現在、芸術情報センターでは、大阪芸術大学所蔵品展を開催しています。
1階 展示ホールと地下展示ケースでは、「大阪芸大”はたち”の頃-元美術学科長 松井正と泉茂」を開催中。
1964年に浪速芸術大学の名前で開学した大阪芸術大学ですが、創立20年…すなわち”はたち”を迎える頃の1980年代に美術学科長を務めていたのが、松井正先生と泉茂先生です。
松井先生は、大阪美術専門学校の前身である大阪美術学校の開学にも参画。
大阪芸術大学開学当初から美術学科を支え、1968年から1988年までの美術学科長でいらっしゃいました。
そして泉先生は、1970年に美術学科教授に就任され、松井先生の後を引き継いで1992年まで学科長を務められました。
会場には、そんなお2人の作品が展示されています!
ほとんどが近年に寄贈されたもので、本学の所蔵品として展示したのは初めての作品ばかりとのこと。
松井先生は、世界各地の人々や風景を独特な筆遣いで表現。
100年以上の歴史を持つ美術家団体「二科会」の理事も務められていたそうです!
松井先生が実際に使われていた筆やパレット、また作品の下絵も展示されていました。
少しずつ構成を練り直し、何度も描き直していることが伺えます。
泉先生の作品は、制作年代により表情が違いますが、これは意識的に作風を変化させていたのだそうです。
一つのスタイルに安住せず、描き方を試行錯誤して突き詰める姿勢が、作品を追うことで感じ取れます。
その中でも特に注目したいのが、こちらのインスタレーション作品!
インスタレーションとは、オブジェなどを置いて作家の意向に沿った空間を構成し、場所や空間全体を作品として体験させる芸術です。
1988年11月から翌年10月にかけて、近鉄百貨店本店(現在のあべのハルカス)の2階北側にあった「プロムナード・ギャラリー(ぶどうの散歩道)」にて、本学主催の展覧会が12回開催されたのですが、その第1回の展示で、泉先生の作品としては非常に珍しいインスタレーションとして発表されたのがこの作品。
美術学科客員教授の中川佳宣先生の協力もあり、今回再構成することができました。
また、泉先生が表紙を手がけられていた、文芸学科発行の冊子「河南文學」も全巻展示。
こちらは、文芸学科の阪井敏夫先生が出品されたとのこと。
このように、今回の所蔵品展には、当時のお2人を知る現教授陣も多数協力しています。
松井先生も泉先生も、人望に厚い方だったんですね。
さらに回廊ギャラリーでは、「早川良雄のイラストレーション」を同時開催。
松井先生と同時期に、デザイン学科で教鞭をとられていた早川良雄先生は、毎日放送や関西テレビなど多くの在阪企業のロゴデザイン、百貨店の広告ポスターなどを手がけた他、装丁や空間デザインまで幅広く活躍された、日本を代表するデザイナーです。
その一方、クライアントのない個人の作品として、「形状」シリーズと名づけられた作品を定期的に発表されていました。
今回展示しているのは、1975年から2000年にかけて制作された「形状」シリーズを、2004年に複製プリントしたものです!
芸術情報センターに掛かる大型タピストリーも手がけられた早川先生の作品を、ぜひお楽しみください♪
展示は今月29日(土)まで。
投稿:島田(学生課)