ベンチに腰掛け、じっと眺めていた夕映えの空… 。 優しさが込上げてくるようなどこか懐かしい風景を木彫りの作品で表現された齊藤秀樹さん。 図書館(4階閲覧室)ではただ今、彫刻家 齊藤秀樹さんの作品を紹介しています。 齊藤さんは1993年 大阪芸術大学美術学科彫刻コース専攻科修了後、1997年3月まで本学美術学科彫刻コースの副手を勤めておられました。
もともと動物の生態に興味があったと言う齊藤さん。「自然と人との関わり」をテーマに、カエルやカタツムリ、果実や草花など身の回りにある小さな自然を作品にしてこられました。 どの作品もすべて木でできていますので、木特有のぬくもりと優しさが滲み出ています。思わず、ふれてみたくなるような…。手作りの引力!フィギアではこの風合いは出ませんよね。木にこだわり続ける齊藤さんの思いが伝わります。 閲覧室の書棚に小さな訪問者。本の上をゆっくり歩むカタツムリは、ゆるやかな時間の流れを私たちに思い出させてくれます。慌しく過ぎていく日々の中で、なるほど、インターネットは手っ取り早く情報をキャッチすることができるでしょう。しかし、それだけでは人は感動しません。素晴らしい本や映画との出会い、そして人と人とのつながりが、人が成長する糧になり、芸術が生まれる原動力になると信じます。 この作品展のテーマ『Link』には、齊藤さん(写真右)が昨年12月に図書館で開催した「展-TEN-FINAL in図書館」や、先月、ほたるまちキャンパスで開催した「御時幻影舞台創作展」をご覧になって、「ひとつの目的に向かって、他学科の学生や院生、教職員が協力して展覧会を創りあげたことは、素晴らしいことだと思います。そして図書館が交流や創造の場として、芸術を志す人たちをつないでいるのがいい。自分の作品もLinkすることで、新しい出会いとつながりができれば…」という願いが込められています。 その願いは、本学大学院芸術研究科博士課程(後期)芸術制作 写真領域神尾康孝さん(写真中央より左)がこの作品展のチラシの写真を、デザイン学科4年生汐見友里さん(写真中央)がデザインを担当し、全体のサポートに、図書館も加わって実現されました。更には、作品と作品を観てくれた方のつながりもできていくと思います。 作品展は今月末で終了しますが、つながりがこれからも続いていくように、終わらせない終わり方で終了します。 まだ作品を観ておられない方、是非、木のぬくもりを体感してみてください。 このベンチの、民話に出てくる鳥や動物たちを象って彫った作品、トーテンポールの傍で腰掛けてみられませんか?子どもの頃の眼差しで見た風景が蘇るかも知れません。図書館で、新しい発見をしてもらえれば嬉しいです。
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