2014年4月28日

赤坂直人展 (美術専門学校美術専攻02年度修了) O Gallery eyes 3/17-22

きめの細かいアクリルキャンバスに淡く描かれた素朴なイメージ。


アクリル絵具を薄く水で溶き、素早い線で描く。薄く溶いた絵具は下地であるキャンバス織目と絡みあい、柔らかいやさしい印象を生み出す。輪郭線が曖昧で淡い色彩は郷愁となつかしさを感じさせる。

二人の子供の作品を見る。子供はお互いの手をつなぎながら視線は双方外に向けている。二人の背後に不可解な物体が描かれている。作品の構図から15世紀の画家、ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィー二夫妻像」を思い出した。夫妻の間には半球体の鏡が置かれ、画家自身が映されている作品である。絵画画面の一番重要な場所にあるイメージは気になるものである。


ギャラリストの説明を聞く。赤坂氏の制作方法は写真を使う。その写真から絵画におこす。写真から立体感を喪失させ、絵画として必要なイメージと判断したものしか描かない。世界を構成している秩序は失われ、宙ぶらりんになった絵画世界が生まれる。中央にある菊型の紋様は背景にあっただろう襖の引手かも知れない。しかし絵画では鑑賞者の視点を中央に集め、子供たちの双方に分かれるまなざしにより不思議な距離感、絵画空間を経験させられる。

報告 教養課程講師加藤隆明 協力 芸術計画学科研究室