2011年8月21日

池田高弘個展 2kw gallery

ikrda000.jpg6月29日から7月9日まで池田高弘さん(美術学科07卒)の個展が行われました。
今回は平面のみに絞った作品になっていました。前回同様、チョコレートパウダーを顔料に使用し、市販の絵具と併用し制作に用いられていました。

 

 

ikrda001.jpgチョコレートパウダーをメディウムに混ぜ顔料として使うことで、視覚体験である絵画から味覚の体験を視覚的に行なおうとしているのがこのアーティストの試みです。

 

ikrda002.jpgドロッピング技法や小さな円のドット描写、等間隔のラインや模様などはスイーツのデコレーションからの引用であり、抽象絵画からではありません。スイーツの制作にあたりそのデザインの視覚体験が即座に味覚体験に変換できるように、スイーツ制作者はそのためのいろいろ工夫が行われています。池田さんはその視覚体験を絵画として再構構成しています。

 

 

作品の細部を見てみます。画面からこんもりと浮き出たイメージから観者が触りたくなるような気分になります。レリーフは触覚の機能を揺さぶり(例えば壁にある凹凸には触れたくなる気分)身体感覚へと広がり味覚の機能も働きだすと思います。
作品の色調は一様に鈍く抑えられています。アーティストは数多くのチョコレートスイーツを検証してのこのような色調を選択しているのでしょう。
日常品を芸術に主題として取り入れたポップアーティスト達がいますが、スイーツ文化がポップカルチャー的要素を内包しているのかもしれません。

 

報告 加藤隆明教養課程講師  協力 芸術計画学科研究室