9月26日から10月1日まで加地舞さん(工芸学科06卒/京都芸大大学院08修了)の陶器による個展が行われました。
作品のイメージは、動物的植物的に見える形態をしています。5億年以上前のカンブリア紀、海に奇異な異形のカタチをした生命が爆発的に現れました。そのような生命の多様なカタチを彼女の作品から連想することができます。
作品は、球を基本的形態とし規則的に構築されたものや植物の形態やその種子をイメージした作品でした。
また、一つ一つの作品から、その生命イメージの生活環境まで想像できるようであったと思います。
小さな白い球体が弧を描きながら上部に積み上がり、その先から気圧により変化させられたような黒い球体が沸き上がるように制作された作品がありました。数種類の黒い球体のそれぞれのカタチから、観者は気体や気流を感ずることができ、また想像することができます。
垂直に伸びた球体の繋がりの先に、葉と種子をイメージしたような頭部があります。作品を構成している曲面の連なりと中空に開いた頭部が運動や成長を連想させてくれます。
これらの作品は、複数の生命体の混合、ハイブリット化によりイメージが構成されているため、どこかで体験したようなどこかで見たようなという既視感におそわれます。しかし、現実には存在していないのです。
ケーブアートや民族芸術によく見られますが、壁画に描かれた人の似姿は単純な線の描画です。それに比べ、掌に収まる彫刻や土器のヒトガタからは、愛おしさが伝わってきます。土をこねるという行為は、掌の内に土を育むということになり、そして愛でるという感覚が表れてくるのではないかと思います。制作中、単に土と云う物質で在ったものから、生命へと昇華していくように感じます。
報告 加藤隆明 教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室