2016年5月26日

石川裕敏個展 -Pick up drops- (F87) 5/9 -21 ギャラリー白

キャンバスに厚く絵具が塗られている。二次元の画面から少しずつの絵具が重なりそして画面を覆い三次元空間に介入している。一定の厚みになるとそれをペインティングナイフでおさえる。それにより画面には二つの表情が生まれてくる。表裏が同時に現れ表面を作っているように思え、彫塑の制作段階のように表面が裏になりまた表になるような構造を、この抽象作品に見て取れる。それは二次元空間と身体を持つ私たちの三次元空間のはざまを経験しているようである。

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画面のイメージの構成上抽象絵画だろうと推測する。キャンバスの表面をレモン・イエローと青白く光った面の二種類が走る。どちらが地(背景)か図(イメージ)になるのか、それは反転し続ける。地と図の反転の度合いにより具象的イメージを帯びることがある。絵画の発生の段階で構築された地平線、水平線という約束事。その経験で絵画を体験する限り、この作品に風景を見ることになる。地と図の反転効果と同時に、私は具象画と抽象画の反転をも見続けることになる。

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報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室