2008年12月24日

尾崎実哉 展 『カタリ伝ってアル』

♪ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴るー・・・。クリスマス・イヴです。街もクリスマスムードです。今日はリンリンと鳴るベルではなく、木の鈴の音を聞いてきました。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
今日は本町にある「ドットアートコスモ」というギャラリーです。建物の中央にパティオのあるお洒落なビルで、1階のところには控えめにクリスマスの飾りつけがされていました。実はこの「船場ビル」は大阪の近代建築の歴史を語る上で文化的に価値の高い建物だそうで文化財にも登録されているそうです。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
扉が開け放たれたギャラリーから木の香りが漂い、その香りが廊下まで会場にしています。その香りに誘われて、色々な人が出入りし、作品を肴にして会話が生まれていくとても雰囲気のよいギャラリーです。

現在、ドットアートコスモで開催中なのが「尾崎実哉展 『カタリ伝ってアル』」。古事記をテーマとして日本の古代の記憶を木の立体造形で語ろうというコンセプトの作品展です。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
尾崎実哉さんは大阪芸術大学大学院芸術制作研究科を修了され、現在、博士課程(後期)で制作・研究を続けられています。21号館を総合体育館の方へ抜けたところで作品や制作中の尾崎さんの姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか?ひたむきに木と向き合い、魂で会話するように制作に打ち込まれています。

欅、楠、楓、楢、桜、バッコウ楊、馬酔木、梨、鬼胡桃、ブビンガ・・・などなど様々な種類の木が使われています。釘を一本も使わずにくみ上げた作品はすごい存在感です。2つの台形を一番短い辺同士を引っ付けたような木片をつかった「蟻継」といわれる方法で接合されています。木材の加工は、チェンソーのほか槍鉋などの大工道具も使って行われているのだとか。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
「このギャラリーは、作品を触ってもらっていいんですよ」といわれて、ほっとしました。実は本当に釘が使われていないのか触って確かめてみたかったんです。作品上部の木材は並べ置かれているだけで固定されていませんでした。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
それとやってみたかったのが、この大きな木の鈴を鳴らすことでした。会場でひときわ存在感の大きい作品『二つ柱の玉の音』に仕込まれているのはとても大きな玉なので、揺らすのにも力が要りますが折角なので揺らしてみました。ちょうどいらしていた横溝先生も、揺らしていました。
尾崎実哉 「カタリ伝ってアル」 ドットアートコスモ 古事記
会場の右奥にある作品『五つ籠の音』は、少し小ぶりの(といってもソフトボールぐらいはある)玉がたくさん仕込まれていて、軽やかな「コロ」とか「ポコ」とかやさしい、懐かしい音を奏でてくれます。

尾崎さんの作品のキーワードになっている「こをろこをろ」という語感はこの音にも由来しているのかなと感じました。(本当は古事記の中に出てくる音が由来だそうです。詳しくは坂上義太郎氏(前伊丹市立美術館館長)のお言葉を参照。)
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ドットアートコスモ尾崎実哉展 『カタリ伝ってアル』

尾崎実哉展は国の重要文化財、現存する日本最古の酒蔵を会場として来年1月にも行われます。<後援:財団法人伊丹市文化振興財団>

●尾崎実哉展 『カタリ伝ってアル』
【大阪会場】

 1222日(月)→27日(土)
 12001900 (※最終日は1630まで)
 場所: ドットアートコスモ(大阪市中央区淡路町2-5-8船場ビル203
 http://www.designdot.co.jp/gallery-01.html
【兵庫会場】
 117日(土)→25日(日) (※月曜日)
 10001800 (※最終日は1700まで)
 場所: 「みやのまえ文化の郷」 旧岡田家酒蔵 伊丹市立伊丹郷町館
      (兵庫県伊丹市宮ノ前2丁目528号)
お問い合わせ先:ドットアートコスモ(090-3487-2601)まで

余談ですが・・・
ギャラリーに伺ったとき、尾崎さんは在廊されていませんでしたが、お越しになっていた短期大学部の横溝先生とドットアートコスモの玉登ゆかりさんとのいろいろなお話を聞くことができました。このドットアートコスモは大阪芸術大学のたくさんの卒業生がお世話になっているギャラリーです。芸術大学を卒業してから「さぁ、これからどうしよう?」という迷い、悩むような気持ちを支え応援するような役割をこのギャラリー(玉登氏)が目指しているから、多くの卒業生に支持されているんだと感じました。いつもありがとうございます。

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