画廊企画-未完の成-が8月22日から9月3日まで行なわれました。大舩光洋さん(美術学科90卒)が参加されておられました。
今回の企画のテーマが「未完の成」であり、まずは展覧会テクストを一部引用します。
未完成な作品については、そもそも完成と未完成との明白な区別はいかに可能か、という考察も含めて、ミケランジェロやレンブラント、あるいはロダンを参照して、様々な議論や分析がなされている。
大舩光洋はシルクスクリーンを用いているが、画面の一部に紙を置いて刷ってから取り去ったり、一度刷ったスクリーンの面に残ったインクを刷りとる、あるいは小さなスキージで部分的にインクを落としていくというといった、通常では用いられない技法を用いた作品を生み出している。
あるいは、完成されるという言葉で示唆されるのは、すべてが決定されてしまって動きが無い作品の状態と言って良いだろう。未完成でありながら成立している作品、あるいは未完状態であることを以て成立する作品。それは作品がある静止状態において固定してしまうことから逃れ、常に運動するものであることを求める態度であろう。
奥村泰彦/和歌山県立近代美術館学芸員
抜粋したテクストからも理解出来るように今回の企画テーマは、作品の未完成について、ということです。作品制作の経験者にはこのテーマはよく理解出来ると思います。
大舩さんの作業は、シルクスクリーン技法の作法に別な要素を介入させ作品では失敗とされる「ノイズ」「汚れ」というようなものを画面に表象させ、それにより作品と観者との関係に揺さぶりを与えているのではないかと感じました。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室