2020年8月27日

卒業生の活躍 開藤菜々子展覧会「いろはに」報告

毎日暑い日が続いていますね。
今夏は、新型コロナウイルス感染症の予防と熱中症対策で大変ですが、皆さん、健康管理には気を付けて、元気に有意義な夏休みをお過ごしください。
 

さて、今日は、北区西天満にあるアートギャラリー gekilin.( ゲキリン)で、7月6日~7月18日に開催された本学卒業生 開藤菜々子さんの展覧会「いろはに」をご紹介させていただきます。
開藤菜々子さんは、美術学科日本画コースを 2014年3月に卒業し、大学院 芸術研究科芸術制作専攻前期課程修士を 2016年3月に修了されました。その後、大学院の副手を3年間勤め、現在は、母校である港南造形高校で日本画を教えながら、作品制作に取り組んでおられます。

「私は石や廃墟など形が崩れゆくものを描いています。
銀箔を用いることで年月の経過により作品が酸化し変化することがまるで風化する儚さを感じます。その刹那的な美を表現するために箔を使用しています。
和紙を何層にも重ねることで平面的な表現の中に奥行を表現し さらにイメージをよりふくらませていきます。
膨らましたイメージを元に虚構と現実の狭間の美しさを表現しています。」

gekilin.は、元 Links gallery /Linlow ディレクター で、芸術計画学科卒業生(2004年3月卒業)飯野マサリさんが 2018 年に設立された現代アートギャラリーです。
飯野マサリさんは、後期から芸術計画学科の授業「くらしとアートプロデュース」で教鞭をとられます。

 

gekilin.の HP から展覧会案内文をご紹介させていただきます。
「日本画の素材をベースとし、銀箔・金箔を硫化させる事で独自の表現を追求する開藤の、大阪では初の個展となります。
開籐のモチーフは石や建物が年月の経過によって劣化・風化していく姿のその瞬間です。
それは日本庭園の枯山水や飛び石をまるで絵画として落とし込んだかのようです。
不規則に積み上げられた石のような対象の下部には、池の水面に写る美しい水鏡を連想させます。
静寂さの中の自然の持つ力強さを感じさせます。
開籐は自然の経過と変化をその季節や年月ごとに楽しみ嗜む日本庭園そのものを絵画として表現しているかのようです。
硫化、カービング、透かし、流し込みと高度な手法を駆使した表現も踏まえ静寂の庭園をぜひお楽しみください。」

 

開藤菜々子さんは、2016年以降、様々な賞を受賞されていますが、2019年には、第37回明日をひらく絵画 上野の森美術館大賞展 入選(賞候補)、2020年には、第1回三越伊勢丹・千住博日本画大賞展 入選、第22回雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作を受賞されています。
2020年8月26日(水)~8月31日(月) には、第1回三越伊勢丹・千住博日本画大賞展が、日本橋三越本店 本館6階 美術特選画廊で開催されます。

 

第1回三越伊勢丹・千住博日本画大賞展の「審査を終えて」の千住博氏のコメントの中に「フィジカルに等身大の存在感がそこにあるか?新鮮な感動、驚きはあるか?そしてその素材でなくてはならない必然性は?アルゴリズムで描けない世界観か?…それに加えてプロセスが見えることを重視した。…」とあります。

 

その上で選抜された開藤菜々子さんの作品と作品展『いろはに』は、開藤さんが子供の頃から培われてきた精神性と技術に裏打ちされた まさに等身大の存在感を放っていました。作品制作のプロセスも計り知れない努力とアイデアの賜物だと思います。
これからも楽しみながらも自分に厳しく、新たな作品を生み出し続けて行かれることと期待しています。開藤さんの「世界表現」に触発されて、学生の皆さんもご自分の手法を用いた「世界観」に磨きを掛けていただけることを楽しみにしています。
 

第1回三越伊勢丹・千住博日本画大賞展

第1回三越伊勢丹・千住博日本画大賞展デジタルカタログ
 

開藤 菜々子(Kaito Nanako)

<受賞歴>
2020 第37回 明日をひらく絵画 上野の森美術館大賞展 入選
  第 1回 三越伊勢丹・千住博日本画大賞展 入選
  第22回 雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作

2019 アートオリンピア 2019 佳作
   第21回雪梁舎フィレンツェ賞展 佳作
2019 美の起源展 入選

2018 第20回 記念雪梁舎フィレンツェ賞展 優秀賞 受賞
第27回 飛騨高山臥龍桜日本画大賞展 入選
2018 美の起原展 奨励賞 受賞

2017 第16回 福知山市 佐藤太清賞公募美術展 日本画の部 佐藤太清賞 受賞
日本の絵画 2016 入選
第63回 全関西美術展 日本画 入選
第7回 トリエンナーレ豊橋 星野眞吾賞展 入選(審査員推奨 佐藤道信)
ヤングクリエイターズアワード 2017 優秀賞 , 加藤義夫審査員賞 受賞
DOJIMA RIVER AWARDS 2017 -NUDE- 佳作賞 受賞

2016 第15回 福知山市 佐藤太清賞公募美術展 日本画の部 福知山市長賞 受賞
塚本学院校友会会長賞 受賞
大阪芸術大学学長表彰

<個展>
2020 【開藤 菜々子展】(art point / 東京)

<アートフェア>
2020 3331 ART FAIR (ARTS CHIYODA 3331 / 東京)
2019 ART OSAKA 2019(ホテルグランヴィア大阪 / 大阪)

<グループ展・他>
2020 “20 page vol.1” (gekilin. / 大阪)
2019 京都 日本画新展 2019 (美術館「えき」KYOTO / 京都)
美の起原展 奨励賞受賞展 (銀座画廊 / 東京)
有機する旋律 (gekilin. / 大阪) 他 多数
 

gekilin.とは「逆鱗」から引用した言葉です。

龍の81枚の鱗のうち、あごの下に1枚だけ逆さに生えるとされる鱗のことを指します。
「1枚だけの逆さ」=「他とは唯一カタチの違うもの」
つまり「唯一無二」と「独創性」と解釈できます。
現代アートにおいて「唯一無二の独創性」は最も重要な要素と捉えています。
日本の文化・アートシーンにおける「唯一無二の独創性」を
若手アーティストと共に追求し世界と未来に向かっていきます。
 
gekilin.
〒530-0047
大阪市北区西天満 4-3-3 星光ビル4F
11:00 – 19:00 (土日 17:00 まで)
※水曜定休日※
https://www.gekilin.com/