2016年6月22日

昭和から平成へ 時代をつくった言葉の錬金師逝く -「岩崎冨士男 追悼展」

大阪芸術大学放送学科長で、CMディレクターとしてカンヌ国際広告祭グランプリ、ニューヨークADC賞など数多くの広告賞を受賞された岩崎冨士男先生が去る4月9日、お亡くなりになりました。
常に時代を先取りし、広告の現場から大学のキャンパスへと颯爽と駆け抜けた岩崎先生。
大阪芸術大学図書館の館長でもあった先生を悼み、今月7日から同図書館で「岩崎冨士男 追悼展 -昭和から平成へ 時代をつくった言葉の錬金師」を開催しています。
余人の及ばない斬新な発想と情熱にあふれた作品を通して、夢や生きる力を与える言葉を生み出した岩崎先生の横顔に迫りたいと思います。

本展では、岩崎先生が手がけられた大阪芸術大学ミュージカル公演の中で、新聞社、放送局等で取り上げられ話題になった『氷山ルリの大航海』(高円宮妃久子殿下原作)・『御時幻影』・『龍の子ケンとリン』の3つの公演を、再び多くの方に観て頂く為、図書館3階の視聴室で連日上映しています。

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図書館3階は、ふだん学生たちがDVDやビデオ、CD等を視聴するスペースですが、視聴室でのビデオ上映に伴って、岩崎先生の広告界での偉業、その後は大阪芸術大学放送学科長として学科の発展に貢献された足跡を知る資料や著書、舞台原案、絵コンテ、CM秘蔵ビデオ等を展示しました。

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新年度になり、放送学科の全体会議で、教員全員に配られた岩崎先生の「ご挨拶」の言葉を食い入るように読む学生たち。
残念ながら、先生の最後のメッセージとなりました。

病床にありながらも、ユーモアを交えて明るく書いてくださいました。
先生の、学生と学科への温かい思いが伝わります。

岩崎先生お誕生祝い写真
学生たちにお誕生日をお祝いされる岩崎先生
夢や理想を語る人に、人はついていくものですね。先生の向学の目は、いつもキラキラと輝いていました。

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第29回カンヌ国際広告映画祭グランプリ 記念トロフィ

(2011年より「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」
CANNES LIONS International Festival of Creativity」に改称される。)
世界にある数々の広告・コミュニケーション関連のアワードやフェスティバルの中でも、エントリー数・来場者数ともに最大規模を誇る広告賞。
1982年、ナショナルのあかり「光のメニュー」でグランプリの栄冠に輝きました。

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生前、愛用されていたモンブランの万年筆。クロードQの名前で作詞されたテレビアニメ『キューティハニー』の主題歌は、この万年筆から生まれたものでしょう。

希望や未来も、
助け合うことも挑戦することも、
愛や平和も、
言葉の力からはじまります。こころの中で思うことよりも、口に出したり書いたりした言葉  は自己表現として、この現実を創ります。

岩崎先生が繰り出す言葉には、人のこころをつかむ力がありました。
月並みな言葉も、どんなに事務的でつまらない言葉も、先生の手にかかると温かい、ステキな言葉に生まれ変わりました。

数年前。図書館員の私たちに先生は
 - ものは言いよう! 言い方(ことば)ひとつで、つまらないものも面白くなるんだよ。
と、教えてくださいました。図書館をもっと楽しく、もっと多くの学生たちに利用してもらう為にはどんな工夫をすればいいか、話していた時のことだったと思います。
それから、先生は図書館を宣伝する為、PRポスターを作ってくださいました。

「図書館で泣いた。」
12枚作成されたポスターの、最初の1枚に表現された言葉です。まるで言葉が起ちあがってくるような、インパクトのある言葉に感動しました。

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10年もの長きにわたり、大阪芸術大学図書館長として多くのことを教えてくださった
岩崎先生。本当にありがとうございました。

本展には学生、先生方は言うに及ばず、マスコミや音響技術等、各方面からたくさんの方がお見えになっています。中には、涙しながらご覧になっていた方もおられて、改めて先生が本当に多くの方から慕われていたことを知りました。

先生が表現された言葉はご自身そのものだったと思います。
いつも凛として、夢や理想を語っておられたそのひとこと、ひとことは、どんなに時が経っても輝きを失うことはありません。 

遺されたファイル(通称「岩崎ファイル」-企画や構想、アイデア、ふとした時に書かれた言葉がたくさん詰まったファイル)を見ると、先生のその宝石のような言葉たちが目に飛び込んできて、自分が表現した言葉こそが、自分の人格、自分の人生を創っていくものだよと笑顔で語りかけてくれているように感じます。
皆さまもぜひ、先生の言葉の力を肌で感じてください。

最後になりましたが、先生のご功績に敬意を表するととともに、開催にあたりご協力を頂いたご家族の皆さま、大阪芸術大学放送学科 石川豊子教授、事務局並びに関係者の方々に
心から感謝を申し上げます。

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岩崎先生の奥様を囲んで 石川先生、杉山先生、和沙先生、瀧川先生と奥様、木村先生、平野先生

「岩崎冨士男 追悼展 -昭和から平成へ 時代をつくった言葉の錬金師」
2016年6月7日(火)~6月30日(木)
※遠方からお越しになりたい方もおられ、ご要望により会期を6月30日(木)まで延長いたします。
お一人でも多くの方に足を運んで頂ければ幸いに存じます。

投稿:図書館