彫刻の三人展が11月14日から19日まで行われました。この展覧会は大阪芸術大学名誉教授高橋亨先生の企画です。参加者に呉本俊松さん(美術学科73卒)が参加されています。
「日韓交友展」
この三人展の作家は黄賢秀がソウル、呉本俊松が大阪在住、催石鎬はこれまでの学歴、活動暦とも日韓ほぼ半々で、ほんの少人数であるがバランスのよくとれた日韓交流展といえなくはない。だが国際交流展などと身構えたのは昔の話で、いまはそんな時代ではなさそうである。しいていえばこれは日韓交友展といったところだ。彼らは友人同士のうちとけた雰囲気のなかで、それぞれの仕事をゆっくり見せてくれるだろう。
催石鎬は1995年の大阪トリエンナーレ彫刻部門で銅賞を受賞した作品「幸福の門」に杉と松の大きな素材を使ったが、逆に最近は小割りした薪のような素材積み上げた作品を試みたりしている。制作の方法は変わるが、木のにおいは変わらない。
黄賢秀はブロンズによる独特の表現をつづけている。かつて韓国の評論家はそれを“造形詩”とよんだが、多くの作品で人間が登場しながらそれは人体での求心的な造形の追求であるより、世界にたいするある種の意思を開示するかのような行為者であったりする。
ながく絵画で親しまれてきた呉本俊松だが、ここ数年彫刻を手がけている。といっても一から石や木を削り始めたわけでもなく、ブリキなどを使って独特の方法とニュアンスをもつ作品をうみだしている。作者の絵画とはまた違った人間像が登場する。
(大阪芸術大学名誉教授)
会場には彫刻展というイメージからは程遠く、手のひらサイズの作品が互いに程よい空間関係での展示でした。鑑者の身体との比較で捉えられる彫刻ですが、ここでの作品は「手」の世界観を強く感じることができるようでした。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室