杉本晋一さん(美術学科79卒)の展覧会が6月16日から28日まで行なわれました。
作品はキャンバスに描かれた動産芸術というより、壁画のような不動産芸術の印象を強く受けました。
まるで壁画の天井画のような、仰ぎ見るようなイメージが描かれています。
マニエリスム絵画が生み出したS字型やうねるような身体の女性像と近代を象徴する歯車や重厚なキャタピラ、現代に見られる日用品、キャラクター、グラフィティーなどのイメージが複雑に構成された作品となっています。
イメージにより画面全体が埋め尽くされている事と色彩の配色により、重さを強く感じる画面構成になっています。
まさに『重力都市』という感じです。
この『重力都市』は、バロックの天井壁画と強い関連性を感じさせます。
バロック絵画に見られる教会壁画の天井画に描かれた偽りの天空に、軽々と重力を超越し天に向かって天使が戯れる風景と重なります。
杉本さんの作品では、重力を脱しきれない人間の肉体や物質が「グニュグニュ」混ざり合った欲望の世界を見る事ができ、それが地の底に吸い込まれるようにも感じられます。
コンテンポラリーアートギャラリーZONEの所在地は、大阪府箕面市のアーケードのある橋本市場の内にあり、通路に開かれているため誰でも作品を自由に鑑賞することがができます。
ギャラリーの前は、豆腐屋さんになっていました。商店街空きスペースでは若手アーティストのアトリエとなっており、買物客が制作活動を見る事ができます。
制作活動や作品が日常生活の場所にある所が興味深いことであったと思います。
コンテンポラリーアートギャラリーZONE http://www.art-gallery-zone.com/zone.htm
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室