芸術計画学科の卒業生を中心としたグループ展が開催されたので紹介します。
2012年6月3日(日)から6月17日(日)まで、大阪市阿倍野区の「ギャラリー流流」にて「漂」展が開催されました。この展覧会は「漂」という語/文字から、各自が自由に解釈したり連想した表現(作品)を持ち寄るもので、出品者の考え方や個性が伺える内容になっています。参加者は上瀬留衣(芸術計画学科卒)、小西悠加(美術学科卒)、高木詩真子(同)、高野虫(芸術計画学科卒)、西村卓也(同)、ふじもとひとみ(文芸学科卒)、若狭倫一(芸術計画学科卒)、大橋勝(映像学科教員)の8名です。
上瀬留衣の作品『提案』は、ギャラリーの天井から生えたように垂れ下がったウェディングドレスと海面のような写真のコラージュの組み合わせです。まるで投身自殺を行った花嫁が今まさに水中に突き刺さる瞬間を、天地逆さまにしたようでもあります。これは上瀬が先月に「GALLERY wks.」で展示したインスタレーション作品『提案』(2012年5月21日の記事)の一部を抜き出して再構成したもので、抜け殻である身体=自分自身を捧げる(投げうつ)行為でもあります。
小西悠加は絵画作品を出品しています。単純な輪郭線と色面でマンションやアパートのようなビル群が描かれています。アンテナや高圧電線などに見えるものもあり、都市の風景であることは確かですが、遠近法がくるっていて幾何学的な抽象画にも見えてきます。カラフルな彩色が施されていますが、岩絵の具が用いられているせいか、不思議に落ち着いた印象になっています。
高木詩真子の作品『放浪』はパネルの上にコラージュされた写真です。写真の詳細はわかりませんが、どこか異国の地を思わせる街角のベンチに女性が腰掛けており、カメラのほうにうつろな視線を向けています。ラフな服装と大きめのバッグから、この女性が旅行者であることが想像されます。傾いたスナップ的な構図と、色あせて退色したような写真の色合いが寄辺ないイメージを醸し出しています。
高野虫はドローイング&ペインティングされた平面と半立体の組み合わせです。微細で奇妙、グロテスクと繊細さを往復する不思議で精緻なイメージが描かれています。破損した鉢植えの底敷にはフジツボのようなものが付着しています。いずれも打ち捨てられたものの寂しげな様子と、図太い生命力のようなものを感じさせる作品です。
ふじもとひとみの作品は縦長フォーマットの写真4点組です。地面や壁などのいずれも平面的な対象の表面を、サイズや天地のわからない状態で切り取っています。被写体の平面性と写真の平面性が呼応して、表面そのものがそこに存在しているかのような奇妙なイメージの写真です。
若狭倫一はステンシルを用い、下塗りをしたキャンバスに図像を吹き付けで描いています。この手法はキャンパスにシルクスクリーン・プリントで既存のイメージをコンバインしたロバート・ラウシェンバーグ(ネオダダ)やアンディ・ウォーホルのポップアートを想起させます。また若狭は一貫して、モチーフとして映画『スターウォーズ』シリーズやアメリカンコミックのキャラクターを用いており、そこにはサブカルチャー的な趣味が存在しています。さらにグラフィティ的身振りが連想させる、ストリートカルチャーへの親和も含まれているようです。今回はアメリカンコミックのスーパーヒロイン「ワンダーウーマン」を扱っています。
上記以外にも西村卓也(ギャラリー運営および展覧会企画者)の映像作品と大橋勝の平面作品も出品されました。
展覧会名:「漂」展
会場:ギャラリー流流
会期:2012年6月3日〜6月17日 午前11時から午後7時まで 水曜日休み
大阪市阿倍野区丸山通1-2-2?
電話:06-6656-8184?
地下鉄谷町線あべの駅より徒歩8分?地下鉄御堂筋線/JR天王寺駅、近鉄あべの橋駅より徒歩13分
ギャラリーHP http://ru-pe.com
アクセス http://ru-pe.com/www/pages/g-ac.htm