2012年1月15日

西村みはる展   Oギャラリーeyes

0115katou003.jpg西村みはるさん(美術学科専攻科98(修了)が11月7日から12日まで行なわれました。

作品は、大きな余白を特徴とし白い画面に山吹色の軽妙な筆致により描かれています。
この作品は描かれない部分が多く、筆を画面に置くと修正が不可能なものとなっており、絵具を塗り重ねる絵画とは異なり書道に近い絵画であると云えます。

 

0115katou000.jpg描かれているイメージは具象的ではなく、余白の広さと筆致などにより西洋的抽象画とも異なるようです。それは和紙と水墨の感覚に近く虚の空間意識が強くあらわれているからだと思います。

 

0115katou002.jpg画面に近寄ると、画面にのせられた絵具が一部キャンバスに滲んでいます。
また一部の絵具は盛り上がり奇妙なテクスチャーを生み出しています。
これは絵具にガーゼをあてることで、絵具の物質性を作り出しているからです。

 

0115katou004.jpgつまり、絵具の表層に見られる一般的絵画の平面性、滲みによるキャンバスとの平面性、そして画面から盛り上がる絵具の物質性、その絵具とキャンバスの三様の関係により作られた絵画であると考えます。また、余白の多いこの絵画は、アーティストの目(視覚)と手(触覚)の拮抗だとも云えます。

 

0115katou001.jpg視覚から得られた情報から、手は自在にあるいは躊躇しながら、そしてアーティストの意思を超えて画面に痕跡を残しているようでした。
近年、宇宙ステーションから地球を写す映像を見る事ができますが、それと同様な身体感覚を感じさせてくれる作品であった

と思います。

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室