2008年5月12日

今年のテーマは「炭素」。 コクヨデザインアワード2008

コクヨデザインアワードの説明会が本日お昼休み、学内で行われました。
コクヨ株式会社からクリエイティブディレクターの下野由美子様にお越し頂き、今年度のKOKUYO DESIGN AWARD 2008の応募要項について詳しくご説明いただきました。
コクヨデザインアワード2008
コクヨデザインアワードは2002年から毎年、コクヨ株式会社が行っているアワードで、毎年テーマを設け新しい商品企画のアイデアなどを募集するものです。グランプリに与えられる賞金は200万円です。スゴイ!! このアワードから商品化された「カドケシ」皆さんご存知ですよね?このミリオンセラーの商品は現在、ニューヨーク近代美術館(MoMA)でも販売されているそうです。
コクヨデザインアワード2008
説明会のはじめには「KOKUYO DESIGN AWARD 2007」の受賞作品を紹介いただきました。どの作品も「なるほどっ!よく考えられているなぁー」と感心させられるものばかりでした。私が特にイイナと思ったアイデアは「Beetle head」というペン。通常、マーカーペンの太い、細いはペンの両端で使い分けるようになっていますが、この「Beetle head」は片側だけのペン先で、形状がちょうどカブトムシの角のような形になっています。紙に接触させる角度で「太い」・「細い」・「二重線」などの使い方が可能なのです。ネーミングも完璧ですよね。

2007年の応募件数は1723件だったそうで、応募数は6年連続右肩上がりです。「2005」からは海外からも応募を募っており、例年およそ1割が外国からの応募となっているそうです。

本日のお話では通常、一般には公開されない審査の様子についてもお話いただくことができました。「内緒の話」的な前フリがあると人って話にひきつけられますよね。ちょっとだけ紹介しますと、まず応募があったアイデアからグッと一気に2桁台(数字は伏せておきます)まで作品数を絞り込む過程があり、それは「社内審査」と呼ばれています。審査基準に則って審査され、既に世の中に同様の商品があるものや新しいアイデアでないもののないものなどを取り除くような作業。日ごろから商品開発に携わっている担当者による「篩い」(ふるい)をかけるわけです。その後、デザインの世界で活躍されている5人の審査員の方により約1ヶ月をかけて厳正に審査されます。(審査委員長・山中俊治氏をはじめ、佐藤ナオキ氏、柴田文江氏、水野学氏、石橋勝利氏。どの方も一流デザイナーの方々です。)
コクヨデザインアワード2008
さて今年のテーマは「炭素」。
人間の体は水分を除いて2/3が炭素なのだそうです。生命の素材「炭素」を含むものすべてが対象となります。身の回りのほとんどの物質も炭素が含まれていますので、「炭素」がテーマだからと、炭、炭、・・・と考えるのではなく、結局どんな素材を使用しても炭素に行き着くことになります。「それならこのテーマは、あってないようなものじゃない?」と思われるかもしれません。でもそこが今回のテーマの肝なのです。単にアイデアを形にするだけでなく、これからの時代を支えるデザイナーとして、その素材が10年後、20年後、更に先の時代・・・どのような形で存在し、どのような変貌を遂げるのか、循環していくのか消えていくのか・・・などなどそんな思いをめぐらせながらデザインしてほしいという願いが込められた深―ぃテーマなのです。

エントリー:200841日→531

作品提出:200841日→630日(当日必着)
http://www.kokuyo.co.jp/award/

今回の説明会の中で、このアワードを主催する「コクヨ株式会社」の「コクヨらしさ」を審査基準から感じました。シンプルにまとめられている5つの項目、その一つ一つがものづくりの真髄を付いているようで、なんかカッコイイんですよ。
審査基準:
 1.
商品化の可能性を持つもの
 2.
道具の本来あるべき機能を十分に追及したもの
 3.
新しいデザインに手がかりをくれるもの
 4.
人への気遣いや愛情を持つもの
 5.
これからの素材や技術への提案を持つもの

アワードの中では毎回10の提案が賞に選ばれます。これまでの6回の中で合計60の提案が出たことになりますが、コスト面や市場調査の結果から実際に商品化できる提案は少ないのだそうです。ですから、今回応募していただける方にはデザイナーとしての視点のほかに、生産者(製造する)側の視点でも十分にアイデアを追及してもらいたい、とそんなメッセージもあわせてご説明いただきました。
このアワードを通じて、デザイナーとしてすごく成長できる予感がします。皆さん、柔軟な発想で応募してみましょう!

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