2024年11月6日

「夢の到来」ピアノが寄贈されました

演奏学科ピアノコースの仲道祐子です。
この度、ロームミュージックファンデーション様よりピアノをご寄贈いただけることとなりました。
大学の3号館ホールで活躍するピアノを選定するべく、天王洲アイルにあるスタインウェイジャパン本社へ、同じくピアノコースの今川裕代先生と共に行って参りました。


建物内部にはスタインウェイのロゴと鏡、近くに寄ってみますと、縦のストライプ模様を作っているのは、ピアノの弦をイメージしたスチール弦で、サイドの壁面にはタイルが嵌め込まれています。これらのタイル一枚一枚にはスタインウェイ社が今まで取得したパテントが一つずつ記されています。

選定室に入りますと、スタインウェイ社の創業者のヘンリー・スタインウェイ、ピアニストであり初代ポーランド首相のパデレフスキ、ピアニストのアルトゥール・ルービンシュタインなど、錚々たる方々に周りを囲まれながらピアノと向き合う事となりました。

選定は、同じ機種のピアノを横に2台並べていただきその両方を弾き比べ、どちらのピアノの個性がより大阪芸術大学の3号館ホールと相性が良いのか、それを見極めていく大事な作業となります。意外と、ピアノは一台ずつそれぞれの個性が際立っています。両方の楽器を弾きながら、演奏者の好みもあります、部屋の中のどの位置にピアノが置いてあるかで音から受ける印象も変わってきます、そうした事を全て考慮しながら楽器の持っている表現力を探っていきます。念には念をいれ、途中でピアノの位置を入れ替えて貰って試弾します。今川先生と2人でそれぞれのピアノから受けた印象を話し合いながら、「これこそが欲しているピアノ」という一台を選ぶ作業となりました。

 こうして出会った運命の一台です。鍵盤の右端に、選定済みの札をつけてもらいます。

 

選定の日から数週間が経過した10月18日。
大阪芸術大学に白い2トントラックがやって来ました。見覚えのある竪琴の形のロゴが入った楽器運搬のトラックです。トラックの扉にはピアノのマークが入っています。

後ろに回り込んでみますと、中にはピアノが3台も入っていました。ちなみに、このトラックには最大、4台をも積み込むことが可能だそうです。スルスルと楽器が降ろされてきます。足を外してボディを横にして、ブランケットや段ボールで保護された状態で台車の上に乗せられ、あっという間に建物の中に運びこまれて行きました。あまりにも運搬速度が早かったため、追っていくのがやっと、途中の撮影が間に合わなかった程です。

3号館ホールのステージの上に運び込まれた楽器は少しずつ梱包を解いていかれます。
楽器は横に立てたまま、まずは足が2本取り付けられ、その状態から、いよいよ楽器をおこしていきます。足2本が地面に接する箇所には、段ポールを置き、床に傷がつかないよう細やかな心遣いのもとに大胆な作業が進められていきます。

なかなか見ることができない、2本足で支えられているピアノです。人力で持ち上げた後に、ピアノの重さを支えるべく馬がかまされます。
最後の一本の足を取り付けた後は、ペダルが設置され完成しました。

ロームミュージックファンデーションの竹内様に今回の寄贈のプレートを貼り付けていただいた後に、ピアノのアクションを楽器の中から取り出し、ハンマーを固定してあったバーを調律師さんに外していただきます。
これでピアノの搬入完了!
ようやく楽器が演奏できる状態となります。

 
東京から大阪へと・・・・いえ、ドイツから日本にやってきて、更に大阪芸術大学までの長い旅路を辿ってきた大事な、愛しいピアノです。
長さ274cm、幅157cm、重量約500kg、弦の張力の合計約20t
この巨大な楽器が生み出す繊細な色彩、ダイナミックな躍動感、艶やかな音色、全てに魅了されます。ロームミュージックファンデーション様よりご寄贈いただいた楽器の学内ホールへの搬入、これは夢の到来です。学生たちと共に、この楽器を使って夢を紡いで参ります。
ピアノを寄贈くださいましたロームミュージックファンデーション様に感謝の気持ちを抱き、その理念に共感し、音楽文化の普及と発展に貢献できますよう努力いたします。
 

 

(報告者 演奏学科 仲道祐子先生)