2011年3月29日

山本修司個展 ギャラリー白

   

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!

 山本修司さん(美術学科82卒)の個展が3月7日から12日までギャラリー白で行われました。
山本さんの絵画は、自然石の大きさを丁寧に区別し、画面下から上に向かい徐々に小さくし貼り付けてその場所に遠近感を作っています。また、画面の中央に円形の部分がありそこには色が異なる自然石を配置してあります。自然石に秩序を与え、幾何学形態の矩形と円の構成で制作されているということです。

石の選別だけでも大変そうです・・・  なんとなくの違和感は、自然石が貼りつけてあることにあるのですね!  グラデーションがとてもきれいです!

どんな素材もアートの材料です!!
 幾何学形態の絵画は20世紀芸術に見られますが、美術の歴史を辿れば、古代ギリシャの絵画彫刻から始まります。そのイメージ構成には幾何学の概念が下地に置かれています。それは20世紀芸術の抽象絵画そして現代アートと繋がってきます。
自然石を整理し直していることについて、自然物と人間の関係は本来無関係であり人間の秩序を自然物にあたえそれを組み替えることにより、自然物は人間の世界の入り作品に向かうと私は考えています。それは、アンディー・ゴールズワージーの作品を見ればよく理解出来ると思います。この2つの要素が山本さんの作品に内包されている重要な概念であるように思えます。

 山本さんの作品を鑑賞していると、遠い時代自然の中から幾何学の知を生み出したときの感触があるかもしれません。それと、素材の自然石を絵画に貼り付けてあることで観者の常識が揺さぶられ、不思議と重力の違和感に襲われます。夜空の星をみていると、巨大な質量でありながら、いとも軽々したイメージである感覚が似ているかもしれません。

ギャラリー白  HYPERLINK http://galleryhaku.com/
報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
 


2011年3月24日

版画にこだわる~番画廊 宮本承司

      

 みなさんこんにちは、ゲイブルです。今日は投稿ブログを紹介します! 

 2月21日から26日まで木版画のグループ展が行われました。一般の人たちにも親しみやすい木版画ですが、出品者のどの作品も魅力的な現代のテーマとともに、高度な技術によって制作されていました。その中で宮本承司さんの作品は異彩を放っていました。宮本さんの作品は画面中央にアボカドを真ん中で切り双方の断面を描いています。

 握りすしや上にわさびを乗せたサイコロステーキなど食べ物をテーマにし制作されており、その背景は具体的イメージは描かれておらずほぼ無彩色や一定の色彩に統一されていました。最初の印象は「なんてユーモラスな版画であろうか」と惹きつけられました。
 すしの作品は、一見したら食べ物のすしだと分かりますが、シャリの部分は、抽象化された曲線で閉じられその内側に一部透過するような白色によりそれを表現しています。上に乗っているすしネタも一部半透明で裸眼では見えるはずのないシャリとそのまた向こう側まで透過して見せています。それにより不思議な浮遊感と平坦な存在感が感じ取れます。  
 サイコロステーキ作品は、木版特有のやさしい色彩感覚に加え奇妙に膨らんだお肉の側面の描写が観者の共通感覚に訴えかけてくるようで、宮本さんは対象を如何に細かく分析しているかが理解できます

どうしてアボガドなんでしょうか・・・?  お腹がなりそうです・・・  あれ??マグロが透けて・・・??
 

背景の有無で、意味合いが変わってくるんですね!

 この作品で気になるのは、背景を描かないということにあります。本来背景は、イメージの社会的位置関係の説明という大きな役割があります。たとえば、おすしの作品の背景に、お皿に乗りくるくる回る様子が描かれる場合とカウンター越しにすし職人とでは社会的意味が異なってきます。これは絵画の歴史では、エドワール・マネ「笛を吹く少年」の作品が、背景を描かなかったことで、センセーショナルな事になりました。

 

宮本承司さん

 今回の作品はユーモラスでほほえましい感じがするのは、背景をなくした食べ物イメージが、現代アートの文脈の見え方により、キャラクター的にも見えてしまうことにあるのではないかと思いましたそれにしても宮本さんのセンスと技術力には感心させられました。

 
報告 加藤隆明 芸術計画学科講師


2011年3月16日

名取洋之助写真賞激励賞 奨励賞受賞 中塩正樹

  

みなさんこんにちは、ゲイブルです!!今日は投稿ブログを紹介します!! 
中塩正樹さん(写真学科08卒) 名取洋之助写真賞展が2月25日から3月3日まで富士フイルムフォトサロン大阪で行なわれました。そのコンテストで中塩正樹さん(写真学科08卒)が激励賞を受賞されました。
 中塩さんのドキュメンタリー写真は、地元のお祭り司祭事を行う様子を、被写体に密着し迫力のある作品となっていました。  
 作品は、神事ごとにかかわる祭りの様子が参加する人々の表情とともに撮影されています。ドキュメンタリー写真では、登場する人物の表情により観者は感情移入し対象物や写真家と共有することができるのですが、神事ごとの祭りは本来、神々や超越した存在者あるいは自然などの精神交流であり、日常の私達の喜怒哀楽の表情では捉えきれないものがあると中塩さんの作品をみて感じる事が出来ました。
 
 このコンテストは若手が中心のコンテストですので学生の皆様も公募してみてはいかがでしょうか。
 
社団法人日本写真家協会 http://www.jps.gr.jp/index.html
 
報告 加藤隆明 芸術計画学科講師

2011年3月15日

富山県砺波市美術館 「至高の精神」展

     

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 以前このブログに投稿されました杉本積さん(芸術計画卒/院修士終了)の企画を見学にいきました。杉本さんの企画は地元のアーティストを紹介する「至高の精神」で今回は12回目を迎えます。「視覚光学」展の会場は2部屋に分かれており、会場内は暗転状態でした。

 1つの会場には、1辺60センチ程度高さ2メートルを越える四角柱が2体あり、それが異なる回転速度を持って静かに動いていました。2体の鏡の四角柱とも床から150センチぐらいの所から光が投影されており、その光が直接壁に映されたり互いの鏡に反射されたりし、意表をつく光の軌道を作っていました。

暗転状態でした・・・

真っ暗で何も見えません・・・

 もう1つの部屋では鏡でできたオブジェがあり、そこに会場に入る時手渡された懐中電灯を、鑑賞者が自らその鏡のオブジェに当て光の軌跡を見る作品です。

キラキラしていてとっても幻想的ですね!ミラーボールみたい!!
 

 

卒業生の方が活躍しているのをみると、嬉しいですね!
 この会場で大阪芸術大学卒業生と出会えました。

 写真左 たがゆうこ(芸術計画卒・アーティスト)中央 杉本積(美術館学芸員) 写真右 広田郁世(美術学科専攻科卒日本画)
たがゆうこさんは現代アートで日本のみならずヨーロッパでも作品を発表しています。
広田郁世さんは前回の「至高の精神」11の出品作家でこのシリーズの今まで最高の来場者を集めた日本画のアーティストです。
 
報告 加藤隆明 芸術計画学科講師
 
 

2011年3月14日

金津創作の森「酒の器」展 アートプロダクトユニットAN銀賞受賞

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なんだか一杯やりたくなっちゃいますね!!金津創作の森「酒の器」展 
アートプロダクトユニットAN銀賞受賞


 この展覧会は「おいしいシーンをカタチにする」をテーマに1月22日から3月6日までの期間、福井県金津創作の森で行われました。会場では入賞7点入選171点が展示され、どの作品(器)も技術力と表現力の高さが伺われました。
 今回の展覧会では、美術学科と工芸学科の教員によるアートプロダクトユニットANさんの作品「竹」‐直‐が銀賞に選ばれました。

 
 
 
 
 展示されている作品の多くは、陶器、ガラスなどの素材により制作されていますが、ANさんの作品は自然の竹を利用し、素材本来の姿をそのまま生かしたデザインになっていました。すくっとし凛とした印象を受けるこの器には、日本の美意識の一つである侘びの精神が感じ取られ簡素でできるだけ人の手を入れないような器に見えました。そのような特性のためか会場では、鑑者の目を留めさせられる器となっていました。

「和」の雰囲気が漂っています!  侘び寂の精神が感じられます!  お家にこんなオシャレな器があったら・・・

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師