2016年4月19日

動きだすブルー 大濱千尋展(C12)錦之町空き家2 3/11-21

錦之町内にある古びた空き家、喫茶店のような室内にファイバーワークが展示されていた。
大濱氏は工芸学科のテキスタイル染織コースに在籍、2015年度の卒業制作展で学科賞を受賞した。

作品は使い古しのジーンズをランダムに切り取り、そのパーツを縫いあげている。
展覧会タイトル通り、ジーパンという機能性や形から解放されたモノは自在な存在となる。
使い古されたジーンズのテクスチャーは、それぞれに異なり同じものがない。
それらの部位を縫うという作業をおいて、作品という新たな存在にする。

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今回、街の生活環境においての展示は、卒業制作展でのそれとは異なったと大濱氏は語った。
平面や絵画を意識した卒業制作展の作品形式ではなくインスタレーション形式にし、部位のつながりを空間全体に配置させた。

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ジーンズ自身第二の皮膚とも思え人間の存在を想起させてくれる。
また直接皮膚から受けた体温がその布には感じられ、より人の気配を感じることができる。
展示場所から推測すると、この場所は街の人が集うところであっただろう。
場所には人の体温が保存されており、大濱氏の作品はかつての体温を目に見える形にしてくれた。
この展示場所では照明が使われていない。移り行く日常の光の下、作品を体験することになる。

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大濱千尋展はさかいアルテポルト黄金芸術祭とともに堺を盛りあげるプロジェクトの一つとして行われた。
個展場所からDMデザインまでコーディネートしたのは芸術計画学科卒業の佐々木航大氏。

報告 教養課程講師 加藤隆明 協力 芸術計画学科合同研究室