本日14号館ホールにて財津和夫先生の講義が行われました。「作曲家活動のエピソードを語る」と題された今日の講義にはポピュラー音楽コースの学生の以外にも多くの学科から教員までもが聴講に来ていました。
講義はあまりアカデミックにやってしまうと皆さん眠たくなるでしょ、ということから難しい内容は避け、音楽を聴きながらエピソードをお話いただくという構成でした。
お子様がお生まれになったときに「僕が作る歌なんてこの子に比べたらたいしたものではない、もう何も作らなくてもいいや」「クリエイティビティってなんだろう」と考えたときがあったことなど、先生のプライベートな部分も交えてたくさんのお話を聴かせていただきました。
大学生時代に作ったバンド「ザ・フォーシンガーズ」の話。第3回ヤマハライトミュージックコンテストの九州代表として意気揚々と上京したそうです。もちろんグランプリ狙いで乗り込んだそうなのですが、そこには「オフコース」や「赤い鳥」も出場していたとのこと。すっごい歌のウマイ彼らの練習風景を目の当たりにして、メンバーの3人に「(ヤバイ、このまま行くと)俺たち3位だ」と報告したそうです。でも結局結果は6位。そこだけ聞くと「まあまあすごい」と思いますが決勝には全部で6グループしか出ていなかったとのこと。それもやっぱりスゴイことです。
Tulipとしてデビューして「心の旅」のヒットが出るまでの話、「あのヒットがあったから今こうして講義する立場にいます」ともおっしゃっていました。
その後、ソロ活動になってから様々なアーティストへ曲を提供するお仕事を精力的にすすめて行かれるのですが断ったお仕事はないそうです。(というのは事実と少し異なり、演歌は2、3断ったことがあると訂正されていました。)
先生の作曲のお仕事は(1)まずアーティストの顔を思い浮かべる→(2)そのアーティストが今まで歌ってきた曲を思い浮かべる→(3)ちょっと変化球を加えて曲作りに入る、のだそうです。 その後合計8曲の貴重なデモ音源を聞かせていただきました。松田聖子さんの「夏の扉」「白いパラソル」「野ばらのエチュード」のまだ歌詞が入っていないデモのお話しでは作詞家:松本隆さんとのエピソードなど、笑いを交えながら説明いただきました。「RAG FAIR」やコーラスグループ「サーカス」、韓国のアーティスト「Position」に提供したデモ音源、最後にはできたてホヤホヤの平原綾香さんに提供する曲の音源も聞かせていただきました。まだ歌詞がついていない状態なので、実際に発売されるときにはどんな風に仕上がっているのか楽しみです。
講義の終盤には、名曲「青春の影」を含め合計5曲をライブで披露していただきました。
講義の中で印象に残った言葉は、 「気持ちがほぐれたり、心の奥のほうがクリーンになったりするのが芸術だ。これは人生で一番すばらしいことだ。皆さんは芸術大学にいますのであまりに身近にありすぎて意識しないかもしれない。そうならないように『自分にとっての芸術って何?』を意識して学んでいってほしい。それを伝えていくことは皆さんにとって死ぬまで続く仕事です。使命です。それぞれの芸術観をもって社会に対して表現していってほしい。」
講義を終え会場を出られる前、マイクのところに戻ってきて、「みなさんがいっぱい勉強して幸せになれることを願っています!」と言って拍手に包まれながら会場を後にされました。 とてもさわやかなメッセージでした。
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