アストロ温泉鈴木さん(大学院芸術研究科芸術制作専攻10修了)と山田聡さん(芸術計画学科08卒)の作品発表が9月7日から11日まで門真市民文化会館ルミエールホール2F展示ホールで行なわれました。展示では、山田さんは映像で床にモニターを複数並べての上映と壁一面に映像を投影しての作品です。アストロ温泉さんの作品は、ホームセンター等で身近に購入可能な材料を駆使した楽器や自動ドローイング器のような、ビジュアル的にも興味を惹かれる形態で作られています。
山田聡さんの映像作品の一つは、一つのモニター画面を4分割しそれぞれが同一のイメージを異なる時間で流し続けるものです。映像素材は川の表面が撮影されており、それを左右からの流れを上下での流れに変換して上映していました。モニターは、観者の視線の高さではなく床に直接置いてあり、見下ろす状態で作品を体験するか座ってほぼ水平に観賞するようになっています。映像を見る行為に、自らの体が関っていることを感じざるを得ませんでした。モニターには、明るい光と暗部のヌラリとしたイメージが奇妙な運動を続けることで、現実とは異なる不思議な視覚体験をすることができました。
アストロ温泉さんの作品は、楽器など道具への純粋性合理性の探求ではなく、それのフロク的拡張を魅力としているようです。道具形態へのフェティズム的快楽になりきれない、あるいは、不条理さすら感じ笑えてしまう作品であったと思います。自動書記的道具はシュールレアリスムの自動筆記やオートマティスムを連想させますが、それらのおどろおどろしい神秘性より可愛らしさに親しみやすさを覚えてしまいます。この機械の目的がただただ円を描くという、アーティストには描く為の訓練に見えるものが、この機械の機能は、誰の為にも役に立たない作業を行なうことであり、純粋芸術を皮肉っているようにもみえます。
今回の自由研究発表会と云うタイトルから、彼らが小学生の頃子、夏休みの自由工作が不十分なまま提出したことを後悔し、卒業後その宿題を求められなくても、勝手に世の中に発表している2人の子供達(アーティスト)を見たようでした。
アストロ温泉さんの作品で演奏中の鈴木さんと山田さんです。
報告 加藤隆明教養課程講師 協力 芸術計画学科研究室