい拍手”って言うんだなって感じました。

昨日から始まった「-TEN- FINAL in図書館」。一度ならずとも二度までも、三度、四度、五度、六度、・・・と、時間を見つけて足をお運びください。(司会者の言葉より)

ちなみに私のオススメは「4階・共同研究室」の“21人の21冊”という企画。作品を見た後に、作品を思い浮かべながら「へぇー、あの人はこういうの読むんだぁ」って、作家やスタッフの方々のパーソナリティーを知ることができます。本を読もうというキッカケって、こういうシーンからだと思います。自分ならどんな一冊を選ぶかなぁ、なんて考えました。私が大学生時代に読んで印象に残っているのは『邪推する、たのしみ –アートから風俗まで』(井上章一.著 福武書店)。実は最近またあらためて読み直しています。選ぶならきっとコレかな。

●「展-TEN- FINAL in図書館」
 2008121日(月)→13日(土) [休館日:127日(日)]
 開館時間:平日9:20-19:40(土曜日 
9:20-15:40)
 場所:大阪芸術大学・図書館(芸術情報センター234階)

 ※
会期中も図書館は通常開館しています。

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2008年12月1日

師走のスタートは図書館から

本日からついに始まりました「展-TEN- FINAL in図書館」。日本全国のどんな図書館でも、ここまではできまい、と誇らしげになれる展覧会です。
展 FINAL 図書館
芸術情報センター内のそれぞれ場所にふさわしい作品と空間の特性を活かした展示。どこをとっても絶妙です。その上、在校生たちによる「図書館応援企画」という点が画期的なのです。図書館を利用する在校生は多くても、隅から隅まで活用している方は少ないのではないでしょうか?
展-TEN- FINAL in 図書館
もともとは図書館の職員の方が在校生に「図書館のポスターを作ってほしい」と持ちかけたところから始まった企画。ポスターを作るだけでは動員は見込めない、そう考えた仕掛け人・
中谷吉英さんが1ヵ月半という短期間の間にまとめ上げた企画です。「展-TEN-」のファイナル企画だけにこれまで以上の最高の仕上がりです。
展-TEN- FINAL in 図書館
入り口にある「返却ポスト」や「ロッカー」のところからこの企画は始まっています。「参考図書」のコーナー、「OPAC(オンライン目録)」、「視聴室」、「学習室」、「特別閲覧室」、「自動貸出機」、「共同研究室」などなど、図書館内にレイアウトされた作品を見て回りながら、まだ知らなかった図書館の魅力を発見する、そんな仕掛けが満載の企画です。写真には写りませんが「螺旋階段」にはサウンドスケープの作品も施されています。
展-TEN- FINAL in 図書館
例えば空間を明るくするために大きな電灯を灯すという方法がありますが、小さな明かりをたくさん灯すというやり方もあります。「展-TEN- FINAL in図書館」は後者。大阪芸術大学のさまざまな分野の大学院生・助手・副手の方々の作品の主体性が図書館を輝かす明かりになります。
展-TEN- FINAL in 図書館
作品の個性を大切にして構成されたそれぞれの空間によって明るさが増し、図書館全体を魅力的にしています。発せられる明かりは、この企画を支えている在校生達や助手・副手さん達、関係者の方々の「愛」に近い気持ちだと思えるのです。このあたりが何より感動です◎。
展-TEN- FINAL in 図書館
外部からもたくさんの来館者がありました。市内から来られたギャラリストの方が、この企画の仕上がりに感動し涙ぐむ姿もありました。ちょっと貰い泣きしそうになりました。本当に短い期間の中での準備、搬入作業など、スタッフの方々ほんとうにご苦労様でした(入学試験実施で少し不自由をお掛けして申し訳なかったです)。
展-TEN- FINAL in 図書館 
常設展示を望む声も多く、これぞ「芸術大学の図書館」と思える空間です。初日からたくさんの人が訪れていました。

本日は18:10から「喫茶ハマグチ」にてオープニングレセプションです。参加者のトークや金管五重奏の演奏なども予定されています。その模様は明日のブログにて。
展-TEN- FINAL in 図書館

●「展-TEN- FINAL in図書館」
 2008121日(月)→13日(土) [休館日:127日(日)]
 開館時間:平日9:20-19:40(土曜日 9:20-15:40)
 場所:大阪芸術大学・図書館(芸術情報センター234階)
 ※
会期中も図書館は通常開館しています。
◎アーティスト・トーク&図書館ツアー
出品作家・図書館員と一緒に作品を見て回りながら、作品解説と施設案内をします。落ち着いた雰囲気の心地良い空間で、館内に展示された作品や図書館の施設サービスなどを紹介します。
日時:121日(月)、3日(水)、5日(金)、9日(火)、11日(木)、13日(土)
    ※いずれも12:3013:00(会期中・隔日、昼休み30分)
 >>>「展-TEN- FINAL in図書館」(CMをご覧いただけます。)

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2008年11月30日

推薦入試I期・編入学試験 終了

昨夜の雨風とは打って変わり、今日はいいお天気に恵まれました。
推薦入試I期・編入学試験当日
でも、この時期、さすがに風は冷たいですね・・・。そんななか、本日推薦入試(I期)と編入学試験が行われました。今回の試験は本学と同時開催で学外でも行われています(推薦入試I期のみ)。会場は昨年よりも増え、札幌・東京・名古屋・広島・博多の5会場です。(札幌会場は、雪が降っていたようです・・・)
学外試験会場での試験実施学科は美術・デザイン・工芸・写真・建築・環境デザイン・映像・キャラクター造形・文芸・放送・芸術計画・音楽(音楽制作コースのみ)と、こちらも昨年より増えました。今回は、全学科12:00試験開始でしたので、受験生の方々も時間的な余裕をもって来学されたようです。
バスから降りて、受付に向かう受験生

受付の様子
試験前に、学内の画材店を見学されていた受験生もちらほらいました。
学内の画材店を見学している受験生
今回の推薦入試?期では推薦入試?期と試験内容が変わっている学科もあり、いつもは試験時間の長い美術やデザインの受験生も夕暮れ前に帰路につかれました。
デザイン学科試験会場(試験終了後の風景)

帰路につかれる受験生の方々
本学の年内の試験はこれで終了です。受験生の皆様、ご家族、関係者の方々、本当にお疲れさまでした。なお、推薦入試?期・編入学試験の合格発表は12月7日(日)です。
また、一般入学試験の出願期間は、平成21年1月9日(金)~1月20日(火)【郵便局消印有効】となっております。

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2008年11月29日

シャッターに作品制作

大阪芸術大学の最寄り駅、近鉄「喜志」駅。改札を出て正面の階段を上がると、駅の東側の地上にでます。まっすぐ進まずに右のバスロータリー側へ進みましょう。しばらく行くと大きなマンションの手前に横断歩道があります。横断歩道の正面に三角屋根の小さな建物があります。
センチュリー21 近鉄 喜志駅 シャッター キャラクター
ここは喜志工務店さんが営まれている合鍵屋さん。現在、ここのシャッターにキャラクター造形学科の2年生、河野歩貴さんと吉良有加さんが絵を描いています。土曜日は営業がお休みになりシャッターが終日下ろされるそうで本日最後まで仕上げて完成予定ということです。
センチュリー21 近鉄 喜志駅 シャッター キャラクター
昨日、隣のセンチュリー21・喜志住宅の方にお願いしてシャッターを下ろしてもらいました。まだ制作途中の状態でよく見ると、鉛筆で細かな下絵が描かれていました。作業して完成を迎えるようです。キャラクター造形学科の林日出夫先生が彼女たちのこれまでの制作の様子を写真で記録してこられたようです。本日の写真も林先生から提供していただきました。
センチュリー21 近鉄 喜志駅 シャッター キャラクター
明日大学に来られる受験生の皆さん。この絵を目印にしてスクールバス乗り場までお越しください。スクールバス乗り場は、この絵を左手に見ながら30メートルほど行ったところ(左側)にあります。

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2008年11月28日

大学院 工芸展

本日まで体育館ギャラリーで行われていた「大学院 工芸展」を見てきました。この展覧会は大学院博士課程[前期]工芸領域の1回生による作品展です。本日、午前中合評会が行われたようです。その合評会場にお邪魔できればよかったのですが、伺ったのは15:00を過ぎてから。閉館の17:00(最終日)までになんとか間に合いました。
大学院 工芸展
ガラス工芸、金属工芸、染織、陶芸の10人の作品が体育館ギャラリー全体を使って展示されています。それぞれの作品の世界が干渉しあわないように全体的にゆったりと展示されています。
大学院 工芸展
学部の卒業制作のテーマや技法を発展させて制作されたものが多かったように感じました。会場に入ってすぐのガラス工芸の作品『COCCO”いつかのカタチ』(高田賢三さんの作品)も一目見て高田さんの作品だとわかる作風でした。板ガラスを積層させる細かく丁寧な仕事は卒業制作『Myplant』という作品で使われた手法です。
大学院 工芸展
目線より高い位置に展示されている大きな金属工芸の作品は、ボブさんです。彼の名前を知っている方も多いと思います。
大学院 工芸展
今も金属工芸コースの研究室前に『はじめましてボブです。』」(北 直人さんの作品)という卒業制作が置かれていますが、今回の作品はそのボブが物思いにふけっている作品『もう一度あの夢がみたいな』です。“あの夢”ってどんな夢なんでしょう?
大学院 工芸展
次の作品は白く薄い布で区切られた空間に展示された『poko poko』(木林由佳さんの作品)。作品名の音感のとおり、床面からどんどん生まれ出てくるような形です。水中での浮力のような上向きの力やカタチが成長していく時間が感じられます。
大学院 工芸展
染織の作品『調和』(李 美淑さんの作品)は綿とシルクをつかった大きな作品です。真ん中に刳り貫かれた四角い部分が全体の重量感を切り替えて軽やかにしています。色や質感だけでなく形にもこだわった染織作品でした。
大学院 工芸展
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月下旬に行われていたテキサヘドロンでも展示されていた染織作品『顔』『目のない顔』(藤岡由衣さんの作品)は、黒が美しい作品です。卒業制作『混在する自我』から一貫した作風です。コントラストの妙は藤岡流。力を感じます。そして作品の中に表現されているものを見つける面白さがあります。
大学院 工芸展
会場のなかで一際華やかなのが『笑うおしり』(杉本ひとみさんの作品)です。卒業制作『欲張りなお尻』からテーマを発展させた作品です。
大学院 工芸展
お尻のフォルムにこだわりながらも、身の回りの様々な形を取り入れて表現されています。制作された作品の数も多く、展示方法も変化を付けています。クルクルと回って拡がったスカートの下からお尻が見える(お尻を見せる)ような展示は、とても愛らしい。
大学院 工芸展
凛とした存在感があるのが『building』(金城有華さんの作品)です。爪先立ちする足に施された螺旋階段。四角くあけられた孔は窓のよう。
大学院 工芸展
大学から見えるPLの塔は、忍者がドロンとやるときの手の形のようなものがイメージされていると聞いたことがありますが、この作品も建築的にありですね。意味深いです。
大学院 工芸展
人体をテーマにした陶芸作品は廣江美響さんの作品です。2つの作品のどちらもが“女性”を強くイメージさせる作品で「no title」となっています。作品名による先入観を排除しています。花が施された位置や細かな襞の形状は女性器を連想させる作品です。

そして最後は鈴木翔さんと倉田篤志さんが共同制作された作品『百景園』です。コケを施したいかにも日本的な印象とともにユーモアを兼ね備えた作品です。シンプルで柔らかな曲線はプロダクトの作品として成立しそうです。
大学院 工芸展
もう片方の作品は水盤を使った作品です。水面から離陸できる飛行機のような機械の大きなプロペラが回転しその振動が水盤に複雑な形の波紋を作り出します。機械の水上の動きが安定してくると、波紋は定常波となり水面が美しい表情になります。
アストロ温泉 百景園
と、観てきた「大学院 工芸展」。毎年、工芸学科の卒業制作も見応えがありますが、大学院生の作品展はそれぞれの学生さんを作家としてみて、作品の変遷を見届けるというか、その歴史を知るという点で面白いですね。

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