昨日午後、芸術情報センター・AVホールにて株式会社資生堂宣伝制作部部長・デザイン制作室長の山形季央氏による特別講演が開催されました。山形氏は、1976年本学デザイン学科卒業後、株式会社資生堂に入社。現在、クリエイティブディレクターとして活躍されています。
資生堂には、ブランドを決める委員会があるのだそうですが、まず最初にブランドの条件を挙げられました。 1.物語・歴史があること。 2.研究・情報の蓄積があること。 3.高品質・適正価格であること。 4.人から人に手渡されること。 5.人間性があること。 6.厳しい自己規制があること。 7.伝統を大切にする心、絶えざる革新の心があること。 8.世界的であること。 この8つの条件は、アートプランナーとしての条件でもあるとのこと。
資生堂には、独自の資生堂書体というものがあり、入社当初、新入社員はこの書体を手書きするという作業をひたすら繰り返すのだそうです。先輩方に見せにいくと、そこで「資生堂とは・・・」といったやり取りがされるのだそうです。こうして資生堂の理念が伝えられ、歴史、伝統を重んじながら、新しい取り組みに展開していくのでしょう。
山形氏は、「まわり道をしました」とおっしゃっていました。「本社で広告の仕事がしたい」という思いをもちながら、東京本社から大阪分室へ、そしてパリ駐在。しかも「グラフィックがしたい」とおもっていたのに、ウィンドウディスプレイを担当。でも、パリでの立体の仕事は、後にディレクションという仕事のなかで役に立っていくそうです。また、セルジュ・ルタンス氏との出会いによって、『デザイナーは、一瞬にして世界と通じることができる』ということを強く感じたそうです。
その後も「やっと宣伝部なのに、国際部門へ」「やっと宣伝部なのに、マーケティングへ」と、思いはなかなか叶えられない中、山形氏は自社の仕事とは別に、本の装丁の仕事をする機会を得、その作品『艶のかたち金沢』(田原桂一写真)によって東京ADC賞を受賞されます。その後も『AMAGATU』(上田義彦写真)などのブックデザインを担当されています。これらの本は、本学図書館も所蔵しているようなので、是非みなさん図書館で一度実物をご覧になってはいかがでしょうか。
山形氏は、「出会いが人を決める、自分で考えるが合言葉」とし、人との出会いの機会を自分自身で積極的につくってこられたそうです。また、頼まれなければ制作しないのではなく、自分で積極性を持って、作品制作においては、「強く美しく、簡潔丹精かつ華がある」をモットーに、自分を信じ、他にないものを心がけるそうです。最後に「目的地があれば、まわり道でもいいんだ」とまとめられました。
作品などをスクリーンに投影しながら、終盤では資生堂のCMも上映。 >>>資生堂企業広告CMはこちら
質疑応答では、学生からの質問にも丁寧にお答えいただきました。
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