現在、日本には「白杖」を使われている方が、約30万人いらっしゃるそうです。
(白杖…視覚障害者の方が、歩行の際に前方の路面を触擦して使用する杖)
この白杖ですが、道路交通法でその使用が定められていることを、みなさんはご存知でしたか?
そして、この法律で白杖と同じ位置づけとして記されているのが、「盲導犬」です。
第14条には、「目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ。)は、道路を通行するときは、政令で定めるつえを携え、又は政令で定める盲導犬を連れていなければならない。」と書かれています。
現在、日本には950頭の盲導犬が活躍しているそうです!
10月26日(金)、人権教育特別講演会「盲導犬の仕事って、どんなこと?」が開かれました。
講師は、日本ライトハウス盲導犬訓練所指導員の赤川芳子さん。
そして、盲導犬のジョア(ラブラドールレトリバーとゴールデンレトリバーのミックスだそうです)も来てくれました。
日本ライトハウスは、視覚障害者の行く手を照らす「陸の灯台」として、1922年(大正11年)に点字図書の製作を開始したことに始まります。
1970年に盲導犬育成事業を開始し、1973年には第1号の盲導犬 リンダが誕生しました。
講演会では、まず「目が見えないってどういう状態?」という話から始まりました。
目が見えないのは、必ずしも「真っ暗」という訳ではありません。
「真っ白」「ぼやける」「眩しい」「一部が見えない」「一部しか見えない」など、様々な症状があるのです。
中にはスマートフォンを操作できるという方もいらっしゃいます。
白杖を持っているからと言って何も見えていないという訳ではないし、何か見えているからと言って全てが見えている訳ではないということを、理解してほしいと赤川さんは話されました。
特殊なメガネをかけての体験
そして後半は、いよいよジョアくんの出番です。
盲導犬は、角や段差、障害物があると止まって教えてくれ、安全に歩く手伝いをしてくれます。
しかし、どちらに曲がれば良いのかまではわかりませんので、人間が指示しなければいけません。
1つ目の交差点はそのまま直進、2つ目が右…という風に、盲導犬が止まってくれた場所を頭の中の地図と照らし合わせながら、共に歩いていくのだそうです。
では、信号はどうやって認識するのか、みなさんはご存知でしょうか。
犬は人間ほど色が識別できませんので、私も今まで不思議に思っていたのですが…
その真相は、犬ではなく人が音を聞き分けているとのこと!
車のエンジン音などから、今どちらの信号が青なのかを知り、犬に指示するそうです。
すごいですね!
盲導犬に向いているのはどんな子なのか、というお話もされました。
意外だったのは、寝るのが好きな子は盲導犬向きだということ。
主人が他のことをしている間は寝ていてくれるので、お互いにストレスにならないのだとか。
また、視覚障害者の生活を支える存在として、白杖と盲導犬以外にも、もう1つ方法があります。
それは、私たちが一緒に歩いて導く「手引き」という方法です。
「白杖を持って困っている人を見かけたら、声をかけてほしい。
中には、断る方もいらっしゃると思いますが、次に別の人を見かけたらまた声をかけてみてください。
特に駅は、目の見えない人にとってとても怖い場所です。
今日の話したことで、”手引き”のことだけでも頭に入れてくれたら嬉しいです」
大変勉強になった90分でした。
赤川さん、ありがとうございました!
投稿:島田(学生課)