緻密な描き込みによる黒の濃淡で生み出された、モノクロームの画面。
無表情で不気味な人々、謎の猿、得体の知れない生き物たち…
不思議な世界観に、思わず引き込まれてしまいます。
現在、芸術情報センター展示ホールでは、令和3年度大阪芸術大学所蔵品展「ヨハン・アルデンドルフ展 モノクロームの住人たち」を開催中です。
ヨハン・アルデンドルフは、1924年にオランダのアムステルダムに生まれ、第二次世界大戦後にヨーロッパ各地を放浪。
その後、南仏のカーニュ・シュール・メールに移り住み、作家活動を行っていました。
単色で描かれた独特のモチーフは、今も多くの人を魅了しています。
大阪芸術大学は彼の作品を37点所蔵しており、今回の所蔵品展では、そのコレクションが10年ぶりに公開されています。
これらは、元写真学科長の岩宮武二教授と、元短期大学部デザイン美術学科長の大高猛教授が、生前にアルデンドルフの魅力に惹かれて収集されたものです。
彼の作品の多くは個人の愛好家が所有しているため、本学のまとまったコレクションは、他に例のない貴重なものらしいです。
アルデンドルフの作品は、近くで見ると、等間隔の細い線で描き上げられています。
使用されている画材は、コンテ鉛筆と呼ばれる、鉛筆よりやわらかいクレヨンの一種。
消しゴムを使うと白地が滲んでしまうため、一発で描き切っているようです。
彼はこの独自の手法を30年以上続け、およそ200点の作品を生み出されたとのこと。
会場には、本学のコレクションの中で一番古い1967年の作品から順番に、1989年のものまで並べられています。
驚くことにほとんど作風が変わっておらず、彼の中に一貫したものがあることが伺えます。
彼が住んでいたカーニュ・シュール・メールでは、彼が画家であることを知る人はほとんどいなかったそうです。
ギター演奏で生計を立てており、歌を口ずさみながら、1ヶ月1枚ほどのペースで、絵画制作に打ち込んでいたと言います。
彼の音楽好きは作品にも表れており、楽器や音楽モチーフもしばしば登場していて、見ていてとても面白かったです。
学生のみなさん、本学でしか味わえない所蔵品展に、ぜひお越しください!
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、在学生・教職員など学内向けの開催となっています。
また…芸術情報センター地下1階では、「早川良雄〈顔シリーズ〉展」も開催しています。
本学創設時から、デザイン学科教授を務められていたデザイナーの早川良雄。
早川先生の作品は、学生のみなさんは絶対に目にしたことがあるはず…!
実は、アートホールのタペストリーの原画を描かれたのも早川先生なんです。
地下の作品は定期的に展示替えをし、6期に分けて順次作品が紹介されますので、ぜひこちらもお立ち寄りくださいね。
投稿:島田(学生課)