2013年3月29日

大阪芸術大学グループ 美の冒険者たち なんばパークスアートプログラム Vol.9「ボーダーレスのゆくえ」展

2013年3月21日(木)より、なんばパークス7Fパークスホールにて開催中の「ボーダーレスのゆくえ」展。
大阪芸術大学グループと南海電気鉄道株式会社による産学協同の取り組みの一環で、今回で9度目を迎えます。
芸術計画学科が主管を務め、同学科准教授 谷悟先生率いるプロジェクトチームによって、運営・開催されているアートプログラムです。
昨年度に引き続き、本校大学院出身でインディペンデント・キュレーターとしても関西を拠点に活躍中の、the three konohana(ザ・スリー・コノハナ)代表の山中俊広氏をキュレーターに迎えての開催です。

昨年度の「リアリティとの戯れ」展は、出品作家を若い世代に限定し、絵画表現に焦点を絞った展覧会でしたが、本年度は、世代の幅を広げ、現代美術の分野において一定の評価を得ている20~40代の本学出身作家7名の作品を選出し、展示しています。
作家たちは皆、「母校などで学んだ専門領域や使用する素材技法から、大きく越境したりその境界線を疑うことで得た世界観を在学中または卒業後に見い出し、それらを自らの表現の主軸に置いて活動しています」と山中氏は述べています。
展覧会趣旨にもあるように、近年「ボーダーレス」という言葉や概念が社会のみならず、現代の美術においても氾濫するなか、表面的な新しさ、革新や努力、といったプロセスの抜け落ちた結果や試みを、印象の良い言葉のイメージを先攻させるかのような「ボーダーレス」の多用についての問題意識を持つ機会になれば、と今回の展覧会コンセプトを決めたそうです。

――社会的に本質が欠如していることを隠蔽するかのような「ボーダーレス」の多用の前に、まずどこに「ボーダー」があるのかを確かめる行為を、もっと私たちは積極的に取り組むべきです。
自らのスタイルとそのルーツ、それらを明確に確かめた上で、自らの現在の立ち位置を知る。
つまり、「ボーダーを知ることでボーダーレスを得る」意識を持って、この今の表現が掘り起こす新しさとは何かを追求していくべきではないかと思います。――(展覧会趣旨より一部抜粋)

今回、芸術計画学科の在校生によるプロジェクトチームも大活躍!
搬入時には、出品作家の方々の設営作業がスムーズに進むようにと、本展の総合ディレクターを務める谷先生と出品作家の間を行き来し、会場を奔走してあらゆる作業のお手伝いを積極的におこなってくれました。
その中で、次に必要となる手順や指示を予測して動いてくれるようになり、おかげさまで作業も滞りなくしっかりした展示が出来上がりました。
また、搬入作業の合間に各作家より直接作品や活動の説明、レクチャーを受け、会期中は会場内において、展覧会や作品の案内をしっかりと担っています。
現在のところ、本校の在校生や卒業生をはじめ、なんばパークスに掲示されているポスターや館内放送で興味を持って会場まで足を運んでいただいた一般の方々、さらには美術関係者など、幅広く様々な世代に来場していただいています。
作品の説明などを通して、アートの作り手のみならず、見る人(鑑賞者)と作る人(作家)の“間”の仕事や仕組みについて“生”の体験ができ、学生たちは自らの今後進むべき方向性を意識したのではないでしょうか。

(報告:芸術計画学科2005年卒業 津嘉山 裕美)