現在、甲南大学ギャルリー・パンセにて開催中の「館 勝生 展」に行ってきました。
正門から入り、緩やかな坂を上って右手の突き当たりが5号館です。ペイブメントや外観からすると新しい建物の様子です。1階は白を基調としたとても清潔感のあるお洒落なカフェ。学生さんたちは本を読んだり、歓談したり思い思いに過ごされていました。
そのカフェのすぐ横にあるロビーの一角がギャラリーとして使用されています。館さんの2008年に制作された作品7点が展示されています。学生さんたちが頻繁に行き交う場所の壁面での展示になっていますので静かにじっくりというわけにはいきませんが、「アートを身近に」、そんなコンセプトを感じる展覧会です。 このブログの2008年5月6日の記事でも館さんのお名前は紹介させていただいたことがありましたが、館さんは1987年に美術学科を卒業された関西屈指の現代美術作家です。館さんの作品は写真などで拝見したことはありましたが、実物を見たのは初めてでした。 (drawing 15 2008)
今回の展覧会の初日(9月15日)にはライブペインティングがあったそうです。作品の制作過程を是非、生で見てみたかったのですが、その日はキャンパス見学会だったので来ることはできませんでした。
館さんの作品をみて感じたのはまず「立体感」。実際、絵の具を平面にのばして描いた、というのではなくキャンバスには絵の具が“盛られた”状態なのでフラットではありません。ですから「立体」といえば立体なのですが、私が感じた立体感はバレーボールでトスする時の両手の形の中に納まりそうなサイズの小宇宙のようなイメージです。
(drawing 12 2008〔ズームして撮影した部分〕) 異なった何色かの絵の具をキャンバスに“盛って”スクラッチしていく過程の中、絵の具同士が完全に混じりあう手前で細く伸び動き出して構成される線。押し付ける力加減で変化する重層される絵の具の厚さは、筆では描けない表情を作っています。絵の具は完全に交じり合っていないので、縦横にスクラッチすることで軌跡が重なっていく順も見えてきて時間の経過が伝わってきます。もともとの色が主張しながらも溶け合う色彩の構成は絶妙です。
絵の具をキャンパスに叩きつけて弾け飛び散らせたような表現もあります。この飛び散り方までは計算できませんが、作品ごとに一点一点違うその状態を全体の構成に取り入れています。作家のアクション→物理法則にゆだねる→作家が再構成。ライブペインティングにはいけませんでしたが、そんな物理とのコラボレーションのような制作過程を想像しました。
今回作品を拝見して、私のイメージの中に浮かんだキーワードです。 「小宇宙」「原子構造」「かめはめ波」「彼岸花」「コサージュ」 (誠に勝手なイメージで申し訳ありません。)
今回、写真掲載をご承諾くださいました館勝生さん、お取次ぎくださいました甲南大学文学部事務室のスタッフ皆様、ご協力ありがとうございました。
●館 勝生 展 2008年9月15日(月・祝)?10月17日(金) 休館日なし 甲南大学ギャルリー・パンセ(5号館1階) 平日・土曜日9:00-18:00、日曜・祝日9:00-17:00 入場無料 http://www.konan-cdc.jp/pensee/
館勝生さんの今後の展覧会のスケジュールは館さんのホームページで確認できます。 ●館 勝生 http://www.osk.3web.ne.jp/~tachi/
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