2017年2月7日

山本修司作品展(F8)ギャラリー白 10/ 3-8

以前、山本氏の作品は紹介した。今回はインクジェットプリントを基底に制作した絵画作品ではなく、立体作品をみる。ちいさな石粒を接着し光源を内に包み込む。内の光は石粒を透過し外に奇妙な光と空間を伝える。一見すると照明器具に見える。山本氏は「照明器具ではありません」と記す。

まずは光を内から照らし物質を透過させることに、何をみせているのを考える。「内なるものを内から体験する」と「内なるものを外から体験する」は何が違うのか。それは表層と物体世界の違いだろう。物体を通過する光はその物体の性質に影響を受け、物体光として私たちが体験する。三次元物体が光の透過により不可解な深みの映像として体験する。ここに触ることとは異なる触覚的映像を感じることができる。山本氏のインクジェットプリント風景を融解し、絵具で構築した世界と類似する光体験があった。

 

山本氏のコメント

学生時代この大学で絵を学ぶ事に疑問を持ち2回生からヨーロッパ留学計画を企み、3ヶ月ほど旅行に出かけました。フランスを中心に動いてみたのですが、まず気付かされたのがその頃私が目標にしていた作品がもう嫌ほどあった事です。私の旅は、絵を描く理由を失う事から始まりました。アカデミックな美術館は一通り巡り、打ちのめされていた頃、ポンピドゥ・センターなどのファインアートに巡り会い、過去の憧れから、今やるべき事が見つかった気がしました。
表現することを一からやり直す為に3回生の履修をするぎりぎりに帰国し泉茂ゼミを選択しました。師には教えられると言うよりも自由にやりたいことが出来る環境を貰っていたと思います。
作品は、自分なりに縦横斜めからできる面を理解することから始めています。作品は斜めの定義を角度変化させることにより曲線化し、ベースになるキャンバスも曲面化しました。
今続けている作品は、複雑な形態を持ちながらも日常見る光景(素材)をモティーフにし、精神の痕跡を残す事に努めています。

 

 

※ 1980年代学生の頃 版画とその後の絵画作品

報告 教養課程講師 加藤隆明  協力 芸術計画学科合同研究室