2008年5月20日

デザインフォーラム+「安積 伸」 特別講義

今年度のデザインフォーラム、「movement2008」が518日(日)大阪中之島中央公会堂にて行われました。
デザインフォーラム Design Forum 2008 movement
オープニングセレモニーとして藤間勘十郎氏による長唄「静と知感」が披露され、コーディネーターに喜多俊之先生、ゲストに安積伸氏(プロダクトデザイナー)、佐藤可士和氏(アートディレクター)、文田昭人氏(インテリアデザイナー)、塩見一郎氏(インテリアデザイナー)、間宮吉彦先生(空間デザイナー)を迎え行われました。

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今回このデザインフォーラムにスタッフとして参加し、昨日19日の搬出作業を終えた4回生に感想をコメントしてもらいました。デザインフォーラムには昨年と今年の2年連続スタッフとして参加し、今年は就職活動と平行しながら、フォーラムの中核で舵を取ってくれた方です。

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昨年の9月頃から、運営から舞台進行、ゲストの方々のアテンド、展示会場・懇親会の進行や演出、広報、Web製作、当日の受付・案内、各種デザインなど、デザイン学科学生主体で準備してきました。
中之島公会堂という素晴らしい会場で有名ゲストをお招きしての今開催までには、たくさんの困難やプレッシャーがあり本当に大変でした。しかし、参加して学んだこと・得たものは多く、特に前回からのメンバーを中心に長い準備期間の中で培った、コミュニケーションのとれた強いチームワークが成功につながりました。普段を接することの少ない他学年の子とも仲良くなり、本当にメンバーに恵まれたと思います。
第一線で活躍されているゲストの方々とは、フォーラム終了後の懇親会ではお話できる機会もあり、最後には「頑張ってね」「ありがとうお疲れさま」と声をかけていただくなど、気さくで親切な方が多い印象を受けました。フォーラムや大阪芸術大学に関心をもたれ、フォーラムが学生企画だと知ると「素晴らしい!」と笑顔で言ってくださり、嬉しかったです。また、歌舞伎の仕込みの様子を近くでみるなど、貴重な体験も出来ました。
喜多俊之先生をはじめとした先生方、関係者の方々、ゲストの方々、そして何より当日お越しいただいた皆様にこの場をお借りしてお礼申しあげます。本当に、本当にありがとうございました!!来年も開催を予定していますので楽しみにしていて下さい。ぜひデザイン学科の学生の方々にはスタッフとして参加してほしいと思います。
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また本日、デザインフォーラムのゲストとしてお越しいただいた安積伸さんによる特別講義『機能と文脈』が学内で行われました。「機能」と「文脈」については安積さんが日ごろ常に考えている2つのことなのだそうです。
安積伸 SHIN AZUMI プロダクトデザイナー 特別講義
まずはバックグラウンドとして2つのエピソードをお話してくださいました。ひとつは大学卒業後、NECでの3年間のお仕事のことです。「PCエンジン」というゲーム機を開発するプロジェクトチームの中で、日本の企業デザイナーのすばらしい情報収集力やプロダクトのディテールのつくり方など様々なノウハウを身に付けたこと、もうひとつはイギリスに渡ってからステージ(劇場やシアター)デザインを手がける中で非日常を如何につくりあげるかを経験してきたことをお話いただきました。
安積伸 特別講義「機能と文脈」
これらの2つのエピソードは「日常観察・生活観察」から生まれるプロダクトの考え方と「非日常を表現する」考え方、その二つが安積さんの中で奇妙なバランスを保っていて安積さん自身そのことが現在のご自身のデザイン活動を支えているのだと思うとお話されていました。

日本にいる知人・友人から「日本には帰ってこないほうがいいよ」と言われたのをきっかけに、イギリスでインディーズとしてプロダクトデザインの活動を始められました。自分でデザインしたものを→セルフプロダクト→PRも自分でやり→流通にのせる。そんなインディーズのデザイン活動はいろいろなご苦労もあったようです。協力してくれる工場探しから始まって、パッケージングのこと、プレスリリースの作成、見本市への出展、クレーム対応はどうするのかなどすべて自分で動き、手配していくのだそうです。
安積伸 SHIN AZUMI プロダクトデザイン 特別講義
もともとテーブルウェアを手掛けていきたいと考えられていた安積さん。ペッパーミル(胡椒の種を挽いて粉にする卓上で使う器具)から始まったご自身のインディーズの活動のエピソードを紹介する中で「デベロプメントプロセス」(プロダクト商品の開発過程)についてもお話いただきました。
「つくって→考え→つくって→考え・・・」。このプロセスを大切にしているのだそうです。やったことの結果が(次に)反映されて展開していく様子。自分の考えを「予測できない地点」までもっていきたいと思っているから、とにかくやってみる(つくってみる)。「ナイキのCMで使われていたコピー、『Just Do it !』ですね。」とお話されていました。
 安積伸 SHIN AZUMI プロダクトデザイン 特別講義
「テーブルウェア」と「キッチンウェア」の違いに着目された安積さん。テーブルウェアの方がキッチンウェアより「繊細で、所作がエレガントである」という部分からご自身のデザイン哲学のようなものを説明してくださいました。
「プロダクトデザインはよく、色や形・素材感などで語られることが多いが、デザインには形には残らない要素が大切であると思う。デザインにまつわる非デザイン的要素。私は形としては見えないが確実に存在するその何かについて日々考えています。」
そんなお話が非常に印象的でした。このあたりのお話がタイトルにある「文脈」という部分と深く関わっているのだなと感じました。

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