2007年10月9日

翼を持つような自由な心で描く

1009-1
写真左端:宮崎幸子さん 右端:末延國康先生
中央は展覧会の企画運営スタッフの在校生。
1009-2
1009-3

現在、展示ホールにて「宮崎幸子展覧会ありがとう」が開催されています。

宮崎さんは、生後まもなく脳性小児麻痺になり重度の障害を抱えながらも現在、精力的に創作活動をされている和歌山県在住の水彩画家です。

寝たきりだった生活の中に「表現すること」という光を見つけて、描き続けてこられたたくさんの水彩画の作品の数々。絵は誰からも教わることはなく独学だそうです。

「表現すること、絵を描くことは、いったいどんな意味を持っているのか。今一度考え直してみるいい機会ではないでしょうか」と、この展覧会の企画をされた末延先生(本学で美術科指導法の授業をご担当)は、おっしゃっています。

本日(9日)に宮崎さん本人が会場にお見えになり、創作活動に込めた思いと在校生へのメッセージをお話いただきました。

宮崎さんは作品を「自分の子供」のように思っているそうです。
「みなさん(の中に)は、上手になりたい、有名になりたいそんな思いで、絵を描いている方がいらっしゃるかもしれません。(私は)生を授かり生きている、この思いを絵で表現したいと思っています。どんなへんなデッサンでも、ヘタクソ(なデッサン)でも、生まれてきた限りは最後まで仕上げてあげたい。」
とても胸にしみる言葉でした。
「描ける喜び=生きる喜び」。普段の自分の生活の中では気付くことがなかった価値観でした。

宮崎さんの好きなものは「鳥」と「亀」と「さだまさし」さん、なのだそうです。ご自宅のアトリエは小鳥のさえずりが賑やかな環境のようです。

宮崎さんの描かれる作品には大好きだとおっしゃっている鳥などの動物、色鮮やかな草花、女性像が多く描かれています。
特に鳥を描いたものが多いのは、障害のため旅行するのが困難なこともあり、作品を通じて自分が鳥のように自由になり、広い世界を旅するからなのだそうです。
「亀」に関しては、「スピード化のこの時代ですが、障害者はゆっくりしか進めない。亀の歩く姿に『確実に生きる』ということを感じている」のだそうです。
どちらも素敵なお話でした。(ちなみに「さだまさし」さんに関しては歌詞が気に入っているそうです。)

初めて作品を見せていただいたときに思いましたがイメージ通り、心にけがれのない作家さんです。

右手の小指と薬指だけで筆を握り描かれた作品とは思えないほど表情豊かな描写とやさしい色彩の宮崎さんの作品。「身体に障害はあっても心は自由。何かにつまずき、葛藤を抱えている人の励みになれば」との思いで描き続けてこられたそうです。

「素敵な才能を持って、すばらしい先生に導かれ学んでいることを大切にしてください。人それぞれ人生が違うと思うので、自分の選んだ道をまっとうしてほしいと思います」というメッセージが集まったが在校生に伝えられました。

今、ブログの記事を書いている私の葛藤。
「このように活字にしてしまうと宮崎さんの本当のメッセージが伝わらない。」
宮崎さんは一つの作品の中にたくさんの思いとメッセージを込めて制作されているそうです。
そのメッセージは皆さん直接会場で感じ取ってください。

展覧会は芸術情報センター展示ホールで10月12日まで開催中。

大阪芸術大学ブログトップへ