北里桂一先生の個展と画集が出版されました。個展は11月25日(木)から11月29日伊丹市立文化会館(いたみホール)で開催されました。先生は長年大阪芸術大学の芸術計画学科で教鞭をとってこられ、ご専門の1つは日本画でした。今回の展覧会では、大学生の時の作品から近年の作品まで数十点が展示されていました。それと同時に「色鉛筆の写生帖」の画集を出版することになりました。
この彩色画は先生が18歳大学一年の時の作品だそうです。静謐な空間が漂う見事な画です。生きている小動物をこのような透明感ある作品にするのは、画力がかなり必要でしょうね。
この作品は横に広がる水田を描いており、初冬の頃か雪どけの季節かを思わす情緒ある風景画となっています。中央に稲作が終わった水田に曇りを見せない雪肌が囲み、空は、雪肌と変わらないくらいの輝く雲、そして日本の空とは思えない青で構成されています。
私は卒業後ものづくりに関わっていく手段として印刷というメディアを選びました。どのような紙を使い、どんなレイアウトにするかという印刷物の仕様を考えたり、各工程のプロに作業内容を指示し、管理しています。デザインや色、コピーライト、写真、印刷技術など幅広い知識が必要で、2年目の私はまだまだ勉強しているところです。 今回北里先生の画集を通して、印刷で芸術作品を見せたいという1つの目標を形にすることができました。日本画や色鉛筆のように光沢のない作品を見せるためにどの紙を使うのか、普通の印刷インキで表現できない鮮やかな色鉛筆の色彩をどう出すのかなど、先生の作品の繊細な線や色味を、できる限り原画に近く見せる事を念頭に、色々と考え工夫しました。わからない事も多くあり、多くの方に聴いて回って助けてもらいながら作り上げて行きました。そうして画集が完成したことに先生はとても喜んでくださり、私自身も非常に楽しく、いい経験をさせて頂きました。まだまだ未熟な私にこのような機会を下さったことを本当に感謝しています。
寄稿者 坂本優子 芸術計画学科09卒
|