10月7日(土)、藝術研究所 所長でデザイン学科教授の喜多俊之先生の呼びかけで、レオナルド・ダ・ヴィンチ国立科学技術博物館の館長 フィオレンツォ・ガッリさんに講師としてお越しいただき、特別講演会「レオナルド・ダ・ヴィンチ クリエイティブの力」が開かれました。
レオナルド・ダ・ヴィンチを知らない方は、いないですよね!
イタリアのルネサンス期を代表する芸術家で、「モナ・リザ」や「最後の晩餐」「ウィトルウス的人体図」など、誰もが知る有名な絵画を数多く描かれています。
それらの絵には、視線誘導というテクニックが使われていたり、細かい計算で構成された美しさがあったりと、没後約500年となる現代も世界中から関心が集まる作品ばかり。
また、画家としての活動にとどまらず、音楽や建築、数学、工学、発明、解剖学、地学など…(挙げ切れません!)さまざまな分野に顕著な業績と手稿を残し、”万能人”という異名でも親しまれてます!
日本では彼をダ・ヴィンチと呼ぶことが多いですが、ガッリさんが「イタリアではレオナルドと呼ぶので、みなさんもぜひレオナルドと呼んでください!」とおっしゃっていたので、このブログでも以下ではレオナルドと呼ばせていただきますね。
講演では、レオナルドの幅広い活動と未来の提唱などを、ガッリさんに語っていただきました!
キーワードにされたのは、「レオナルドの好奇心」。
レオナルドがこれだけ多岐に亘って研究や発明を成し遂げたのは、強い好奇心があったからこそなのだそうです。
ガッリさん曰く、「レオナルドのスケッチを見ると、彼がどれだけ物事をよく見ていたのかがわかる」のだそう。
レオナルドのスケッチの中でも有名なのが、空飛ぶ船の絵です。
“空気とは、そこに何もないのではなく、鳥が羽を空気に当てて飛ぶように、存在するもの”だと気づいたレオナルドは、空飛ぶ船について「ねじ釘が空気をナットにして高く舞い上がる」と説明しています。
これは、現在のヘリコプターの祖先とも考えられいるそうです。
もちろん、レオナルドのスケッチ通りにつくっても上手く飛ぶことは叶わないのですが、ヘリコプターが発明されたのは20世紀に入ってからのことですから、15世紀にこれだけのことを考えていたというのはすごいことですよね!
また、絵を描く手法の一つである遠近法についても、レオナルドは空気の存在を研究して描きました。
それまでにも幾何学的な遠近法というのは存在しており、透視図法などが絵画に取り入れられていましたが、完全な形で描くことはできなかったそうです。
レオナルドは、”遠くのものは色が変化し、境界がぼやけて見える”という概念に辿り着き、遠くにあるものはぼかして青みを加えました。
そして、遠近法の理解が芸術において非常に重要なことだと悟ったと言われています!
レオナルドは、芸術と科学の両方において、”クリエイティブの力”を発揮された人物なんですね!!
「レオナルドは偉大な芸術家という前に、偉大な人間です!
レオナルドの活動を見ていると、芸術と科学は切り離せないものだと感じます。
現代は、科学の研究を1人で行うのは難しい時代。
これからはグループで活動できる才能も必要ですね。」と熱く語られたガッリさん。
また、喜多先生からは、
「レオナルドの活動と大阪芸大の学びには近いものを感じて、その力をお借りしたいと思い今回の講演を企画しました。
ガッリさんのお話で”好奇心”という言葉が出てきましたが、好奇心を持つことで、自分が何をしないといけないのかに気づけると思います。
藝術研究所ではこれからも、学生たちが世界レベルで次の方向性を考えられるよう、ガイドしていきたいです。」とコメントいただきました。
ガッリさん、レオナルドの魅力についてご教示いただき、本当にありがとうございました!!
投稿:島田(企画広報部事務室)