2013年8月12日

新谷麻木展 (工芸学科02年度卒)ギャラリー風 4/8―16

「旅のあとの夢」と題された陶器の作品である。この作品は3度焼き入れを行っているそうだ。作品の大きさは高さが50㎝を超えかなりのボリューム感がある。ゾウをイメージしたものであるがほぼ2頭身で幼体をイメージさせ、表面にはパステル調の装飾が描かれ、かわいらしく愛くるしい作品になっている。

 

かわいらしさや愛くるしさは幼体だけでなく、からだ全体が丸みを帯びピンクの色調で描かれたレース模様や、頭部からすると大きすぎる目などその要因は数多くある。
からだの表面を覆うレース状の模様もほぼ円の形態で構成されており、鑑賞者に優しさや安心感を抱かせる。

横から作品を見る。鼻先から尾までを視線で追うとそれは気が付くだろう。鼻先から始まる弧の動き、鼻の甲を波打つようにこの動きが始まり、頭から胴、尾へと流れていく。一連の規則正しい弧のウエーブが心地よい。そしてこの作品の軸をなしているようだ。また、体を支える四本の脚は極端に抽象化され、作品の造形性を支えるものとなっている。
この丸みを帯びた形態に人は触りたくなる衝動がある。この触りたくなるという感覚こそかわいらしく愛くるしさを生み出しているのかもしれない。

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室