林十三さん(美術学科専攻科81修了)の個展が10月31日から11月5日まで行なわれました。
林さんの絵画制作の方法は、黄味がかった和紙を二枚重ねキャンパスとして使用し、それを寝かした状態で5つの色彩を順次塗りながら、時々水とブラシで画面を擦り、また色彩を置いていくということを繰り返しながら完成させていきます。
これは1940年半ばからフランスから興ったアンフォルメル(非定型の芸術)やアメリカから発生したアクション・ペインティング(運動や身振りの抽象絵画)などを源流とする抽象絵画に思えます。しかし、これなの絵画と根本的に異なる事があります。アンフォルメルやアクション・ペインティングは第二次世界大戦後人間の不条理を感じた芸術家達が理性的でクールな作品に疑問を抱き、人間のイメージ像の破壊であったり、即興性を重視した制作方法で自らの存在の探求や触覚を中心に置いた身体感覚での絵画制作が行なわれていました。
そこに「行為や過程を重視した芸術」が生まれてきたのです。
林さんの作品はこのような制作方法を取りながらも、社会状況も時代も文化も異なるこの日本で制作を続けているのには別な内容があると思われます。
作品にタイトルはありませんでしたが、タイトルとして共通しているのが「表層の言葉」です。
これは制作方法の過程が「深層の言葉」であり、5色の色を重ねながら破壊していく過程に、色彩同士が反応し新たな色彩が発生するのを捉えようとし、そしてそこに新たな絵画言語「表層の言葉」が表れた時、手を止めるということです。作業手順は類似していますが内容は異なると思います。ヨーロッパ、アメリカのそこに行き着く歴史を考えると林さんの作品はキャンバスや絵の具、素材の状態に制作姿勢を委ねながら、作り手と作品の関係を対等に捉えているように思います。
私には事の在り様を捉えようとし自然を支配しない世界観が、林さんの作品から見えてきました。
写真はギャラリートーク中の林さんです。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室

さて、今週の大阪芸大テレビ。
このイベントは、飛鳥の石造物群などの古代アートと現代アートとがコラボレーションし、芸術の本質を時空を超えて実証するとともに、奈良・飛鳥を世界に向かって発信するというものです。
続いては、特集コーナーです!
今回のゲストは、先週に引き続き、大阪芸術大学「音楽学科」出身のシンガーソングライター、杉瀬陽子さんです。 杉瀬陽子さんは、大阪芸術大学「音楽学科」で作曲を学んだのち、バンドや弾き語りの形態を問わず、関西を中心に活躍されています。そして今年6月にHappiness Recordsよりファーストアルバム『音画(おんが)』をリリースされました!
今日の放送では、杉瀬さんが昔からなぜか不思議と縁があるという『京都』でのファーストアルバムのジャケット撮影のお話から始まります!なんと何も知らずに選んだこの京都の撮影現場が、またまた杉瀬さんとちょっとしたご縁があったんだそうです。さていったいどんなご縁があったのでしょうか?そして、杉瀬さんの作詞作曲の裏話や、全国を周られたライブツアーのお話もたっぷりとしてくださいます!
大阪の冬の風物詩といえば、なんといっても、中之島がまばゆい光に包まれる「OSAKA光のルネサンス」ですよね。いつもは見慣れた大阪の街が、この日はおとぎの国に大変身!
さあそして、今日のプレゼント!今回は豪華2本立てです!
この展覧会は、大阪芸大出身のメンバーを核に制作を続けるユニット、Kunst Kraft Klub(クンストクラフトクルップ)が企画した展覧会で、11月7日から19日まで行なわれました。出品者は浜本隆二さん、福田新之助さん、三村逸子さん、山本修司さんです。
出品者のそれぞれが確立した表現方法やテーマで制作されており、むしろ共通するものを見るには難しいと思いました。しかし、企画意図にある内容を考えればむしろベクトルが異なる作品類が必要とされるのかも知れません。そのベクトルの違いはモダニズム以降のアート状況を考えれば必然的なことであり、そしてこのユニットが20年以上続いていることからも切り離す事が出来ないと思います。
私の経験では、ある緩やかな個人と共同体(1970年後半から80年代の言葉)の関係からコラボレーション(共同作業から協働作業)へと展開してきたように、自立する個人(アーティスト)とそれぞれの新たな関係を探求しながら、核的個人をも変容し続け持続していることそのものに今回の作品と展覧会のテーマの深部があるように私には思えました。
日本のイメージを表層とした作品は、浜本さんと福田さんの作品です。絵画全体が印象深い青で描かれイメージは噴火する富士山と鳥(鷺?)を描き出しています。私は、不安と衝撃を噴火する富士山で感じ、安定して飛ぶ鳥で安心と心地よさを感ずることができ、同時に異なる感情が生まれる作品でした。福田さんの作品は背景と日本国の紋章である桐紋イメージが双方とも力強いラインで描かれています。二人のアーティストとも日本の特有のイメージを引用しながらも、浜本さんの作品はアニメ画や古典主義美術のように筆跡を無くすことによりアーティストの存在を隠し、イメージから物語の彼方に鑑者を誘う作品で福田さんの作品は、力強い筆跡でアーティストの存在が極めて強く感じ、鑑者を現実の肉体へと連れ戻すような感じに受け取る事ができました。二人とも共通するイメージを使いながら異なる性質の絵画であったと思います。
皆さんこんにちは!
サンタとトナカイがいたのでツリーの前で写真を一枚!
このX’mas Weekは今週中開催されているのですが、明日は6号館前の広場でステージイベントが開催されます!