2012年3月3日

西村充展   ギャラリー白3

  

西村充さん(工芸学科陶芸専攻科88修了)の個展が11月14日から19日まで行なわれました。

katou120302003.jpg赤黒く光ったミニマルな構造体が床と壁に展示してありました。壁の作品は、7つのユニットで構成されており、一つ置きに表面の表情が異なります。リズミカルに配置された各ユニットの一つの表面は「つるつる」で、他方の表面は「ざらざら」に仕上げてあります。無機質的に感じる形態ではありますが表面はより触覚的であり物質の存在感が感じ取れます。

katou120302002.jpg床に置かれた作品は、壁の作品とすこし異なりざらつきを表面全体に占めるとともに、土色に差があり、土の明暗と形が鑑者にさまざまな情景を見せてくれます。それは流れる雲のように見え水の模様にも見えたりします。

 

 

katou120302001.jpg陶芸作品は今までに紹介してきましたが、この作品は一見すると陶芸には見えず、立方体に切り取られた樹木を炭化させたように思えます。

 

katou120302000.jpg1970年代後半、日本ではもの派の影響が色濃く残り、コンセプチュアルアートやミニマルアートの影響もありました。その時期、盛んに云われたことは「表現しすぎるな、モノにしゃべらせろ」というようなことです。その後、ニューペインティングの流行により、作品が一変するわけです「もっと表現しろ」と云うように。ただ、当時のもの派の思想から今までの海外からの輸入現代アートとは異なる日本独自の現代アートの様子が見えてきたと思えたアーティストも多かったのではないでしょうか。そのような出来事を物語ことが感じられる作品でした。
西村さんの作品から日本的美感である「趣」が感じとれる作品でした。

 

報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室