もうすぐあのじめじめした季節がやってきますね。そうです、梅雨です。 髪がまとまらない、顔がべとべとする、カビが生える、なめくじがでる・・・ なんだか梅雨を思い浮かべるとマイナスなことしか浮かんできません。 プラスなこともいっぱいあると思うんですが…。いやはや。 みなさんは雨は好きですか? 嫌いですか?
今、体育館ギャラリーでは美術サークル「アート・ラボ」の展覧会が行われています。
題して、「雨の降る展覧会」。先取りしてますね?。一歩足を踏み入れるともうそこは「雨」の世界です。平面、立体、空間、音。さまざまな方法でそれぞれが思う「雨」を表現しています。
最初の部屋は平面の作品が多くサラッとした印象を受けました。天井に吊るされた傘がなんとも良い感じです。真ん中の部屋には参加型の展示があり、みんな思い思いに絵や言葉で傘を彩っていました。ひとつずつ読んだり、見たりしていると真剣に雨のことについて描いている人もいれば全然関係ないことを描いている人もいたり…。なかなか面白いです。
三番目の部屋は平面と立体の作品が半々くらいで最初の部屋とはまた違った空間になっています。ここでは人形やピンクのカエルといった立体の作品が独特な存在感を放っています。
アート・ラボの部長、河村啓生さんに聞きました。
Q:なぜ「雨」をテーマにしようと思ったのですか? A:もともと「水」っていう存在に惹かれていたのと、欧米から見ると少し特殊らしい「日本人の自然感覚」を生かした(表現できる)企画をやってみたいという思いがありました。それで去年の同時期にアート・ラボとデッサン部の合同展として「つがい ?水とお湯?」をやったのですが、そのときに「雨」を疑似体験する方法として吊るした傘の上から「傘にあたる雨音」を流す事を思い付いたんです。そのアイデアを作品か展覧会という形で実現させてみたい、というのがはじまりでした。
Q:河村さんにとって「雨」とは何ですか? A:僕は今回出品している2作品でそれぞれ全く別の「雨」を提示しています。どのような「雨」かは、実際に観て考えて(感じて)ほしいので言いませんが、どちらも僕にとっては「雨」であると共に、「雨」のひとつの面でしかないと思っています。
Q:「雨の降る展覧会」の一番の見所はどこですか? A:男子用トイレですら美術館に置けば美術品に成り得るように、どんな作品でも「雨の空間」に置かれることで「雨の作品」になってしまうことが有り得ます。実際、「雨の空間演出があるために、あえて作品に雨のモチーフを入れなかった」という作品も出品されています。雨音を含めた空間演出と部員の作品たちが、どのような響き、あるいは不協和音を奏でているか。個を個として見るだけではなくて、そういった演出と作品の「相乗効果」や「擦れ合い」にも目を向けてほしいです。
と、とても丁寧に答えてくれました。私たちにとって「雨」とは何なのか…ということをとても深い所まで考えている方です。 河村さんが答えてくれたことを参考にしながら作品を見ていただけたらまた新たな発見や作品との関わり方ができるかもしれませんね。私が一番印象に残っているのは会場全体に流れている音の作品でした(写真に表せないのが悔しい!)。雨の音が心地よく、会場を優しく包み込んでいるようでした。
ちょうど制作者の河合さんがいらっしゃったので少しだけインタビューをさせていただきました。 制作する上で苦労したことは何かを聞いてみたところ、「展示している作品やそれを鑑賞するお客さんのジャマにならないように、目立たないようにすることが難しかった」とのことでした。
音ひとつで会場の雰囲気も作品の見方もずいぶん違うものになるようです。ちなみに河合さんに雨は好きか嫌いかを聞いたところ、「雨は嫌い」との答えが…。しかしこの展覧会に関わり、雨の音の制作をしているうちに「嫌いではなくなった」とのことでした。嬉しい限りですね。 私も「雨の降る展覧会」に行ってみてから雨に対する考えがちょっとだけ変わったような気がします。ちょっとだけ雨の季節が楽しみになりました。
●雨の降る展覧会 5月28日(水)→6月2日(月) (※6月1日はお休みです) 10:00→19:00(最終日は15:00まで。) 体育館ギャラリーにて開催されています。開催期間が残り少ないのでお急ぎを! 雨の好きな人もそうでない人もどうぞ足を運んでみてはいかがでしょうか?
投稿者: とも (芸術計画学科・2年)
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