ギャラリーH.O.T
2月20日から3月3日までグループ展が行なわれ,井上真希さん(前出)川上真緒さん(短期大学部版画科06卒)矢嶋綾子さん(美術学科02卒)が参加されておられました。
川上さんの版画は、私たちが日ごろ経験している風景やイメージが、ユーモラスに作り出されています。
作品の中央から人の腕を思わすようなイメージが伸び、灰味がかった四つの弧を掴んでいるようにも,あるいは押しとどめるようにも見えます。
その画面上部には、ビルとそこから溢れる光、工場の煙突、月や星などよく知られたモチーフが描かれています。
イメージの輪郭部分は白抜きされ、ゆらゆらと揺れるような、そしてたどたどしい表情で作られています。
そのため画面からは柔らかな印象を受け、観者の気持ちをあたたかくしてくれます。
画面の多くをしめるレモンイエロー色が印象的ですが、その形は人間や動物の目を連想することもできます。
一つのイメージが多様に見えることにより、観者一人一人に、それぞれの物語世界を抱かせることができます。
矢嶋さんの作品は、アクリル絵具で重厚に描かれた絵画です。また、キャンバス側面にもイメージが描かれています。
表面は力強い筆致で塗られており、その荒々しい筆致は、背後に描かれたイメージを消すようにも塗られています。
矢島さんの作品は、アンフォルメル絵画の表情を持ちつつ、直線,円などの幾何学的イメージは理性的というより、感情的に生命的に構成されているため、触覚性の強い物質的な絵画となっています。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室