2013年5月21日

久家多佳恵展 (短大デザイン美術専攻08修了) Oギャラリーeyes

3月25日から30日にかけて、久家多佳恵さん (短大デザイン美術専攻08修了)の展覧会が、 Oギャラリーeyesで行われました。

会場には絵画、版画等の作品が展示されていたが、強烈な印象で私の目を引き付けたのは、長さ2mを超えるだろう浅黒い絵画である。この絵画は鑑者を画面上に映し出す鏡のような絵画である。

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順に作品を見る。画面中央を横に横切る線、トーンが異なる面のぶつかるところがあたかも水平線のように伸びる。上部は赤黒さが下部より暗くなにか茫洋とした風景場所を感じさす。画面上に筆痕により靄のように画面を作っている。その靄の隙間から同色で描かれた丸のドットが描かれていることに気が付く。一般的なドットによる表現は、平面が均質であることの視覚効果でもある。しかしこの画面では均等な並びながら、一つ一つは陰影の違いや形の不明瞭さなど、均質な画面を構成できるようなものではない。その効果から、画面には緩やかな曲面を作り出し揺らぎ始める。

 

0518_3.jpg描かれたイメージとともにこの絵画は鏡にような表面を持っている。鑑者が作品をみると同時にその中に鈍く映しだされるのだ。この水面のような表層とその下にあるイメージ、水の表面に映し出される奇妙な屈曲した空間が表れている。作品は正面の風景を取り込み描かれたイメージと同居し存在している。この絵画は鏡のようにある。なぜかベラスケスの「侍女たち」を思い出した。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室