2011年4月1日

上須元徳展 RE:Assemble YOD Gallery

     

 みなさんこんにちは、ゲイブルです!今日は投稿ブログを紹介します!!

 上須さん(99年卒美術学科)の作品はモノクローム(単一の色彩)絵画です。描かれているイメージは、普段見慣れているだろう風景や建築構造物です。制作方法として明度の異なる灰色をドットのように集積し、イメージと背景を構成しています。

何を描いているのでしょう??本当にすべてドットなんでしょうか?!

 1970年後半日本の現代美術ではモノクローム絵画が流行しました。1つは抽象的に、もう1つは具象的に、です。この具象的にとはイメージがほぼ 記号で作られており、数字、矢印、国旗など概念的に厚みがないもの3次元ではないものが描かれていました。その時期のモノクローム絵画と大きく異なる要素 が上須さんの作品にはあります。前述しましたが、筆致がドット的様相を見せている事です。モノクローム絵画は同色で明度も彩度も一定のまま描かれていたか、同色を明度のグラデーションにより立体的に見せる方法でしたが、明度の異なるドットで層を成す方法はコンピュータグラフィックス、特に初期のコン ピュータの画面に現れていたものだと思います。そのような事からも、上須さんのモノクローム絵画は今までの作品と大きく異なることだと思います。またその 視点から捉えると、コンピュータグラフィックス制作にみられるレイヤー技法でのイメージを画面正面から見ると、層の集積として画面が構築して いますが、実は その層の一部だけ取り出し作り直しが可能な事により、層となっているものの結びつきは無関係である事が分かります。これは無関係の層の集合体でありその感覚が絵画作品に無数の透明な空間膜を感じさせてしまうのではないでしょうか。色彩の明るさの違いで手前に見えたり奥に見えたりと、同一平面上でも、立体 感を感ずる事が出来る事があります。その事が作品鑑賞に大きく関わっているように思えます。

まるで写真のようですね! 美しいグラデーションです! 単一色なので、イメージが膨らみます! 
 
 画面構成としては写真のフレームを彷彿させるようなイメージであり、客観的科学的視座によってイメージを捉えている事もこの奇妙な絵画空間を育んでいる要素であると思います。

報告 加藤隆明 芸術計画学科講師