猪原秀彦(F 84)尾柳佳枝(D95)長尾圭(F88)3人のグループ展である。平面と立体が錯綜し、美術やデザイン世界の横断を協働で行っている。
展覧会は各個人の作品と3人の協働の作品が展示してある。このランプは3人で制作している。どこかバランスが悪くたどたどしい、協働作業の本質を見ているようである。
デザイン出身の尾柳氏は版画作品として制作されたイメージを布団のカバーデザインにも転写する。傍らには猪原氏制作のアンティークなライトがある。もちろん双方とも現実に使用することは可能だが、道具として使用するにはひと手間多いように思われる。その手数が面白さかもしれない。
猪原氏の作品は3人の話し合いから生まれてきた形である。現実にバーカウンターとしての機能がありオープニングパーティに使用されたという。作品を見ると、すでに使用されてきた道具の断片が再構成されている。道具には物語があり、各物語が分断し接着している。使用されている道具であったものは身体性が強くまたモノの気配が現れていた。
「個人と共同」(共同は当時の表記)のテーマは30年以上前から提示されている。現在でも重要な研究制作のテーマであり個人制作である3人が、今回は互いに干渉しあう作品を制作している。人間は関係の中に生きている。制作においてもそれは当然のことである。この時の3人が互いに干渉しあい、ここで出合ったものが幾つかの作品として具体化していた。
報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室