5月14日(水)からスタートしている展覧会「A.P.」にいってきました。実はこの展覧会先月からとっても楽しみにしていました。美術学科版画コースの3年生4人の展覧会です。 告知のDMで知ったのですが、この4人、版画四版種のそれぞれ違う専攻の3年生なのです。4人それぞれがこだわりを持って制作した作品ばかり。広いスペースでの展示ではありませんが、落ち着いた音楽が流れる非常に雰囲気のいい展覧会場です。展覧会の名前「A.P.」?この言葉の説明も会場のパネルがありました。ブログの最後で紹介します。
在廊されていた4人それぞれの方に少しずつお話を伺いました。それぞれの方に「これからの野望」ということでコメントしてもらいました。
●ミヤジマ ジュンコさん(リトグラフ専攻) 社会人として広告会社で働いた経験もお持ちのミヤジマさん。陶芸家に弟子入りされ、陶芸作家としての活動もされています。会場には絵やイラストの他、陶芸作品も展示されていて、非常に多彩です。
2006年から本格的にイラストの制作を始められたそうで、イラストレーターズファイル2007年度版にも紹介されています。2007年12月にはexciteブログ「エキサイト賞」を受賞され、現在、ミヤジマさんのイラスト「日曜のくま」は公式ブログスキンとして採用。活躍中です。
これまでの様々な経験を辿ってここ(今)に行き着いた感じで、今とても充実した学生生活を送っているそうです。そんなミヤジマさんの野望・・・「絵本を出版すること」。私、絶対買います。個人的には「アルパカ」と「Cat」の絵本が見てみたいです。ミヤジマジュンコさんの作品はWebでも見ることができます。 http://www.gajifactory.com/
●宮本承司さん(木版画専攻) 4人の中で唯一の男性。実は木版画で作品をつくり始めたのはごく最近のことなのだそうです。展示されている作品はこれまでに制作されてきた水彩画の作品でした。会場にはスケッチブックに綴じられた「絵日記」も展示されていました。
見たところ「人」をテーマにして描かれている作品が多く、顔、更には目や口をアップにした作品が印象的です。
このことについて聞いてみると「なんだかドキッっとするでしょ」「よくドキッとするって言われるんですよ」。人のパーツの形にはそんな力があることをあらためて確認しました。そういわれてから再び宮本さんの作品の細部を見ていくと、ドキッとするぐらいリアルに描かれている唇が目に飛び込んできました。うわぁ、こういうことか・・・。宮本さんの野望・・・「まぁ、コツコツと」。んんん、なんとも控えめなコメント。宮本さんの作品もWeb上でも閲覧することができます。 http://www.h6.dion.ne.jp/~o0o/
●neriさん(銅版画専攻) neriさんの作品はARTSTREAM 2006ではじめて拝見しました。そのときARTSTREAM AWARDで「FM802賞」を受賞されました。赤いボールペンで描かれる細密画はきっと一度見たら忘れられなくなるでしょう。その頃はまだ写真学科に在籍されていたのですが、作品制作を続ける中で「写真ではなくやはり絵で・・・」そんな思いが強くなり一念発起で転学科されました。
作品の持ち味でもある繊細な線を表現するには銅版画がいいのではと専攻を選んだのだとか。現在でアメリカ・ポートランドで活動しているロックバンド「Trees」のCDジャケット用に作品を提供されたり、「tatsumaki」というフリーマガジンにも作品を連載発表されています。植物や動物などと絡む少女のスケール感とドラマチックな構図。Neriさんの独特の世界観で描かれてた作品は来場者をうならせます。赤ボールペンだけではなく、淡い色のインクで描かれた作品もとっても雰囲気があります。
そんなneriさんの野望・・・「フランス留学」。作品を見た人たちから「なんかフランスっぽい」といわれることが多く、自分でもそんな気がしているのだそうです。フランスでは国がアトリエを貸してくれるほど芸術活動に理解を示している、そんなお国柄もneriさんをフランスへ、フランスへと導くのだそうです。neriさんの作品もWebでみることができます。 http://www002.upp.so-net.ne.jp/d-bird/
●みや象さん(シルクスクリーン専攻) みや象さんは、以前他大学の「現代社会学部」というところに在籍されていたという経歴をお持ちで「どうしても美大へ」の思いが抑えきれず、彼女いわく「強行突破」で進学を決めたのだそうです。みや象さんのテーマは「象」。そういえばこの展覧会場への案内矢印も赤い「象」でした。
きっかけは高校の時に演奏していた「チューバ」という楽器なのだとか。「動物の謝肉祭より“象”」というソロを演奏したときにその低音に惚れて、そこから彼女のテーマは「象」になったそうです。力強くもやさしい表情の象、楽しく踊るような象シルエットの作品など、どの作品もみや象さんの象への愛情が伝わってきます。
最近話題になっている「夢をかなえるゾウ」のガネーシャとは全然違います。なんだか癒される、という点では共通する部分もあるのかもしれませんが・・・。みや象さんの野望・・・「『みや象』の知名度を上げること」。「みや象」と聞いて「あっ、聞いたことあるな!」ってなるように頑張って活動していきたいとおっしゃっていました。陰ながら応援しております。
会場の受付横には、版画の四版種の解説パネルが展示されていて、版画の技法を丁寧に解説しています。ところで「A.P.」。これは「Artist’s Proof」の略で「作家保存用」という意味なのだそうです。4人それぞれの「とっておき」の作品をみてもらおう、という思いでこの展覧会は企画されたました。皆さんも是非、生で彼らの「とっておき」を見に行ってください。
●「A.P.」展 2008年5月14日(水)→20日(火) 11:00→18:00【※18日〔日〕はお休みです】 総合体育館ギャラリーにて (ギャラリーの一番奥です。)
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